狂王ダノーブとの戦い(10)
4月。新たな年度の始まり、ご入学ご就職新たな部署への移動など、襟を正す毎日を送る皆様、どうか元気でお過ごしください。
変わり映えのない毎日を送る筆者や皆様もお元気で。
新ログホラもいよいよ残り数話となりました。
思えばNHKEテレをご覧になった小学生の方々も、もう大学生や社会人になられている事でしょう。
そんな若者が少しでも未来に希望を持てるような、そんなログホラシリーズの終わりにしたいと思っております。
と言いつつもなぜかシロエよりもカナミが大活躍している本編をどうぞ。
-第34話:狂王ダノーブとの戦い(10)-
-1-
ウェストランデ、イズモ、ミョウブンマルヤマ墳墓。
「ケエエエエエエェェ!!」
前方後円墳、第1階層のボス、イナリアヌビスが取り巻きの埴輪兵とともに襲い掛かる。
「いっくよー!!」
「美味しいところに向かって突撃やで~!」
「あー、セリフとったー!」
息の合ったところ(?)を見せるカナミと大嶋。
「たまにはいい薬だな」
「言えるかも知れマセン」
「あー、けろっぴもコッペもひどーい。負けないぞー、ワンツータイガーブロウだっ!!」
「カナミ、トップヘイトをとってくれて感謝する! 行けっ、アクアサウザンドストリーム!!」
「よっしゃ、岩ちょもはっちゃんもマチャオさんも坂田姐もすずめんもふーちゃんもいてまえー!!」
「パパ人使いあらーい」「あいよー」「はいなー」「まかせてー」「ほーい」「あらほらさっさー」
-2-
ウェストランデ、ミナミ。
「けっ、負けやがって! でかい口たたいたくせによお!!」
クオンはシロエに吐き捨てる。
「まあ、そう言うなって」
「あの状況じゃあ、だれが指揮とっても同じだろ」
フォローするヒリュウとアイザック。
「それでも責任は取ってもらわなくては困りますわ」
眼鏡を光らせるインティクス。
「かといって今すぐ取って代わる人材がいないのも事実」
ゼルデュスの眼鏡も光る。
「軍事の席は据え置く。だが内政に口出しするのは当分控えてもらおうか」
「…………言い訳はしません」
「はっ、いい様ね」
「それより問題はこれからどうすっかじゃねーのー?」
ヒリュウが鼻をほじりながら言う。
「それが問題じゃて、小僧、予測は予知に勝るとぬかしおったな。ならこれはどうする?」
ジェレドが口火を切り、クオンがGMコールの中身を告げる。
「さしもの腹黒でもこれをどうにかできるというの?」
「できるなら内政発言の権利を復活させてもいい、だが無理だろう」
「片方はおそらくできます」
「「「???!!!」」」
「魂魄理論をともに研究しているリ=ガンさんの協力を仰げば、今研究中の呪符でどうにかなると思います。もちろん使用には熟練の使い手が必要ですが、思い当たる中ではアインス先生が一番の呪符術師ですから、彼に任せればおそらくは」
「なんと? そうか、お主は〈東の外記〉! その書で世界に干渉できるのだったな!?」
「ええ、ダノーブを善なる存在に転生させることは可能です。理論上は」
「じゃあ、問題はイズモ騎士団ね」
眉根を寄せるミズファ。
「言っとくが、アキバでもどこにいるかはさっぱりだぜ」
アイザックもため息をつく。
「地道に調べるしかないとしか言えません…………」
-3-
ミョウブンマルヤマ墳墓。
「かーっ! ボスに勝って食べるご飯はおいしいね、大嶋クン!」
「せやせや、そこの兄ちゃんもしけた顔しとらんで、もっと飲んで食わんかい!」
「あ、ああ……」
「エリエリはねー、いろいろお悩み中なんだよー」
「ふーん、なら無理にとは言わんけど、同じ悩むなら笑うて悩んだ方が得やでー」
「……さすがカナミの友達だな。意味が分かるようでわからん」
「楽天的に考えろと言いたいのだと思いマス」
「BGM無いと寂しいなー、ふーちゃんアレ出したってー」
「じゃーん」
彼女が魔法カバンから出したのは古めかしいラジオ。
「うわーすごーい、久しぶりに見たー。てゆーか、こっちで見るの初めてだよー」
「シロ坊から貰てん。ちゅーても電波やのうて、念話を他人にも聞こえるようにするだけの機械やねんけど、今念話でラジオ番組流しとる3人組がおるねんで」
「むむぅ、シロくんやるなっ!?」
「ほいじゃー、ぽちっとな」
ラジオから流れる懐かしい地球の音楽。
カバーしているバンドは半分素人なので拙いところはあるが、それでも無聊を慰めるには十分だ。
3曲目にはカナミがこれまで聞いたことのない曲も流れた。
♪恰好良くなろうよ 本当は君は格好いい
陽キャぶってる奴等 リア充ぶってる奴等
マウント取りたいだけで ホントは格好良くない
奴らが僕らを苛めても そんなのゲームに関係ない
僕らより弱い大地人 いつでも助けるヒーロー
そうだったじゃないか? でも今の君は
自分より弱い大地人 困ってるの無視してる
それじゃ僕ら苛めてた マウント野郎とおんなじ
恰好良くなろうよ 本当は君は格好いい
彼等はロボットなんかじゃない 同じ心持ってる
泣いたり怒ったり笑ったり それだけで友達なのさ
恰好良くなろうよ 本当は君は格好いい
見て見ぬふりはやめなよ ホントは君はヒーロー♪
レオナルドはその歌を聞いて、
「そうだよな、その通りだよな」
とつぶやき、ありったけの勇気を振り絞って隣のコッペリアの手をそっと握った。
わずかに、ほんのわずかに、コッペリアが微笑んだ気がした。
エリアス=ハックブレードは思い出していた。
あの日、カナミに言われた言葉を。
『……放っておいてくれ、どうせ私はロボットなんだ』
『えー? ならコッペリアだってロボットだけど、好きに生きてるよ?』
『はい、マスターにそう言われましたノデ』
『え?』
『知ってるー? 日本には付喪神って言ってね、モノにも心があるっていうんだよ。長生きしたモノは、大切にしてくれた人には恩を返すし、粗末にした人には罰を与えちゃうんだよ。結構我儘に生きちゃうんだよ。
エリエリもさー、我儘に生きればいいじゃん。好きな人たちは大切にして、気に食わない奴はドーンと吹っ飛ばして、好き放題にすればいいじゃん。心があるなら、それに従って生きればいいんだよ。偽物とか本物とか人形とか、他人がどう言おうと関係無いよ』
『……そうしてもいいのだろうか?』
『いいに決まってるじゃん。エリエリはエリエリだよ。エリエリの心のままに生きればいいんだよ』
「心か……」
ならば伝えてみようと思った。この旅の中で、自分がどんなに泣いたり怒ったり笑ったりしたか。
旧友たちに。
イズモ騎士団の皆に。
-4-
ウェストランデ、ミナミ。
ミナミ、アキバの区別なく、総力を挙げてのイズモ騎士団捜索が開始された。
どんな小さな情報でも徹底的に精査するそれは、気の遠くなるような作業と思われたが、唐突に一本の念話で解決する。
この忙しいとき誰かと思いつつも律義に出るシロエ。
『モシモーシ、シロ坊?』
「もしもし、大嶋?」
『やほー、シロ君。おっ久しぶりー!』
「カナミ!!?」
『わーホントだ、便利だねーこのラジオ。送る方でも念話に横入りできるんだ。前と違うアバターだから、今までシロ君に念話送れなくて困ってたけど、これで解決ライオン丸だねっ!! ブイブイっ!』
「カナミですって!?」
「マヂかよ?」
血相を変えるインティクスとカズ彦。特にインティクスの表情は鬼気迫るものがある。
「待って、こっちも今ラジオに繋ぐ」
慌てながら機器を操作するシロエ。
「カーナーミー! 今まで人のことを裏切ってどこにほっついき歩いてたのよっ!!??」
『相変わらず甘えん坊さんだなあ、インティクスは。裏切ってなんかないよ。独り立ちさせてあげただけじゃん』
「ほったらかしたのは同じでしょう!? 貴女にはたくさんして欲しいことがあったのよ!!!」
『仕方ないよー。それに興味なかったんだもーん。誰にだってしたい事をする権利と義務があるよ。して欲しい事をしてくれなくてすねるのはオモチャをねだる甘えん坊さんだよ?』
「強者には強者の義務があるのよっ!! なんでわからないのっ!??」
『義務って美しい我が儘の務めって書くんだよ。私のわがままじゃないと我儘じゃないよ。義務じゃないよ。当たり前じゃん。
東にドラゴンがいればパーンチ、西に地震があればキーックだよ』
『だから地震にキックしてどうするんだ?』
律儀に突っ込むレオナルド。
「いつもいつもどうしてそんな場当たり的なことしかやらないの? もっと大局的な視野を持って!! 今だってイズモ騎士団を探し出して欲しいのにっ!!!」
『おや奇遇だね。今まさにやってるよ』
「「「え??????」」」
艱難辛苦?の果てにヤマトにたどり着いたカナミ一行。
試しにエリアスにヤマトの事情通に知り合いがいないか? とレオナルドが聞いたところ、イズモ騎士団とはともに何度も戦場で轡を並べた仲だとのこと。
『まあ、古来種同士だから当たり前か』
『ああ、兄弟のようなものだ。だが、古来種ゆえに、赤枝の兄弟と同じく、典災に眠らされているかもしれない』
そうして騎士団の本拠地であるイズモの大国の大社にたどり着いてみると、やはりもぬけの殻。
イズモの他の思い出の地に行ってみても同様。
残るはイズモ騎士団の中でも戦死した者や戦いに倦み疲れた者が眠るという、ミョウブンマルヤマの墳墓のみとなった。
「そんなのGMコールにも無かった!!?」
逆上するクオン。
『騎士団員の眠る墳墓は古来種の身内同士にしか明かさないものだ。冒険者に明かせば副葬された神器を盗掘に来るだろう?』
珍しく冷ややかに告げるエリアス。
これには誰も二の句が告げれなかった。
『それに墳墓の扉はどこも古来種にしか開けられないから、今更盗掘に向かっても無駄だとは言っておく』
「じゃあお任せします」
「「シロエ?」」
「もうこうなったらいまさら何をしても手遅れですよ。もう無理です。僕には見えます。イズモ騎士団全員がカナミに丸め込まれる未来が。あの暴力的なまでの無限の母性と慈愛の人に僕らが敵うわけありません」
『えへへへー、シロ君に褒められちった』
「呆れてるんです」
『ひっどー!??』
-5-
ミョウブンマルヤマ墳墓。
そしてぷんぷんと怒りに燃えたカナミの手により、第2第3階層はおろか、墳墓最終第4階層ボス、ツクヨミオシリスまでも割とあっさりと撃破された。
合掌。
-6-
第5階層。
ずらりと並ぶガラスの棺。
セルデシア無敵最強の英雄たるエリアス=ハックブレードはそれらを前に、明らかに怖気づいていた。
最初にカナミに救われた後、赤枝の騎士団の仲間も救えないかと思いはした。
だができなかった。
あの時彼らに繋がれば、彼らの虚無に引き摺られて、結局自分もまた再び眠りに落ちてしまうと感じたからだ。
そして一人逃げるように騎士団を去ることを選んだ。
あの時の恐怖と無力感がまた自分を襲っている。
「カナミ」
「なになに?」
「すまないが手を握ってもらえるか?」
「しょうがないなー。本当は旦那さん専用なんだけど特別だよっ!」
「すまない」
エリアスの手は白く硬く、微細に震えていた。
カナミは言葉にはせず、大丈夫だよと強く優しく温かく握る。
レオナルドとコッペリアも互いの顔を見合わせ頷き合った後、さらにその手と手の上に掌を重ねた。
「……すまない、皆」
気にするな、と皆は言葉でなく軽いウィンクで返す。
「聞こえるか? スクネ=ワイルドウィンド、ヒミコ=ジュエルバード、タケル=ナイトソード、ライコウ=ミッドランド!」
返ってくるのは静寂。
それでもあきらめずエリアスは繰り返し呼びかけ続ける。
「返事をしてくれ! 君たちが眠りにつくべきは今じゃない!!」
『…………誰だ?』
「スクネ!? 私だ! エリアス=ハックブレードだ!!」
『エリアス? あなたはなぜ起きているの?』
「ヒミコ、君たちを起こしに来たんだ!!」
『放っておいてくれ』
『そうだ、お前も眠らないか、嘘偽りの義務など放っておいて』
「タケル、ライコウ!」
『『『『さあ、お前もともに眠りにつこう』』』』
「うわあああぁぁっ!!?」
精神の奥が暗く冷たい手に掴まれ、闇に引き摺り込まれていくのを感じる。
「エリエリっ!」「しっかりしろっ!」「負けてはいけまセン」
カナミとレオナルドとコッペリアの重ねた手がかろうじてエリアスを引きとどめる。
「ハア、ハァッ、聞いてくれ、頼む!」
『全部嘘だったのよ』『栄光も歴史もすべて虚構だったんだ』『使命も誓いも何も無かったんだ』『僕たちはロボットだ』
「確かにっ、それらが嘘ではないなんて私には言えないっ! でも、これだけは言える。勇者エリアス=ハックブレードの信念には、心には、嘘は一つも無かったと!!」
『『『『!???!』』』』
「私はもう一度心の命ずるままにこの大地を駆けた! この世界は美しいと思った! 大地人を愛おしいと思った! 世界も、人々も守りたいと思った! 私たちに与えられた使命と歴史が全て嘘だったとしても、そんなの関係なく私は戦えた! きっと私が無力な大地人の生まれでも、同じ道を歩んだと感じた! 敵にとどめを刺せぬ呪われた宿命すらも、掛け替えのない友が、きっと私自身の意思でその誓いと祝福を自ら選び取っただろうと気付かせてくれた!! 私は私の心で何度でも同じ道を選んだと、同じ信念を抱いたと胸を張って言えるんだっ!!!
いいじゃないか、すべてが嘘だったとしても。
もう一度、今度は自分自身の心を信じてくれ。思うまま望むまま、我儘に生きてくれ。きっとお前たちもまた同じ道を歩む、気高い魂の持ち主だと私は知っている。すべてが嘘でも、自分のために、自分の心のために生きてくれ。
起きてくれ、お願いだ。また立ち上がってくれ!!!」
『『『『……………』』』』
『……だが、今の大地人を守る価値はあるのか?』
『同じ人類同士で争いあう彼らに』
『醜い欲望で過ちを繰り返している』
「それは………」
「それは仕方ないよー。赤ちゃんがおぎゃあと泣くのと同じだもん」
「カナミ?」
「だってみんな生きるのに必死だもん。いくらお金があって力があってもそれが役に立つって限らないから、もっと欲しいって臆病になった人はいっぱいいるよ。そりゃ。怖いから泣くんだもん。赤ちゃんと一緒。
だからみんな愛おしいし可愛いんじゃん」
沈黙が場を支配した。
最初に口を開いたのはレオナルドだった。
「馬鹿だと思ってたがここまで馬鹿だったとは。道理で誰彼構わず助けたがる頭のねじが外れた行動をとるわけだ」
「マスターはマスターデス」
『………これは敵わないな。まさか観世音の悟りを実際に開いた人にお目にかかれようとは』
『我らが未熟であったわ』
『いい方に出会えたのね、エリアス』
『己が未熟を人のせいにするとは、我々もまだまだだな』
やがて、ガタリと棺の蓋が開いた。
ゆっくりと起き上がる影。
「おはよう。エリアス。そして初めまして、マスターカナミ。このスクネ=ワイルドウィンドとイズモ騎士団は貴女に剣を捧げ、また一からやり直そうと思う。
皆も異存は無いな」
そして次々とガラスの棺は開かれ、それぞれ皆が頷き、剣を捧げた。
「へへーん。最初の景色ばっちりいただきっ!」
カナミが勝鬨を上げ、笑い合う一行。
「ええもんみたわー」「ういうい」「美味しいとこゲットー!」
大嶋隊もまたそれを囲み肩を組み喜び合うのだった。
-7-
イズモ騎士団復活の報はヤマト中を駆け巡った。
それは失意に沈んでいた人々をもう一度勇気づけた。
イセルスやスターク、マルクや濡羽はよく民衆を励まし、その支持を得た。
「皆さん、もう少しの辛抱です」
「あのイズモ騎士団が来てくれる! 希望を持つんだ!」
「神は我らの願いを聞き届け、かの騎士団を遣わされます」
「もう大丈夫よ」
東西連合軍は再編され、イズモ騎士団とともに典災軍を再攻略する運びとなった。
アキバ、ミナミともに訓練中の予備部隊まで招集しての余力のない乾坤一擲の大勝負である。
「大丈夫か、ミノリ?」
「大丈夫に見える? トウヤ」
「まあ、直継兄ちゃんが太鼓判を押したんだ。それを信じるしかないよ」
なんとそのうちの1部隊の指揮をミノリが指揮することになったのである。
「大丈夫、私たちもついている」
「そうそう」
「アインス先生、櫛八玉さん」
「演習では櫛八玉の部隊に一度勝っていたじゃないか?」
「あれはまぐれです」
「やめてちょうだい、謙遜されたらかえってあたしの立つ瀬がないって!」
豪快に笑ってミノリの背をバンバン叩く。
「いやホント、シロエの指揮にそっくりだったよ。自信持ちなよ」
「本当ですか?」
露骨に顔を輝かすミノリ。
トウヤはその手があったかと感心するのであった。
-8-
3日後、妖精の輪も駆使してイズモ騎士団が東西連合軍に合流した。
ウェストランデにはスクネとヒミコの率いる青竜隊と朱雀隊。イースタルにはタケルとライコウ率いる白虎隊と玄武隊。
ウェストランデ、ナラ盆地。
「ふふははははは、見たかねシロ君、軽く実力だよっ!」
ふんぞり返るカナミ。
「あーはいはい、御見それしました」
「この調子でダノーブの首もこっちが獲っちゃうよー?」
「好きにしてください」
「むう、張り合いがないなあ!?」
「貴殿がイセルス殿か?」
「は、はいっ! まさかおとぎ話の中のスクネ様にあいまみえるとは光栄ですっ!」
「フフッ、固くなって可愛い。確かにダノーブを封じた初代ヤマト皇王の面影が有るわね」
「本当ですかっ!? ヒミコ様!」
「顔立ちはね。でも、雰囲気で言うなら、そこのスターク君だっけ?の方が似てるけど」
「は? それはどういう?」
困惑するスターク。
「さあ、自分で考えなさいな」
そう言ってヒミコは悪戯げにウィンクした。
イースタル、グンマ平原。
「ふふははははは、よく来たな、手を貸してやらんでもないぞ」
ふんぞり返るナカルナード。ある意味あの敗戦の後でこの態度は立派である。
「馬鹿は気にせず、こちらで便宜をはかれる事が有れば何なりとお申し付け下さい」
「いや、リーゼ殿でしたか、お気になさらず」
苦笑するライコウ。
「むしろ敗戦の後で物資が不足しているのはそちらでしょう。ポーションの類は持ってきました」
渡すように部下に命じるタケル。
「かたじけない。必ず後でお礼はします」
深々と頭を下げるアインス。慌てて他の皆も倣う。
「はー、タケル様格好いいー、ゲーム通りの超美形よねー。あたしも現実の男に見切りつけてあっち行っちゃおうかなー?」
「クシには逆立ちしても無理ね」
バッサリ切って捨てるヤエであった。
かくして人類の逆襲は始まった。
-第35話に続く-
筆者(以下:筆):「今月のテーマは霊能力~」
アヤメ(仮名、以下:メ):「普通こういうテーマだとクリス(仮名)さんの出番じゃないですか~?」
カズ彦(仮名、以下:カ):「まああの人本来くそ忙しいしな」
筆:「なので今回はコックリさんが得意な霊媒体質のアヤメ(仮名)さんに来てもらいました」
メ:「そうだったんですね~」
カ:「そんな能力持ってる上にゆるふわな性格だからな。俺が守ってやらねえと危なっかしいからいい迷惑だぜ」
筆:「カズ彦(仮名)、めいっぱい苦み走ってるけど口元緩んでる」
メ:「いい事でもあったんですか~?」
筆:「…………」
カ:「んな事はどうでもいいが、お前霊能力者嫌いなんじゃないのか? 30話でボロクソ言ってたじゃん」
筆:「怪しい霊能力者が嫌いなんですよ。本来霊能力って、ちょっとしたものでしか無くて、そう言う人は本来別の職持っててそのオマケでやってるだけなんです」
メ:「私もそうですね~」
筆:「そして本当に洒落にならない能力を持ってる人は、お寺や神社や有力者の庇護下に在る事がほとんどです。いくらでも悪用したがる人間がいますからね。食い物にされないように能力を隠している人が多いんですよ。お寺や神社に属していれば、悪い事は神仏の意に沿わないから力が揮えないとして断れますし、有力者の庇護に在ればそもそも悪い人の依頼なんか受けずに済む」
カ:「まったくだ。俺みたいな奴はいつだって必要なんだぜ」
筆:「宗教の神仏と言う概念も、霊能力者が自分達の力を悪用されないように、自分達の身を守る盾として造り上げた概念とする説も有ります。結構説得力ありますよね」
メ:「昔の人も苦労されたんですね~」
筆:「なのでそういう人達が霊能力で大きな事件や問題を解決しても、自分達がやったと言い張る事は基本有りません。なのでそれに気付けるちょっとだけ霊能力のある人が、この事件は自分が解決したと言い張り横取れる訳です。された側も自分がやったとバレるよりマシなのでほっておく」
カ:「おいおい」
筆:「なので◎×や△□がやったと言い張るアレコレは実は●※がしてますと言おうと思えば言えるんですが、もちろん仁義に反するので言いません。つまり言いたい事はそんな人に騙されないで下さいねと言いたかったんですねえ」
メ:「あ~、ネットでそんな感じの人よく見ます~」
筆:「美術や骨董の品と同じで、一般の人にはわからない世界ですからね。そう言う数寄なモノを買う時は、例え他人がそれに一銭の値も付けなくとも、なんとなく気に入ったって言う、プラモと同じノリで買うのがいいんですよ。欲や箔で選んじゃ駄目ですよ」
カ:「つまり人間を見ろってこったな」
メ:「転売ヤーさんとかには一生無理そうですね~」
筆:「自業自得ですけどね(苦笑)」
メ:「それに霊さんにできるのは手助けだけですから~、やっぱり実際に何かをした人が本当の主役ですしね~」
カ:「まったくだ」
メ:「人を騙しちゃ、めっですよ~」
カ:「調子に乗って騙してると、その内悟空(仮名)とベジータ(仮名)にかめはめ元気玉波(仮名)でぶっ飛ばされるぞ~w」
筆:「ではまた来月」
一同:「「「じゃあっね~(^^)/」」」




