狂王ダノーブとの戦い(9)
小春日和のうららかな3月。春眠暁を覚えずで眠くて仕方ありませんが、皆さん学業に仕事に頑張りましょうwww
筆者も残り〇話を書くのに脂汗を書いて頑張っております。
皆さんも残り少ない今年度を、ゲームに遊びに青春に(歳は関係なく)、悔いなく頑張ってお過ごしください。
それでは一体どうなる大レギオンレイド? そしてカナミたちはどうなってるの?
と、風雲急を告げる本編をどうぞ。
―第33話:狂王ダノーブとの戦い(9)―
-1-
「ルンデルハウス!」
出陣前のルディを呼び止めたのは、彼にとって懐かしい声だった。
「ローデルシウス兄さん!?」
ルディと同じ黄金の髪を持つ、よりがっしりした体と顔つきの鎧姿の青年。
「久しぶりだな」
「えっ? 何々、ルディのお兄さん?」
「このレディは?」
「僕の相棒で五十鈴という。とても大切な人だ」
「ほう、やるなあ」
「ちょっと、その言い方誤解してるんじゃない?」
「残念ながらまだ恋人としては認めてもらえてないけどね」
「まあ、見るから全く脈がないわけでもなさそうだが?」
「だといいけどね」
「それよりも、もうお前がウェストランデに戻ることはないと思っていたぞ。親父のことを嫌っていたし、濡羽殿のことも貴族全体もよく思っていなかったからな」
「僕が子供だったからね」
「……。それが認められるとは大人になったな」
「まあでも、父さんのことは今でも好きになれないかな。結局偉そうに言っても自分が戦場に出たくないから兄さんを名代に立てたんだろう?」
「その通りだがせめて適材適所と言ってやれ。あの太鼓腹で出しゃばられたら従卒たちが可哀想だ」
「言えてる」
「それで、あらためて問うが、戻ってきたのはどういう風の吹き回しだ?」
「自分のなすべきことをなすためだ。
この旅で僕は色々知った。マスターシロエに沢山教えてもらった。僕は本音と建て前を使い分ける人が嫌いだったけど、結局建前が全部ウソの悪人はそうはいなくて、建前もできることなら叶えたい心の一部であることが多くて、結局は自分を守るのに精いっぱいでわがままを言うのを怖がっているだけだって。それはあの濡羽殿も同じことだった。人を思い通りに操っているようでいて、結局本心通りにするのは怖がっていた。
だから、マスターシロエを真似て、五十鈴と一緒にみんなに恰好いい我儘をしようとみんなを唆す事にしたんだ。
だからウェストランデのみんなも唆すために戻ってきた」
「それがあの歌か?」
「ああ」
ローデルシウスは居住まいを正し、五十鈴に向き直るとかしこまった礼をした。
「ありがとう五十鈴殿」
「え、えっ?」
「貴女のお陰で我が家のみそっかすの四男坊は男になれたようだ」
「そ、そんな大したことは? ただ曲を一緒に作っただけで!?」
「できれば別の意味でも男にしてくれると助かるんだがな」
「それはセクハラだよっ!!!?」
「兄さん……」
-2-
東西それぞれの場所でそれぞれ千の冒険者が八千のモンスターと一度にぶつかりあう。
ゲーム時代ならばありえない光景だ。
ゲームにはクリアーの為の戦力バランスが有り、レギオンレイドであれば96人でクリアーするのにちょうど都合のいい数の敵、おおよそ200~400体ぐらいの敵との小さな戦闘を数回~十数回に分けて行う事になる。
だが既に現実とゲームの不文律は破られて久しい。
タダッカもスカルビーも本来ならばそれぞれレギオンレイドボスとして一回の戦闘イベントごとに一体ごととして立ち塞がる敵であり、複数が一度に現われる事は無い。
でもそんな事はもう無い。ゲームとして適切なバランスで手加減してくれる事は無く、ボス同士すら連携して協力するのが当たり前になるのだと、〈奈落の参道〉で持ち帰った教訓は、東西の区別なく全ての冒険者に伝えられた。
それが故の敵味方ともに手加減無しの総力戦である。
以前の様に単一のギルドが96人だけの部隊を差し向けただけでは、絶対にクリアー不可能な超SS級クエスト。
それが今繰り広げられる戦争であり現実である。
-3-
ウェストランデ、ナラ盆地。
妖猿ハシーヴァに率いられた大軍勢。
それが大きく4つの部隊に分かれる。
スカルビーに率いられた半虫有翼の飛行部隊、ブラックカーン、ベイハーンの地上部隊。
そしてハシーヴァの籠る、ゴーレムが合体してできた一夜城。
対する東西連合軍は、ブラックカーン相手にアイザック率いる東軍、ベイハーン相手にヒリュウ率いる西軍、ハシーヴァの城にシロエ率いる東西混成軍の布陣である。
自在に空を飛ぶスカルビーの部隊は、まともにとらえるのは難しく、相手をすることになった部隊が災難と思って引き受ける算段であり、そしてその羽目に陥るのは他ならぬシロエ自身だろうと半ば諦めていた。
イースタル、グンマ平原。
毒宇蛾のドクウガに率いられた大軍勢。
有翼の半虫人が大勢を占めるため、敵味方ともに後詰の飛び道具部隊を除けばお互い徹底した機動戦となることが予測された。
悪くない。
整った顔に犬歯を剥き出し舌なめずりする。
ハシーヴァとのパズルめいたちまちました知恵比べよりも、こういう勢いに任せたほうがいい野戦が本来ナカルナードの好みだ。
頭が痛い。
リーゼの眉間に乙女に相応しからぬ縦皺が寄る。
計画を立てるのなんか当たり前。
計画が壊れた時に即興で新たな計画を立てられてこそ一人前。
だがその計画を壊しかねない最大の脅威はおそらく味方であるはずのナカルナードだ。
敵将タダッカを目指して猛烈な突進を見せる。
こうなると自分たちは半包囲を試みる左翼将イオナのさらに左に展開し妨害するしかない。
ふと、ここにはいない高山三佐の声が聞こえた気がした。
『いつもと同じですよ。突撃大好きなおこちゃまの面倒を見るだけです』
まあ、違いない。
ふっと表情が緩む。
ゲームは焦ったほうの負けだ。自分も余裕を持って楽しまないと。
-4-
戦いはしばらく一進一退、互角の攻防を見せた。
ナラでは猛将アイザックの勢いと意外な知性に支えられた東軍、どこかカナミにも似たお祭り騒ぎのヒリュウのノリで意外に粘る西軍。一見淡々とした堅実な攻勢を維持するシロエ。
グンマでは華麗な知将、リーゼのち密な指揮に支えられた東軍、西軍ナカルナードは意外に気配り上手で部下の士気を維持するのがうまく、それが優秀な部下の堅実な戦術の組み立てを引き出していた。
リーゼは感心する。クラスティはすべての面で自分を上回って言えて当然だと思っていたが、シロエは他人の能力を引き出すのがうまい。そしてアイザックにしろナカルナードにしろ、他人のやる気を引き出すのがうまい。それに比べると自分は自分独りの思考に囚われがちの頭でっかちと言わざるを得ない。
改めてナカルナードを見直し、彼からも吸収すれば自分もシロエやクラスティの高みに迫れるに違いない。そう確信した。
もう少し自分の指揮に遊びとゆとりを持たせて、もっと仲間の息遣いを感じて。
ちょっとのリズムの違いよりも、アドリブの楽しさを感じて。
妖術師は本来指揮官向きの職業ではない。
各呪文は威力重視のあまり、再詠唱必要時間が長く、他人とタイミングを合わせることを難しくしている。それでもリーゼはシロエ以上の高みを目指していた。
「そろそろだね」
「よし、念話を飛ばすぜ」
シロエとソロモンが短くやり取りする。
「ついにアレですな」
ヴァディスが悪辣な笑みを浮かべる。
すると、ナラとグンマの各戦線で戦う中堅部隊であるそれぞれの方陣が崩れ始めた。
比較的レベルの低い、またはレギオンレイド慣れしていない冒険者たちが限界を迎え、陣を維持しきれなくなったのだ。
彼らは総崩れを始め、見方をかき分け逃走し、そこに敵典災たちが雪崩れ込んでゆく。
一部のベテラン冒険者がかろうじて敵に抗うが、やがて敵の勢いに押され後退し、味方の逃走した穴まで押され、そこを塞ぐ。
「全て予定通り」
ヴァディスが眼鏡をきらりと輝かす。
そう、敵は見事に半包囲陣形の中に引き込まれたのだ。
「撃ち方、始め」
ソロモンの念話とともに一度は下がった冒険者たちが武器を飛び道具に持ち替え、山なりの曲射攻撃を始める。
蘇生呪文で生き返ったばかりの者たちも次々続いていく。
半包囲陣形の中は地獄のるつぼと化した。
戦術オタクヴァディスと銃の先生ことD.D.D射撃顧問ソロモンの共同制作作戦である。
かくて互角の戦いは冒険者サイドへと天秤が傾いて行った。
-5-
ナラ盆地。
シロエの顔が引き締まる。
「よし、皆行くよ」
いよいよハシーヴァの一夜城攻略戦本番だ。
「いけえっ!!」
カズ彦をはじめとする3人掛ける3列の武器攻撃職が城壁ゴーレムに取り付き、〈レイザーエッジ〉の集中砲火を浴びせ、防御力低下のバッドステータスをゴリゴリ与えていく。
無論城を守る敵将カートティガーとフーシブルがこれをむざむざ見逃す訳がなく、左右から挟撃を仕掛けるが、それぞれ左翼ソロモンと右翼ヴァディスの指揮で耐え忍んでもらう。
やがてさしもの城壁ゴーレムも防御力が通常モンスター同然にまで下がり、そこに武器攻撃職の強烈な攻撃スキルが突き刺さっていく。魔法職の呪文もここぞとばかりに集中砲火を浴びせる。
そして一体の城壁ゴーレムがこらえきれずに倒れた。
だがすぐさま代わりのゴーレムが隙間を埋めるべく移動する。
そこにすかさず闇精霊が群がり移動阻害を試みる。
闇精霊はゴーレムの攻撃で簡単に消滅するが、次々と代わりの闇精霊が取り付きゴーレムは身動き取れない。
闇精霊はレベル差があり、90レベル以上の敵にはまともに相手にならないが、ペナルティの無い無限の復活可能の利点を活かし蟻兵戦術をとらせれば十分な役割を果たす。ミズファとシロエの認識はそこではちゃんと一致していたのだ。
2体目、3体目のゴーレムが崩れ、一筋の道が開く。
「ソウジロウ!」
「はい、先輩!」
ソウジロウを先頭にシロエ達〈記録の地平線〉とカズ彦の〈壬生狼〉から選抜した24人レイドチームが城の中に突入する。
グンマ平原。
「行くぞ! タダッカとやら!!」
ナカルナードの土木機械めいた武骨な鎧が変形を始め、ナカルナード本来のとは別の機械の腕が4本生える。短時間とはいえ疑魔炉の動力供給を得て自在に動く、ゼルデュスの疑魔鍛術をベースにジェレド・ガンと開発したミナミの最高傑作である。
ナカルナード本来の大剣は〈スカーレットスラッシュ〉でタダッカから生命力を吸い取り、残る2本の大剣は〈オンスロート〉と〈タウンティングブロウ〉の剣技を使い分ける。
〈ハウリング〉幹部メンバーたちも次々と機械鎧を起動させ、2本の機械の腕を加えた4本の腕で複数の武器の猛攻を加える。
「道理でゴツ過ぎる鎧だと思いましたわ!」
最初から予測していた訳ではないが、あっても不思議ではない予感がしていた事態に、リーゼは素早く思考を巡らせる。
〈ハウリング〉のDPS(単位時間当たりの与えるダメージ量)とヘイトは桁違いに上昇した。
良くも悪くもここからはスピード勝負だ。
リーゼもバランス型の戦術をやめ、DPS重視の攻撃型の指揮に切り替える英断を下した。
彼女はこの瞬間も成長している。
そして成長しているのはもう一人。
「よっしゃ! 今こそあれの出番だぜ少年!!」
「はいっ! 直継さん!!」
「イケイケ~小竜~!!」
マリエの声援でさらに気合が乗る。
「〈雷轟電撃〉ぃっっ!!!」
乱舞技の猛攻が蚊皇キバサラカに叩き込まれる。
小竜は心の中でそっと『今度は見てろよ玲央人』と付け足した。
-6-
ナラ、ハシーヴァの一夜城。
「くしゅんっ!」
「おや、玲央人風邪ですかにゃあ?」
「土埃だろ」
「班長優しい~。カズ彦嫌い」
「ふふっ。帰ったらホットレモネードを作ってあげますね」
「セララ姉マヂ天使~」
「だから言ってる場合じゃねえ! スカルビー達がすぐそこに来てんだぞ!!」
「わかってるよ」
「あの陣幕、ハシーヴァの紋章じゃねえか?」
「ホントですね、マヒルさん!」
「やっぱ挟み撃ちに遭うよねえ」
「どうすんだ、シロ!?」
「小林さん、スカルビーのタゲとって下さい! ソウジロウは陣幕に突入してハシーヴァのタゲをとる!
やるしかないよ、二正面作戦!!」
「無茶言いますねえ」
〈壬生狼〉の武闘家、小林が呆れ口調で答える。
「カズ彦さんも大概無茶言う人ですけど、〈茶会〉の参謀はそれを上回る鬼って本当でしたね」
「言ったろ、〈茶会〉に比べりゃぬりいって訓練の時に何度も」
「隊長の冗談だと思ってた」
〈壬生狼〉の盗剣士、ルクシルも冷や汗を流す。
「いやちょっと待って、僕が鬼みたいなのはそもそもカナミや濡羽さんが鬼みたいな無茶振りしてくるからで、僕自体は常々人に優しくしたいと----」
「言ってる場合か主君」
「うひゃひゃひゃひゃ」
相変わらず無責任に笑うKRだった。
グンマ平原。
「ぐわあぁっ!!」
タダッカの胸が大きく切り裂かれ、巨体がのけぞる。
「とどめっ!」
ナカルナードが詰め寄るが、間にタダッカの部下たちが割って入る。
タダッカは乗騎の巨大蜻蛉の首を返し、ドクウガの本陣へと敗走を始めた。
「逃げるか下郎っ!?」
ナカルナードは毒づく。
そろそろ機械の腕を駆動させる疑魔炉の稼働時間が切れるからだ。とどめを刺せれなかったのは痛い。
メモリシアソーマのカートリッジを交換すればもう一回は起動できるが、眉をひそめる。
何せこれは仕事にあぶれた大地人の記憶を搾り取ったものだ。人道的に好ましいとは言えない。
かといってこれを使わなければ自分自身の記憶を代償にするしかない。
まあいい、残りの雑魚など押し切って、このままドクウガの本陣に攻め入り、残りの一回でタダッカもろともドクウガも屠ればいいだけのこと。
「進めぇっ! このままドクウガの本陣まで押し潰せェっっ!!」
-7-
ナラ、一夜城。
スカルビー達半蜂人の攻撃は累積する特殊毒である。強烈なHP減少の「衰弱」のデバフを付与するもので、防御力が有ってもさほど役に立たず、守護戦士には厳しく、回避力の高い武闘家向きの相手だ。
なので割り切って小林ともう一人のサブ盾、武闘家アレクセイと5人の回復職に任せ、残りの17人はハシーヴァに専念させる。
ハシーヴァと妖猿軍団の持つ鉄砲は攻撃力が非常に高く、これもやはり普通の守護戦士や武闘家だと、レギオンレイドクラスの回復を受けなければ耐えるのは不可能だ。
おそらく直継であっても。
口伝、天眼通の見切りで最小の動きで武闘家並みの回避力を持ち、守護戦士と同等の重鎧が装備できるチートとしか言いようのないソウジロウの存在が無ければ早々に詰んでいただろう。
いける。
さすがに様々な意表を突く多彩なバリエーションの攻撃を繰り出してくるが、このまま落ち着いて対処し続ければ、削り切れる予感がある。
だがおかしい。
まるでゲームのようではないか? こんな単純なパターンの解析というルーティンワークだけで終わるなんて?
攻略が順調すぎる。
ひょっとして?
ハシーヴァが倒されれば、取り返しのつかない方向にゲームが進むから、わざと負けようとしている?
グンマ平原。
「まさかタダッカの槍に勝てる人間がおるとはな」
そう言いながらドクウガの顔には笑みが浮かんでいた。
「ヤバいですわね。イオナもタダッカもキバサラカもぐんぐんHPが回復してますわ。ドクウガの鱗粉は味方にはHP回復、敵には毒として働くようですわね」
「おいおい、モンスターの回復職なんてレギオンレイドであっていいのか祭り?」
「運営もネタが尽きたんやな~、なりふり構わんわ」
「雑魚は駆逐し、囲んだのは俺たちだ。このまま有無を言わさず押し潰せばよかろう」
「確かに数は減りましたけど、ボスはほとんど残ってますわよ」
「臆せば負ける! 勢いに任せよ!!」
おおう! と応える〈ハウリング〉の面々。
「部下の心を背水の陣に持っていきましたわね」
「褒めるでない、照れるわ」
「別にそういうやり方もあると思っただけで、褒めた訳でもありませんわ」
「やりおるのう、貴様ら」
「ドクウガの方が素直ではないか」
「貴方が褒めると図に乗って扱いやすくなると見抜かれているのでは?」
「別にそういう訳でもない。わざと負けるつもりもないが、お前らに討たれてやってもいいとさえ思っておる」
「「???」」
「だが、あちらの方が早いか」
ドクウガはにやりと笑んだ。
-8-
ナラ、一夜城。
「斬・徹・刀ーー!!!」
「があああああああっっあぁっ!!!」
カズ彦の大太刀がハシーヴァの巨体を切り裂く。
「ちぇっ、美味しい所カズ彦にまた持ってかれた」
「KRさんの火力だと張り合うのは厳しいですよ」
「ソウってホント男には厳しいよな!?」
「ホントのことじゃろ」
「ガーたん?!」
総大将の死に配下の魔物たちが動きを止める。
なのになんだ、この嫌な予感は?
「クククク、ハアッハッハッハッハ!!」「「「ワーハハハハ!」」」
スカルビーを始め、嗤い出す魔物たち。
「贄は捧げられた! これでダノーブ様を地下城に封じていた縛が解ける!!」
イコマ、フロウデン本部。
「来た! 新たなGMコールだ!!」
クオンが歓喜の声を上げる。
「それで、運営はなんと?」
インティクスが詰め寄る。
グンマ平原。
「待たせたな、ドクウガ」
「来たか、アーケン」
「ここで増援ですって? いったいどこから!?」
「〈妖精の輪〉を使ったのよ。我ら典災もな」
ナラ、一夜城。
「我、ヤマトに帰還せり」
宙に浮かぶ巨大なデーモン。その額に生えた人間はそう言った。
「「「おおーーーーっ」」」
その姿に意気を上げ、再び東西連合軍に襲い掛かる魔物たち。
「我こそは第六天魔王ハージューン・ダノーブ。我こそは不滅にして無敵。皆等しくわが軍門に降るがよい」
イコマ、フロウデン本部。
「『ハージューン・ダノーブは不滅にして無敵。初期段階では特殊結界で彼に決してダメージは通らず、特殊結界を壊すには、イズモ騎士団長スクネの七支刀と副団長ヒミコの降魔鏡が必要である。そのため運営補助員はプレイヤーにイズモ騎士団との接触へと誘導しなければならない。また、七支刀と降魔鏡で特殊結界を破壊し、ダメージが通るようになっても、ダノーブとその配下は倒されるごとに全パラメーター3パーセントアップで無限にリポップを繰り返し、第2形態、第3形態を開放する。グランドフィナーレに持ち込むには、聖女レイネシアがスターク伯との真実の愛に目覚め、すべての能力を開放して、ダノーブを善なる存在へ転生させる、魂浄化の秘術を使う必要があり、この誘導も補助員の義務である』……」
「何てこと……」
「今、イズモの大国の大社には誰もいない、イズモ騎士団は残らず消息不明なんだぞ!」
「レイネシアも中国サーバーよ」
「ジェレド翁!?」
「……儂の魂魄理論も、そこまで完成してはおらん」
クオンもインティクスもゼルデュスもジェレド・ガンも、それきり言葉を失くしてしまった。
-9-
この日、東西連合軍はイースタルでもウェストランデでも敗北を喫した。
-10-
ウェストランデ、イズモ、ミョウブンマルヤマ。
カナミたちの前に降り立つ有翼獅子20匹。
「やほー、お久だね、大嶋君」
「いきなり何やねん、20人頭数揃えてこんなとこに来いって?」
「暇してる君が悪いんだよ」
「好きで暇しとるわけちゃうで、シロ坊のスパイっちゅうンがバレて閑職に回されとっただけや」
「ここに前方後円墳がありまーす」
「人の話聞いとる!!?」
「カナミにそんなの期待するなよ」
「いや、知っとるけどな、カエルの兄ちゃん。それでも突っ込むんが礼儀やねん」
「ダンジョンだよ、レイドに決まってるじゃん!!」
「よろしくお願いしマス」
「あーもう!!?」
-第34話に続く-
※キャラクター解説
●大嶋(ドワーフ族、妖術師、貴族)
カナミやシロエの旧友であるが、茶会のメンバーではない。それもそのはず彼自身が小ギルド『大嶋パパの家』(現在はフロウデンの一部隊)のギルマスだったからである。元ギルメンの隊員たちからはパパの愛称で呼ばれている。
茶会とは攻略情報の共有やオフ会でのプライベートな付き合いなど、程よい距離感で付き合っていた。
ログホラ5巻では名前だけ登場。今回やっと本人のお出ましである。
根っからの吉本気質でツッコミとボケの両方をこなす。だがもちろん、カナミといるとツッコミ役、シロエといるとボケ役に回る事がほとんどだ。
カナミと気が合うくらいなので本来相当豪快な人物なのだが、カナミの豪快さが桁外れなので一緒にいると普通に見えるw
リアルでは子供3人を持つホントのパパでもある。
筆者(以下:筆):「今月のテーマは宇宙と宗教とSF」
アカツキ(仮名、以下:あ):「何と怪しいwww」
クリス(仮名、以下:く):「俺の好きそうな話題だな」
筆:「宇宙は地球を中心に回っています」
あ:「キリスト教の黒歴史、天動説だな」
く:「でも最新の観測結果では宇宙は地球を中心に膨張してるんだよねー」
あ:「なんだとぉー!?」
筆:「あらびっくりキリストは正しかったwww」
く:「でも重力的に空間を見ればやはり地球は太陽を中心に回っている訳で」
筆:「地動説も天動説もある意味両方正しい訳ですね」
く:「最新は常に正しいのだよ」
あ:「宇宙は地球に支えられているのか?」
筆:「重力的にはそんな訳有りません。中心は銀河系中心巨大ブラックホールです」
あ:「???」
く:「例えば地球と月の回転関係でも、中心は地球と言えば地球だが、地球の中心が回転中心ではなく、月と地球の重力拮抗点が回転中心なんだよ」
筆:「単にその拮抗点が地球の直径の内側に在るだけで、厳密にはずれている訳です」
あ:「ああ! では宇宙とブラックホールの拮抗点となる回転中心がたまたま地球なのか!!」
く:「御名答」
筆:「この事から仮説を立てると、惑星間航行をする宇宙人が何故我々の前に公に姿を現さないのかと言えば、とても珍しい立地に立っているから、サバンナやガラパゴスの様な重要自然保護区になっているのだろうと説明できる訳ですね」
く:「このネタだけでもSFが書けるんだが、まあ俺達自分の作品だけで手一杯だから、このアイディアは『なろう』限定のオープンリソースにしようと思う」
筆:「まあそもそも古い事と新しい事はどちらかが間違っている訳でなく、立体構造的にとらえた場合、矛盾せずにどちらも正しい事が多く(以下略)」
く:「中途半端な事が一番怪しい訳だ」
筆:「発見した事実自体は正しくとも、その解釈が偏見や迷信や時の権力者や大衆の都合によって捻じ曲げられる事は良く有りますし、伝言ゲームで誤解が積み重なって行く事も有ります。
でも逆に長い年月によって実証され続けてきた、揺るぎ無い真理も有る。
だからこそ、ある意味昔の十年百年に匹敵する情報淘汰があっという間に行われるネットは凄いんですよねえ」
あ:「数の暴力だなwww」
筆:「個性や趣味嗜好は尊重され、知識情報やモラリティは淘汰される。それがネチケットで我々が目指す、賢いネット社会の在り方なんですよ」
あ:「ではまた来月」
一同:「「「じゃあっね~(^^)/」」」




