狂王ダノーブとの戦い(4)
半年の無断休載大変申し訳ありませんでした。m(--)m
だがソロモン(仮名)よ、私は再び帰ってきた!
(もうそのネタやめーっちゅーねん(ソロモン(仮名))。
そちらも復活連載好調でおめでとうございます。
(いえいえ、こちらも某キャラの件では何かと、って今更だけど特定されるワードはやめて。あんた一応この作品フィクションでしょ?(ソロモン(仮名))
その件のご苦情はままれさんに申し立てください。
(ええからはよ本題戻れや(ソロモン(仮名))
そうでした。
半年前、いきなりぶっ壊れたマイPC。
おり悪くもその少し前に愛車が車検に通らなくなり、予定をかなり前倒しで買い替えと相成ったわけです。
預金残高ほぼなし。
PC買い替えに10万、データの復旧に10万。とても出せません。
その後の交渉によりショップ会員になるなどの条件で結構値引いてくれることになったのですが、それでもお金を準備だてるのに今までかかってしまった訳です。
みんなちゃんとデータのバックアップは取ろうね。
もちろんプロならそんなことはあり得ませんが、何分アマチュア作家ゆえ、甘く見積もっていたのですね。反省。
ここから先はもちろん最終回までノンストップでと言いたいのですが、執筆も当然半年の間止まっており、脳内記憶も怪しく(おい)、また休載することもあるかもしれませんが、せめてその前には予告しますのでどうかぜひ見捨てないでやってください。
これを書いている時点では、予告なし突然の休載にどれほどのご苦情が寄せられているかまだ分かりませんが、すべて真摯に受け止め、一層の精進に代えさせていただく所存です。
よろしければ今度こそ最後までお付き合いよろしくお願いします。
さらによろしければ知り合いに一言、新ログホラ再開したよ。とお声がけ頂ければ無上の喜びです。
それにしても何でこんなに名称や設定間違いが多いんでしょうね。ええ。
やっぱシロエが問題を解決するんだから、クラスティが横で入れ知恵しちゃ駄目だよねと言ってどこぞの原作者が監修放棄したと言う噂もありますが、ええ、まの付く原作者は死ぬほど忙しいだけですよ。監修する暇も無い位。でもしてくれない事に違いはありません。グレたくなります。
もう君が全部書いた方が良くない?なんてシロエオリジナルの解決方法を考え付いた昔の自分の首を思わず締めたくなります。そのせいで原作者も忙しくなった様なもんですし。
どんな解決法かは、勿論本編の今後の展開をご覧ください。
願わくば皆様があっと驚き笑顔が溢れる物でありますように。
それでは大変お待たせしました、本編をどうぞ。
―第28話:狂王ダノーブとの戦い(4)―
-1-
ウェストランデ、イコマ、フロウデン本部。
濡羽の私室。
「シロエの奴、どうにかやっていけそうじゃない」
「やっていけそうどころかあのおっさん、やりたい放題じゃねえか」
濡羽に呆れ顔で応えるヒリュウ。
二人の手にはロックのウィスキーグラス。開け放った窓から優しい夜風が吹き込む。
「おっさんは無いでしょ? 年あんまり違わないんじゃない?」
「同い年の癖にたまにうざい説教してくるし、妙な貫禄が有って苦手なんだよあのおっさん」
「アンタのそれは自業自得」
「へーへー」
「ねえ」
「何だ?」
「アタシの事本気?」
「決まってんだろ」
「アンタノリが軽いからイマイチ本気に思えないのよね」
「本気だって、何なら今からベッドで見せてやろうか?」
ゴスッ!と脳天への拳骨鉄槌。
「そう言う所だってーの!]
「おーイテてて」
「………アタシの過去とか、アタシがこういう女で何も思わない訳?」
「過去ねえ」
からりとグラスの氷が鳴る。
「気にはなるけど、変えられねえし、別に今に比べたらどうでもいいしな」
「―――――――、ふーん」
濡羽の心臓がドキリとする。全くこの男は偶にこうだから始末が悪い。
「それにお前がどういう女かなんて、そいつは俺の問題だしな」
「は?」
「女の純潔とか貞淑とかって話は、結局は男の甲斐性の問題だろ。
過去がどうだろうと、女に今はコイツにしか抱かれたくないって思わせられたら男の勝ちだし、その女は高潔で純潔で貞淑なんだよ。いちいちうるさく言う奴なんか変えられねえ過去に拘るみみっちい奴か、女を惚れさせられねえ甲斐性の無い奴だぜ。
違うか?」
「~~~~~~~~~~~~~~っ!!?」
ほんとにもう、ほんとにもう、ホントにもう、こいつは、馬鹿の癖に馬鹿の癖に、
どうしてこういう時だけ無闇やたらに格好いい事を言うの?
「う、嘘言ってるんじゃないわよ、騙されないわよ、アンタの好みは大人の落ち着いた雰囲気の女教師なんでしょ?」
「ああ、そういや前に初恋の人が中学の時の女教師だって言ったな」
「アタシなんか好みじゃないけど、単にその人似の美人だから口説いてるんでしょ?」
「ふ~~~~ん?」
「な、何よ、そのニヤニヤ顔」
「知りたいんだな? いいだろう、教えてやろう」
「べ、別に聞きたくないけど言いたければ言えばいいじゃない?」
「いい女だったぜ」
「ふ、ふ~~~ん?]
「まず熱烈な広島カープファンでな」
「は?」
「喋る言葉は仁義なき広島弁」
「はい?」
「ナイターでカープが負けりゃ機嫌が悪いわ大人気ないわ、生徒が文句言うとすぐ野球の三球勝負でカタ付けたるかと言い出すわ、どう見ても元ヤンキーで生徒の事舎弟としか思ってないわ、誰が名付けたか陰のあだ名は仁義なきシーマおばはま」
「はいぃ?」
「酔った時のお前そっくりの超超大人気ない人だったぜ」
「はーーーーーーーーーーーー!!!!????」
思考停止する濡羽。
「大して美人じゃ無かったな。言っとくけど俺の好みのハリウッド女優はウーピー=ゴールドバーグなくらいだから面食いの訳無いだろう。俺が好きになった可愛い所は、性格不器用すぎて俺が付いてなきゃコイツ駄目なんじゃないかって所だぜ。お前と一緒。納得したか?」
「ふざけんなーーーーーーっ!!!」
炎のアッパーカット。
「げふうぅっっ!!?」
「返せっ! 色々無駄にやきもきして無駄にしたアタシのあれやこれやを返せっ!! いい感じで口説いてくるかと思わせといてオチを付けてくる奴が有るかッッ! 死ね死んでしまえっ!!」
「し、死ぬ、ホントに死ぬ」
バックマウントからの見事なキャメルクラッチであった。ラーメンが打てるくらい(古)。
「止めじゃあ! らぴっどへっどくらああぁっしゅ!!」
見事な後頭部への頭突き。
頭を抱え悶絶しのた打ち回るヒリュウを尻目に立ち上がる濡羽。
「ざけんじゃないわよ、アンタなんかいなくてもやって見せるわよ! 決めたわ! マルク殿下について行って東中の貴族舎弟にしてきたらあっぁぁ!!」
「お、俺は?」
「アンタは西の軍勢をシロエと一緒にまとめる仕事があんでしょーが! しっかりやりなさいよ!謎のノリでいつの間にか気が付いたらどうにかするしか取り柄無いんだからっ!!」
「俺様の人徳と言え」
「部活のキャプテンしょうがないからコイツにしとくか~、ぐらいのレベルで威張るなっっ!!」
-2-
フロウデン本部、シロエ達に与えられたエリア。
にゃん太は窓の桟に腰掛けながら、星空を眺めていた。
胸を占めるのは安堵と寂寥。
このまま行けば、また灰鋼のロンダークと会うだろう。
だが今はシロエやヒリュウがいる。
彼等なら、迷えるあの男にもかけてやれる言葉が有るだろう。自分の役割は彼等をこの場所に引率する事だったのだ。そう思うのに、やはり何もしてやれぬ寂しさを感じる。
「やれやれ、吾輩もまだ欲張りですにゃあ」
「何に欲張りなんですか?」
気付けば胸に召喚獣のウルフを抱いたセララが顔を覗き込んでくる。
「大したことではないですにゃ。それよりウルフちは相変わらず可愛いですにゃあ」
ウルフは頭を撫でられると、嬉しげににゃん太の手に頬ずりし返してくる。
「にゃははは。ウルフちはいい子ですにゃあ」
「それはにゃん太さんが優しいからですよ」
「そんな事も有りませんにゃ。元々ウルフちが優しいのですにゃ」
「違います! 優しくして貰えるから優しくされた方も優しくなれるんです! 〈記録の地平線〉のみんながそう。にゃん太さんが優しくみんなを包んで上げてくれているから、みんなが優しくいられるんです! 私だってそうです!」
だがその言葉に、にゃん太は自嘲の淋しい笑みを浮かべた。
「――――――――それは違いますにゃ。
若い頃の自分は、自分の僅かばかりの強さや頭の良さを鼻にかける、鼻持ちならない男でしたにゃあ。
セララちの言う優しさは、全部亡き妻にもらったものに過ぎないのですにゃ」
だが、そう言って、にゃん太はハッと気付いた。
思わず片手で顔を覆う。
「……………。それこそ思い上がっていましたにゃあ」
「?」
「有難う、セララち。我輩が探していた若さとは、シロエちやヒリュウちでは無く、いつもそばにいてくれた貴女だったんですにゃあ」
「??」
「セララち、吾輩はロンダークと言う男に会いに行きます。いえ、会わねばなりませんにゃ。その時は一緒について来てくれますかにゃ?」
「はわわわ、あの、その、その時なんて言わずにいつでもいつまでも一緒で構いませんっっ!」
「ま、まあ、それについてはおいおい考えさせてくださいにゃぁ」
答を先延ばしにする班長であった。
-3-
ウェストランデ、サカイ、征夷将軍によるウェストランデ軍事連合閲兵式場。
フロウデンの冒険者からなる5つのレギオンレイド部隊と多数のフルレイド部隊。併せて総数約一〇〇〇。
ウェストランデ神聖皇国に所属する〈大地人〉騎士約二〇〇〇。
彼等を前に朱髪の青年貴族が野外に設えられた壇上に上がる。
「若輩ながら征夷将軍を拝命しました、スターク=ラウンドです。お見知りおきを」
朗々と響く、良い声であった。
少なからぬ子女が頬を染め、男であれ、ほお、と息を漏らすほどの。
「さて、皆様、一体我々の身体は何で出来ているでしょう?」
通り一辺倒では無いその切り口上に、皆の耳目が集まる。
スタークは懐からなんの変哲もないパンを取り出す。
「見ての通り、パンです。我々の身体はこれで出来ています。当たり前の事です、これを毎日食べているのですから」
冗談めかした言葉にあちこちから失笑が漏れる。
「このパンを作る小麦は身を守る力の無い平凡な農夫が作っています。
パンを焼く職人も、農夫や職人の道具を作る鍛冶屋も、彼等の家や仕事場を作る大工も、仲立ちをする商人も、このパンに携わるほとんどの人はモンスターの前では、とりわけ〈典災〉と言う強大な災厄の前には、ただ蹂躙され死を待つだけの憐れな存在に過ぎません。
ですが、我等の血肉は確かに彼等の血肉で出来ているのです。
一人の例外も無く。
見捨てていい命などどこにありましょうや?」
失笑は消え、誰もがその言葉に耳と心を奪われた。
「私の様な若造の言う事など聴けぬとお思いの方々がいらっしゃるのは百も承知。ですからこれは命令では無くお願いです。
たとえ私の命令が聞けずとも、一匹でも多くの〈典災〉を滅ぼし、一人でも多くの命を救い、一刻でも早く難民達の還るべき故郷を取り戻す。
その思い、その目的だけは、ここにいる皆様総て一つにして頂きたいと、この愚頭を下げ御願い申し上げる次第です」
そうしてスタークは朱い前髪が壇上に触れるまで深く頭を下げた。
誰からともなく拍手が始まり、やがて閲兵式場全てを包んだ。
「はあ~~~~~っ、やり辛いったらないわ」
壇上裏、控えの天幕。
濡羽はヤニとビールをそれぞれ手にだらしなくパイプ椅子に座り、やさぐれていた。
「ぶはははは」
その隣でビールを呷りながら笑うヒリュウ。
「笑い事じゃないわよ、ったく。あんな名演説ぶたれた後にのこのこ出て行けってーの? 冗談じゃないっつーの」
「観念しろよ」
「はあ、いっそこのモードのまま行ったろかしら?」
「―――濡羽?」
インティクスが物凄い形相で睨む。
「冗談よ冗談。行ってきますわよ、いつもの猫被って」
そう言って煙草を灰皿に押し付け、ビールも卓上に置き観念して立ち上がる。
「皆様」
天上の鈴の音のような声が壇上から降る。
「勇ましくも出征なさる皆様にお声掛けをさせて頂く名誉を賜りました〈西の納言〉濡羽です」
その眉目秀麗な容姿と併せ、崇拝者達から賛美の溜め息が漏れる。
「凡俗たる私では、スターク様の民を想う深く広き大海の如き御心に敵うはずも無く、その事について皆様を激励する言葉を持ちません。
なので、きわめて個人的な、私がフロウデンを創るに至ったお話を改めてしたいと思います」
軽いざわめきが起こる。
「私が創りたいと願い、掲げたフロウデンの理念は『完全な平等。どんな個性の者にもそれぞれの居場所を作る』事です。
その為に今まで色々な施策を試み、相互に不愉快な干渉をしない事を基本的なルールとして今までやってまいりましたが、理念の実現という段階までには至っておりません。
ギルド内での一般〈大地人〉への扱いが未熟である事も重々承知しております。
完全な平等を謳うのならば、〈大地人〉もまた平等に扱わねばそれに矛盾するのにです」
「――――ッ!!」「姫様っ!?」
舞台裏でインティクスとゼルデュスが歯軋りする。
「なので、せめてこの戦に於いて、〈冒険者〉が〈大地人〉を救う事がその平等の始まりであって欲しい、私が誇るフロウデンのギルドメンバーのあるべき姿で在って欲しいと私は願い、スターク様へのささやかな一助の言葉とさせて頂きます」
まばらに拍手が起こる。
「有難うございます。ですが私の話はこれで終わりではありません。
そもそも私がフロウデンを創るに至ったのは、極めて個人的な動機、自分や自分を慕う者達の、ささやかな幸せや心を踏み躙られる事の無いようにと始めたに過ぎません。
〈大地人〉の皆様には信じられないかも知れませんが、この世界に於いては超常の力を持つ我等〈冒険者〉もまた、その少なくない数が本来の世界に於いては、能力と関係無く、その趣味や嗜好が、ささやかな幸せが、生き方が、低俗だ幼稚だのとの理由で、社会の底辺に押しやられる哀れな存在に過ぎないのです」
「ううっ、姫様あっ!」
「お嬢~~!!」
感涙にむせぶロレイル達親衛隊。
「相変わらず上辺だけの綺麗事を」
毒づくインティクス。
「上辺だけでもねえぜ」
鼻をほじりながらヒリュウが呟く。
「はあ? あの女はそんなの無理だと分かっていながら、他人の歓心を買う為だけに言ってるのよ? 上辺以外の何だって言うの!?」
「無理だって半分諦めてたのはホントだし、理由だってあのまま家の道具としてどこぞの名家に嫁にやらされてりゃ、おっさん臭い生活も大好きなエロゲギャルゲも、相応しくないって全部やめさせられるのが嫌だとか、他人が聞きゃあ、しょうも無い理由だからってのも確かだけどな。
そんなくだらない事だからこそ、ホントの事だぜ」
ふっと息で指に付いた鼻くそを飛ばすヒリュウ。
「ひっ!」
生理的嫌悪で飛び退くインティクス。
「ああ、だからあの小説で最後に『ドラ猫』が『姫には自分らしくいられる時間が必要なんだ』って言ったのか? あんまり『ドラ猫』が真面目な奴だから、アイツが俺だとは思わなかったぜ。なんだかな~~。ま、俺の生まれが都合よく意外といいのは完全な偶然だったけどな。
俺様、一生の不覚だぜ」
「それ故幸せを踏み躙らせぬ為に、フロウデンは皆様のお力添えを頼みしました。西の貴族の皆様方も皆、それぞれのささやかな幸せと誇りを権力の争いで踏み躙られる苦しみと言う思いを同じくしており、ささやかながら私めがその苦しみをお慰めさせて頂く事で、多大な援助を得る事が出来ました」
「そうとも、姫は儂らの苦しみを解ってくれた」
「踏み躙られた誇りを汲んでくれた」
「ささやかな幸せを大事にしていいと仰ってくれたのだ」
むせび泣く斎宮院、元老院の貴族達。
「ケッ! 見栄とエゴをくすぐれば面白いように金を出すって馬鹿にしてたくせに!」
毒づくインティクス。
「まあそれも本音だろうけど、貴族たちの苦しみを可哀想に思ってんのも本当だろうな。俺だって莫迦にしながらこいつら可愛いなって見捨てられねえ奴らなんざ山ほどいらあ。お前だってそうなんじゃないの?」
相変わらず鼻をほじるヒリュウ。
「その援助で強大になったフロウデンでも尚、西方将軍ハシーヴァには及びませんでした。
貴族の皆様にこれ以上の援助を仰ごうにも、嵩む戦費は莫大であり、それが御無理な事も重々承知しております。
故に私は初心に帰り、この身一つで東の貴族の方々、アキバの方々に、西の伝統と誇りを踏み躙る事の無きよう、ミナミの自治を脅かす事無きよう、西と東が手を取り合ってこの度の〈典災〉の脅威を退ける様、誠心誠意お願いしてまいりたいと思っております。
既にこの志に賛同して下さいましたアキバの重鎮、『東の外記』シロエ様にフロウデン第11席に加わっていただいております。東の方々にフロウデンの理念を理解して頂く事は決して不可能では無いと固く信じております。
どうかマルク殿下と神の御威光の下、平和的なヤマト統一を示す道の一助を私にお任せいただければ、これに勝る喜びはありません。
私の我が儘をお許しください」
そう言って頭を優美に下げる濡羽。
妖艶な京舞子の仕草と厳しい淑女教育の融合によってできた完璧な所作に、誰もが溜め息を漏らし、その後、割れんばかりの拍手を惜しみなく注いだ。
「あんな事言っといて、スタークよりおいしい所ちゃっかり持ってくもんなあ。後に出るのが可哀想なのは俺だっつーの」
ぼやきながら濡羽と入れ替わりに壇上に上がるヒリュウ。
「よっしゃ、ここは一発決めてやっか」
拳を打ちつけてからマイクを握る。
「皆さん、こんにちは、俺様がこの度第12席に就任致しました―――――
♪曲がった事が大嫌い~、あ~さ~のたいいつです」
ギャグは見事に滑った。
会場は零度に凍り付く。
「あ、間違えた、それ本名。キャラ名はヒリュウな」
何故かこっちはどっとウケる。
「よっ、バカ殿!」
と、親しみ?を以って野次る声も。
「まあこの度俺様いきなり、東に行くナカルやんに代わってフロウデン西部方面軍〈冒険者〉部隊指揮官とやらに任命されたぜ。ヨロシクな。
とは言っても何も心配してねえ。何故なら参謀にはさっき言ってたシロエもいるし、何よりお前等が格好いいからだ」
ざわめく群集。
何言ってんだコイツ、俺達はハシーヴァになすすべも無く負けたんだぜ? 嘘言うんじゃねえよ―――。そんな空気が流れる。
だがヒリュウは気にせず続ける。
「もう一度言う。だってお前ら充分格好いいもん。何しろ考えてみろよ、地球で2か月、こっちじゃ2年以上お前らここでやってこれたんだぜ。大したもんじゃん?
こんなにいっぱい色々な奴がいるのに、こんなにも色んな奴らが協力してやってこれたんだぜ? 不満に思う事もやりきれない事も有ったのに、格好よくやってこれたんだぜ?
ゲームなんだから一度や二度、それどころか十回以上負け続けだって当たり前だったじゃねえか? そんな事よりこんなにも色んな奴らが一緒に当たり前の毎日をやれてりゃ、いつかはどんなクソゲーでもくそシナリオでもクリアできるのは当たり前じゃん。
もうお前ら、腐るほど連係プレーの下準備なんざできてるんだよ。
負けたのなんざたまたまだろ。
いっぱい怒って当り前の事も、泣いて当たり前の事も、もう何クソッて笑って、例え愛想笑いでも力合わせてやりぬけて来たんだろう、お前ら?
充分じゃねえか。
後はちょっと彼女の前で格好いいとこ魅せるだけなんだよ。
見せないとあれだよ、おまい、スーパー格好いい俺様がお前の好きな彼女のハートも頂いちゃうよ? そんなの冗談じゃねえだろ、テメエら?」
ぶーぶーと沸き上がるブーイング。
「よっしゃその意気だテメエら、〈典災〉なんざクソ喰らえだ、格好いいとこ魅せて、男になろうぜ。ま、それでも俺様が一番格好いいがな」
「ひっこめバカ!」
「んな訳ねえだろ!」
次々飛ぶ野次。
丸めたサンドウィッチやハンバーガーの包み紙まで壇上に飛んでくる。
「お、やんのかテメエ―!?」
腕まくりするヒリュウ。
「やめなさい」
丸めた閲兵式のしおりでヒリュウをはたくシロエ。
「ってーな!!?」
「もういいからカズ彦、こいつ連れてって」
「任せとけ」
「わっ!止めろっ、コラ!?」
〈壬生狼〉一個小隊に簀巻きにされて退場するヒリュウ。
どっと沸く〈冒険者〉とノリについていけず唖然とする〈大地人〉。
シロエはハア、と溜め息を衝く。この空気の後をやるなんて頭が痛い。
まあいい、この空気を利用してアドリブ勝負するしかない。〈茶会〉じゃいつもそうだった。
「御紹介に上がりました、参謀のシロエです」
マイクを握ったシロエの姿にざわざわと怪訝がる声がちらほら。
「皆さんも御存知かもしれませんが、〈放蕩者の茶会〉でも参謀を務めていました」
今度は僅かながら、ほお、と感嘆の声。
「〈茶会〉の戦果は御存じの通り驚異的とも言える物でしたが、それはある二つのモットーに支えられていたからです。
一つは居心地のいい場所を作る事。これは言われてみれば当たり前の事ですが、意外と難しい事です。今の貴方達に出来てますか?」
またざわざわと不穏な空気が流れる。
「いろんな問題や贅沢のツケを低レベル冒険者や〈大地人〉に押し付けて、そんな自分が格好悪いと心のどこかで感じているから、負い目を無意識に感じているからこそ、何か問題が有る度、自分が非難される度に逆切れして、自分は悪くない、相手が悪いと言い訳を塗り重ねていませんか?
それで周りの空気を悪くしてませんか?
それで居心地のいい場所が作れていると本当に言えますか?」
会場が静まり返る。
「僕は欲張り我が儘です。格好悪い仲間の姿は見たくない。格好いい貴方達仲間の姿が見たい。
じゃあ格好いいって何でしょう?
茶会のもう一つのモットーは、美味しい所に向かって突撃!です。
自分が格好良く活躍できるチャンスを逃さない事です。
悪く言えば目立ちたがりです。
でもそれは良く言えば、人の役に立つ機会を逃さない事です。
どうだ、俺はこんなにも誰かを助けたり笑わせたりして、幸せにしたんだぜ!って胸を張れるのが、一番格好いい事です。
凄い連携を決めて見せてモンスターを撃破するのは勿論美味しい所ですけど、そんな頑張った人にお結びやサンドウィッチを持って行ってにっこり微笑んで『次も頑張ってね』って言うのも美味しい所です。戦うのも、誰かに優しくするのも、全部美味しい所なんです。
今まで感じてきた負い目を返す時は今なんです。
僕はその御膳立てをします。
アキバの軍勢が四天王カッツェーを倒しましたけど、あのアイディアを思い付いたのは僕です。勝つ算段を付けるのは任せて下さい。
後はみんなが美味しい所に向かって突撃してくれるだけです。
格好いい姿を見せて下さい。お願いします」
シロエは一礼をして壇上から降りて行く。
やがてその背中に、静かな拍手が添えられて行った。
「さーて、じゃあここからはお楽しみターイム!」
飛び出すてとら。
「みんなお待ちかねのらいぶしょー、。一番手は僕、てとらオンステージだよ!
『レベルアップをみんなに許そう』『フライング・ソーサー』『本当は君は格好いい』
立て続けに3曲行くよーーーっ!!」
「ギターは俺様だぜぇ―っっ!!」
ヒリュウまで舞台に帰って来る。どうやらこの日の為に練習していたらしい。
楽の音が賑やかに響き渡る。
-4-
「こんな所にいましたかにゃあ」
にゃん太は閲兵式場の外れの木の陰で、一人ワインの入った皮袋を口にするロンダークを見つけ出した。
「…………………。何の用だ?」
やぶ睨みで返すロンダーク。
「勿論話があって来たにゃ。ですがまずはセララちが言いたい事がるあるそうですにゃ」
「?」
にゃん太の背中から出てきた召喚獣の仔狼を胸に抱える小娘。
思い出した、デミクァスとつるんでいた時に捕まえようとして、目の前のにゃん太に邪魔されたあの時の小娘だ。
「何の用だ? あの時の恨みでも言いに来たか?」
「違います」
「じゃあ何だ?」
「貴方にこのウルフちゃんを優しく撫でる勇気はありますか?」
「!???」
―第29話に続く―
筆者(以下:筆):「今月もSFと宗教パート3~」
アカツキ(仮名、以下:あ):「このテーマも今月で最後だ」
クリス(仮名、以下:く):「長々と引っ張ったな」
筆:「神も仏もいません」
く:「全否定で来たよこの人」
あ:「いや、そうかも知れないがそれはあんまりなのでは?」
筆:「と言うのが小乗仏教の教えです。禅僧や高僧や戦国武将や茶人や大名が学ぶ学問ですね。人はそれを覚悟して、今あるモノと自分達でどうにかしなさい、神仏頼みなんかせず、現実に目を醒ましなさいと言うのが主旨ですね」
あ:「む、そう言われると当たり前すぎるな(苦笑)」
く:「それとは逆にみんないい子でいなさい、いい子でいれば神や仏の助けや救いが有るし、悪い子には天罰が有るから。というのが大乗(大衆)仏教ではある。つまりぶっちゃけ子供を躾ける為のお伽話だヨ」
あ:「お伽話作家が言うと説得力があるな」
筆:「なので大乗では菩薩や明王は神仏ですが、小乗では単に悟りの段階、つまりその人の現実認識レベルを示す尺度でしかないのです。RPGで言うレベルやクラスでしかないんですね」
あ:「と云う訳で、筆者のなろう小説、『六枚の翼(前篇)』『八枚の翼と大王の旅』や『13個目のピーピングジャック』ではそこら辺が書かれているぞ」
筆:「宣伝有難う」
く:「まあでもホントは神も仏もいても不思議じゃないんじゃない? 俺自分の作品でバンバン登場させてるし」
筆:「実際の所は分かりませんけどね。ただ結局、子供の思う都合のいい大人と、大人になって初めてわかる本当に良い大人とは別物、みたいなものなんでしょうねえ」
あ:「そんなものかもな」
く:「新ログホラではどうすんの?」
筆:「まあ結局それがこの話のオチでもありまして、SFらしい解釈で行こうと思ってます」
あ:「つまりそれを予告する為にこの3ヶ月、このテーマを引きずった訳だな(呆れ)」
く:「wwwwww」
筆:「それでは来月はまた別のテーマで、勿論本編も宜しく」
一同:「「「じゃあね~(^^)/」」」
またまたまたあとがきのおまけ
そんなこんなで色々そのまま本にするのは問題が多い本編。
できれば出版の際には他の作家さんに清書を頼みたい所です。
もともと筆者は脚本形式でしか文章が書けず、小説家に向いてない事に気付く(今更かよ)。
子供の頃から作文や感想文が大の苦手でしたね。でも何故か小学校の頃から、文化祭のクラスや部活の出し物の劇の脚本監督を頼まれたりしたりする事が多く、脚本を書くのだけは得意だったんですよねえ。星先生(SFの大御所)のショートとか劇にしてましたよ。オリジナルも書いたし。
もし人生が違っていれば、ジーン君みたいに監督を目指すのも良かったかもなあ、とも思うのでした。中間管理はそれなりに得意だし。
とは言うモノの、新ログホラ終わったら、機械設計にも精を出したいし、十三個目のピーピングジャックも完成させなきゃだし、またガンダムも書きたいし、やる事はまだまだあるんですよね。ああ忙しい。
そんな訳でままれさん、はよ代筆作家さん探して~。と丸投げな筆者でした。




