狂王ダノーブとの戦い(1)
ソロモン(仮名)よ、私は帰ってきた!
(「もう勘弁して(TT;)」ソロモン(仮名))
メリークリスマス。予告通りのお久しぶりでございます。
皆様にまた会えまして(もしくは初めまして)感謝感激、東の外記でございます。
物語はいよいよ連載最後の一年間、クライマックス、ラストスパート!
第3章『狂王ダノーブとの戦い』と、最終章『記録の地平線』併せて12~13話(1クール)でノンストップで掲載の予定です。
何卒ログホラ全シリーズ完結の最後までお付き合いの程を。
それでは長らくお待たせ致しました本編をどうぞ。
m(--)m
―第25話:狂王ダノーブとの戦い(1)―
-1-
ヤマトサーバー、ナゴヤの地下深く。
「余は、余はたれぞ?」
真紅の玉座に座し、譫言を呟く男。
『汝は狂王ダノーブ』
「そう、余はダノーブ。だが狂王とはたれぞ?」
『思い出せ、汝は多くの者に裏切られた。血に狂い復讐に猛るは当然の事ぞ』
「おお、アラーキィよ、ダンジョーよ、何故余を裏切った?」
『そうとも、人は汝を裏切る。汝を裏切らぬはこの我、汝と身体を共にするこの計都星のみぞ』
「まことか?」
『まことまこと。故に安心して我の言葉にすべてを任せるが良い。汝のヤマトへの復讐に、幾らでも手を貸してくれようぞ』
-2-
セルデシア衛星軌道上、〈インブリウムの空中迷宮〉。
「さて、それじゃあここに来たもう一つの目的を果たそう」
シロエはそう言うと再びコンソールに向き合う。
「何何?」
「何なの?」
事情を知らぬヒリュウとソロモンが訊ねる。
「月に在るという、〈監察者〉のコミュニティと連絡を取る事だよ」
「分からん」
「そもそも俺達今ここに来たばかりだから、何を言ってるのかさっぱりわからん」
「なら黙って見てろ」
ツッコむカズ彦。
「老師、我々は茶の準備でもしておこう」
「にゃはは。アカツキっちも気分はすっかり甲斐甲斐しい若奥様ですにゃあ」
赤面するアカツキ。
そうなのかー、僕の部屋でリ=ガンの相手をしていたりとかもやっぱりアレ若奥様ごっこだったのかなー、とこちらも赤面するシロエ。
コホン、と咳払いをして再び操作に集中する。
「もしもし、そちら月面ですか?」
『ザザッ――――――、もしもし、―――――――ザザッ』
「「「つながった!!?」」」
「あれ、何か聞き覚えのある声の様な?」
「確かに」
『もしもし、こちら月面。〈監察者〉のコミュニティ代表、ベルゼビュートだ』
画面に映ったその見覚えのある眼鏡は―――
「「「クラスティ???」」」
「いや、違う。そうか、月面サーバー用のクラスティさんの別キャラだ」
『そのクラスティと言う名前はこのアバターの記憶に残っている。この身体の持ち主のもう一人のアバターで間違いないだろう。このアバターはおそらく本来の私と最も似ているが故に受肉したものと思われる。だから君達も私をそのクラスティのように思って話しかけてくれて構わない』
「そうおっしゃってくれると助かります」
『だからそう畏まらなくてもいいのだが―――、いや違うな。この身体の記憶では、君はそう言う話し掛け方をするのが常のようだ。似た者同士であるが故に逆に緊張感のある間柄、そう言った所のようだね』
「油断ならぬ関係。そう言った所ですかね」
「兄はおっかない困った奴だからな」
エプロンをつけたまま画面の前に寄って来るアカツキ。
『では私もおっかないと思ってくれたまえ』
その返答にシロエもアカツキもクスリと笑う。
空気も和んだその時。
『ザザッ―――――――、もしもし、―――――――ザザッ、こちらノベマウンテン』
「その声、ロエ2?」
『久しぶりだね、ロエ2。月面のベルゼビュートだ、こちらにも繋がっているよ』
『おお。それは丁度良かった。こっちは玉三郎とユークリッドもいるぞ』
「にゃははは、玉っち久し振りですにゃあ」
『おお、にゃん太もいるんだな』
『お久しぶりです』
「えっ? その声、まさか、ユークリッドって兄貴のサブキャラのユークリッド?」
『ああ、貴女はこの身体の持ち主の妹ですか。見た所濡羽の方ですね』
「え? アインス先生のサブキャラ?」
「そうなの。普段いい先生ぶってる反動で、このキャラ使って月面サーバーに居る間は難解な専門用語しか口にしない嫌な教授キャラなのよ」
「あっはっは。ストレスたまりやすい教職者あるあるだよな。ま、先生も人間って事だ」
気楽に笑い飛ばすヒリュウ。
「むう。私も教育学部なのだが気を付けねばな」
眉間にしわを寄せるアカツキ。
「そうだったの?」
「うむ。これでも教職志願なのだ。主君」
生真面目だから教師は向いてるのかもな、とシロエは思った。
『それはそうと、まずは君達の自己紹介をしてくれないか? 話し掛け方が分からなくて困る』
「失礼しました、ベルゼビュートさん。僕はシロエ。隣にいるのはアカツキ、それから―――」
シロエは26人の紹介を簡素に済ませて行く。
『分かった。それではシロエ君、とりあえずはどちらの話題を先にすべきだろうかね? 君達全ての地球への帰還についてか、それともこのセルデシアについて調べた互いの情報を照らし合わせるのが先か、どうする?』
「帰還の話をしたいのはやまやまですけど、折角ロエ2達とも繋がったんですし、ここは情報整理から先にしましょう」
『分かった。やはり君はこの身体の記憶に在る通り、合理的だね』
-3-
≪一つの宇宙に知的生命体はそれぞれ一つである≫
ロエ2やベルゼビュートの宇宙には、彼等以前に先住民とも言える知的生命体が存在した痕跡が残っている。
それらは〈ランク4〉知性体、オーバーロードと呼ばれている。
彼等は完全量子生命体にまで進化していた。
彼等は言葉がそのまま物理事象として顕現してしまう、超能力をも超越した、まさしく神の次元に達した生命体であった。
だが彼等はロエ2達の創造者の祖先が、〈ランク1〉知的生命体に進化するのと同時に、新たに他の宇宙を創造し、そこに転移し去って行った。
何故であろうか?
現在ではその答は〈共感子〉であると結論付けられている。
同一の宇宙内に別種の知的生命体が同時に存在すると、〈共感子〉の枯渇現象が起き、どちらの生命体も死滅してしまうのだと。
これは厳然たる数学的帰結である。
共同体成立の為に或るタブーを持つ知性体と、それと相反するタブーを持つ知性体が存在するとする。彼等が接触して同じ知性体として〈共感子〉を発生させるためには、大量の〈共感子〉を消費せねばならない。
何故なら相反する相手のタブー行為をそのまま容認すれば、自分達の社会の崩壊に他ならず、それを回避するには、新たな互いのタブーについての矛盾しない高次なルールを成立させて互いに納得する必要が有るのだ。
簡単に言えば、異文化の存在をそのまま受け入れれば、『あいつが俺達がやっちゃいけない行為をして許されるのなら、俺達だって好き放題やるぜ』と言った、不満感や反社会行為が必ず発生してしまう。
その文化的ギャップを乗り越えて相手を容認し共通の社会を築く、つまり新たな〈共感子〉の発生には、大量の〈共感子〉の消費が必要となる。
これが〈ランク1〉原初知性体と〈ランク4〉超高次知性体との間になれば、どれほどのモノになるだろう?
〈ランク1〉知性体は、文明すら持たぬ存在であるが故に生産性は低く、厳しい物質的節制をしなけれな共同体を存続できない。
だが〈ランク4〉知性体は高度な数学的演算によって予め分け与え合った量子量の範囲でなら、幾らでも好きなように物質を生成構築できてしまうので、物質的節制と言う行為が不要なのだ。
逆に〈ランク1〉知性体はまだコミュニケーション自体が未成熟であり、またその発言がいくら「死ね」「殺す」と言った稚拙なモノであろうと、それが別に大したモノではないと、自らの厳しく貧しい生存環境に比して、身を持って知っている(死ねと言われたところで実際に怪我の一つをするわけでもない)が故に、互いに無関心とも言える容認をするモノである。
だが言葉がそのまま物理現象となる完全量子生命体〈ランク4〉が「死ね」「殺す」と発言すればどうなるだろう? それはそのまま相手の即物的な『死』となってしまうが故に、彼等には高度な精神的節制が存在する。
〈ランク1〉が〈ランク4〉の物質的なタブーの無さに従えば、たちまちに〈ランク1〉社会は物質資源を失って滅亡し、〈ランク4〉が〈ランク1〉を同じ知性体と認め、その精神的タブーの無さに従えば、〈ランク4〉は〈ランク1〉を巻き込んで滅亡するであろう。
それが事前に予測できていたが故に、〈ランク4〉オーバーロードはロエ2達の創造者の先祖が〈ランク1〉に進化するその直前に、彼等の宇宙を去ったのだと。
そして〈エクリプス(合致)〉によって導かれたこのセルデシアは、おそらくオーバーロードが新たな宇宙創造の実験の一つで作った小宇宙なのではないか?
それ故に言葉がそのまま物理現象化する〈魔法〉と言うシステムが存在する。
そしておそらくは位相的に以前から地球の近くにあり、地球人の言う所の妖精郷、魔界、仙境、地獄、天国、妖怪の世界、神々の世界として、極めて限られた行き来が有ったのだろう。
地球の人々が思い描く集合無意識、ファンタジー異世界の姿がそのまま投影され、この世界は存在していたのだ。
だが近代に至ってこの世界はある地球の現象に大きく影響されるようになった。
それはゲームの発生である。
多くの人が思い描くファンタジー異世界とは、ゲームの世界となった。
そして、世界中で最も多くのユーザーが遊ぶファンタジーゲーム、〈エルダーテイル・オンライン〉とこの世界は、同時にこの世界に接触したロエ2達〈監察者〉〈採取者〉をも巻き込んで、セルデシアへと〈合致〉し、変貌を遂げたのではないか、と。
以上が話し合い、情報を摺合せて推理した結果、出した仮説である。
『ここにはオーバーロードの意志が介在していると思うかい?』
「介在して何らかの手段で観測していると思うのが妥当かと」
目配せし合うベルゼビュートとシロエ。
『するってえと、何の為だい?』
『別宇宙の存在である地球人と我々が同一の知的生命体として存在できるなら、オーバーロードと私達も同一宇宙に存在できる可能性が見出せるかもしれないからじゃないかな? 玉ちゃん』
『成程、オーバーロードによる壮大な実験場と云う訳かね? ロエ2』
『じゃない?』
『それにしてもシロエ君も〈共感子〉の基本法則を解いた様ですね』
「まあ、ユークリッドさんに出された宿題でしたからね」
「そう言う処、上から目線のクソ兄貴みたいでイヤ」
『元から似ているから受肉したのです。仕方がありません。なので私への侮辱と取りますが?』
「どうぞご自由に~」
アカンベーをする濡羽。
『馬鹿にしてる訳では無くてユーちゃんのでふぉ(仕様)なのだ。気にするな』
クスクスと笑うロエ2。
「では今度は僕達の地球への帰還について話し合ってもいいでしょうか?」
『問題ない』
『お兄ちゃんに手を貸そうではないか』
『本物の玉三郎も地球でにゃん太を待ってるだろうしな』
『ですが困難ですよ』
「それは貴方たち〈ランク3〉〈監察者〉が親和的であり、〈ランク2〉〈採取者〉が敵対的である事と、このゲーム〈エルダーテイル〉の仕様に由来しますよね」
『うむ』
『我々は己に似ているアバターにしか受肉できないからな』
『親和的NPCには強固な自我が有り、受肉は不可能。となると親和的でありながら空の存在である、非ログインPCにしか受肉できません』
『そして〈冒険者〉に敵対していて、ゲームシステムに支配されるが故に自我の希薄なモンスターNPCに〈採取者〉が受肉するのは当然ちゅう訳だ』
『問題は、その敵対するNPCにこそ、ゲーム内における強大な権限が持たされている事だね』
「この〈庭園〉の装置を使ってセルデシア中の〈冒険者〉を転移させるためには膨大な量のメモリシアが必要となります。そしてその大量のメモリシアが存在するのは月面の〈神酒の海〉只一つ。そうでしょう?」
『その通り』
『そして月面に君たち〈冒険者〉を招く事が出来る権限を持っているのは、〈典災〉の首領にして月面の女王、そして〈ランク2〉〈採取者〉のリーダーである〈エンプレス〉只一人だ』
『やっぱり説得できんかったんかいな?』
『〈監察者〉コミュニティリーダーの癖に情けないですね』
『不甲斐無い』
『―――――』
「つまり、このキャンペーンゲームをクリアして彼女に月面に招かれるしか手は無い。という認識で、間違いありませんね?」
『その通りだ。「本当に〈共感子〉問題を解決できるのなら、ゲームをクリアして私の前に来るなど容易いモノだろう? そうでなければ聞く耳など持たん」だそうだ』
「何て脳筋だ」
「カズ彦に言われるとは大概だな~」
「なんだと?」
カズ彦とヒリュウは睨み合う。
『現在確認されている手段は二つ。中国サーバーにおける中華平定、〈封禅の儀〉をクリアーするか、ヤマトサーバーに於いて〈狂王ダノーブとの戦い〉をクリアーして、〈ヤマト統一の儀式〉をフジ山頂にて行う事により、崑崙の女王〈西王母〉、またの名を月の女王〈輝夜姫〉。即ち〈エンプレス〉から招待を受け取れる事となっている』
-4-
中国サーバー。
「ヤマトに御帰りにならないんですか? ミ・ロード」
「ああ、高山君。敵〈典災〉のボスは崑崙、つまり月の女王〈西王母〉だと分かっているんだよ。そして〈封禅の義〉クリアーの報酬の一つは月面サーバーのアイテム解放とある。このまま攻略して行けば、彼女は嫌でも僕らを月面に招かないとならないのさ」
「や、ヤマトはどうするんです?」
慌てるレイネシア。
「シロエ君たちがどうにかするさ。だから僕は僕の我が儘で動く事にする。僕の統治システムで中国サーバーを平定し、その実験結果を持ってヤマトもそうするし、地球にも一度みんなで還る」
「そ、その後は?」
「君の我が儘も聞く事にしよう」
そう言ってクラスティは滅多に見せない優しい笑顔を見せた。
「もう。そんな事を仰ると反対できないじゃないですか」
頬を赤らめ、すねるふりをするレイネシア。
「じゃ、クラ君とはこれまでだね」
「ええ。お世話になりました、カナミさん」
珍しくクラスティが素直に礼を言う。
「何ならいい待遇で迎えますよ?」
「そうです」
引きとめる高山と滄溟。
「有難う。でもいいや。美味しい匂いはもう別の所からしてるから。ここにはもう私の美味しい処が無いもん。櫛ちゃんが君らの所を出たのもきっとそうだと思うよ」
「―――――――っ」
「きっと後は貴方たちでどうにかなると言う事デス」
「俺もなんとなく分かって来た。出る幕引く幕ってやつだな」
「決着はまたの機会に預けるとしよう!」
そう言ってカナミ一行は嵐のように去って行く。
「気にする事は有りません」
クラスティが高山を慰める。
「彼等は折角ロープウェーが有っても、わざわざ自分の足で山を登らないと山を登った気にならない変人達ですよ。櫛さんもね」
「では、わざわざ手間暇かけてロープウェー自体を作りたがるミ・ロードは、それを上回るド変態ですね」
「だから言い方」
「その言い方、昔に戻りましたね。ミ・ロード」
「お姫様の無茶苦茶な我が儘のお蔭ですっかりね」
「む、無茶苦茶とは何ですか?」
「ホントに君は苛め甲斐が有りますね」
「やっぱり今までもいじめてたって事じゃないですかっ!?」
「可愛いって事ですよ」
そう言ってクラスティはレイネシアを抱き締める。
レイネシアは耳まで真っ赤になった。
「ひっ、卑怯ですっ!?」
-5-
ヤマトサーバー、イコマ、プラントフロウデン。
「畜生! インティクスの奴、何で俺を置いて行ったんだ!」
叫ぶKRの姿がそこにはあった。
「そう言う所じゃろう」
「どういう所だよ? ガーたん」
「では訊ねるが、お主向こうでシロエとやらとインティクスとどちらの方に付くつもりじゃったのじゃ?」
「面白い方」
即答。
「そう言う所じゃ」
「そりゃいっつも〈茶会〉で大体シロエやカナミの方にばかりついてたけどさ、そんなのシロエやカナミの思い付きの方が面白いのが悪いんだろう!? 俺のせいじゃないって!!?」
「お主官僚とか組織人には死んでもなれんタイプじゃの」
-6-
セルデシア衛星軌道上、〈インブリウムの空中迷宮〉
「それじゃあ、ここでの用は粗方済ませたしヤマトに帰ろうか」
「うむ。主君」
「はっ? ちょっと待ちなさい! 勝手に全部決めてるんじゃないわよっ!」
呆然自失からやっと立ち直ったインティクス。
「主君に負けたのが悪いのだ」
「ぐぬぬうっ!」
「ハイハイ、インティクス、喧嘩がしたかったらフロウデンに帰ってからにして頂戴」
「何か僕がフロウデンに行くのは決定済みみたいな発言ですね、濡羽さん」
「勝負はアンタの勝ちだったんだから、フロウデンだって今後は全部とは言わないまでもアンタの意見を聞くわよ。て言うか、あちこち立ち行かない処あるから、助けて欲しいのは以前言ったように本音なのよねえ~」
「なら最初からそういう言い方で言ってくださいよ」
「………。どういう言い方で言ったのだ? 濡羽殿」
「あら、誘惑して口説いたのよ」
「――――――主君?」
「ちゃ、ちゃんとその時は断ったんだってば!」
「えっ!? やっぱ俺に飽きてたの?」
ショックを受けるヒリュウ。
「あ、あれは止むを得なくって言うか、本気じゃないからっ!?」
ロレイル達はそんな濡羽を見て悶絶する。
「ああ、俺達の姫様が~」
「お嬢が~」
「相変わらず見た目はいいからみんな騙されてますねー、先輩」
「うっさいわソロモン」
「中身こんななのに」
「オーナーに言われるとは大概ですね」
ヴァディスのツッコミにミカサのさらなるツッコミ。
「ま、いいですよ。引き受けます。それじゃあ次の目的地はフロウデンでいいかな? みんな」
「「「おうっ!」」」「「「はいっ!」」
-7-
ヤマトサーバー、イースタル、グンマ平原。
「我こそは北方将軍、カッツェー。皆、私の贄になりなさい。HYHAhahahah!!」
暴れ回る半人半竜の魔人。
「ひゅー。こりゃこないだのとはダンチだぜ、リーゼ隊長!」
「わかってますわよ!リチョウ!! それでもアイザック達が古宮廷から戻って来るまでは私達だけで踏ん張りますわよ!」
この前の敵は容易く蹂躙できた。
だがこの四天王とやらと言うレギオンレイドボスは半端ではない。
櫛八玉の助けを借り、新陣形、防御型車懸りの陣てすらなお、一進一退の攻防が精一杯だ。
だが、アキバの軍勢はまだマシだった。
ウェストランデ、ナラ盆地。
西方将軍ハシーヴァの前に、南征将軍ナカルナードと彼の配下、〈ハウリング〉メンバーは全滅に等しい打撃を受けたのである。
理由は取り入れたばかりの鋸陣(複合斜線陣)に有った。
実戦に使うにはあまりにも練度が不足していたそれは、移動すればすぐに陣形が崩れてしまい、そこを容易く蹂躙された。
かといって従来の戦法も通用しなかった。
己の武勇を頼りに力押しをするカッツェーに対し、伏兵や遊撃を多用する狡猾なハシーヴァが相手だった事も更に災いした。
軍事とは事前の連携訓練がすべてと言っても過言では無く、それは個人の武勇に頼ればいい、悪く言えばレベルの高さ頼りの冒険とは違う。
ナカルナードはそれは良く弁えているつもりだったが、それでも見通しが甘かったのである。
なまじ関西最強のギルドを率いていたが故に。
「クソッ!クソッ! クソォオッ!!」
ウェストランデはその領土の幾ばくかを〈典災〉の支配下に置かれる事となる。
イコマ、プラントフロウデン。
「馬鹿な、これまでは〈彼方からの呼び声〉から暫くしてからイベントが起きていたっ!
なのに〈彼方からの呼び声〉と同時に四天王が戦場に現われるだなんて!?
前もって準備できないじゃないかっ!
〈典災〉は、ゲームシステムすら自由にできるって言うのかあっ!!?」
その存在意義を覆された“予言の歌い手”クオンの叫びが、館に木霊した。
―第26話に続く―
●おまけ
◎ヒリュウ(猫人族、武闘家、義侠)
こいつ紹介するのヤだ(おい)。とばかり言ってもいられないので解説。
ソロモン(仮名)の某ロボット小説ファンならお馴染みの人がモデルになった人がモデル(ややこしい)の美形ハーフ。性格は無論お気楽お茶らけ、でも時々熱血な残念スナイパー。濡羽(仮名)の某小説の某武闘家(フ○イロン)のモデルになった人がモデルであるのも本編で触れた通り。
カナミと同じで、自分のやりたい事しかやらない小学2年生のテンションで生きてる『小2病』の困ったちゃん。あー、だからカナミの旦那と性格反対なのにカナミと同じ様に馬が合うのか。納得。だがこいつの尻拭いをして説教するのいつも面倒臭い。でもせずにいられない(溜め息)。筆者ことデュークのび太の眉間の皺の元である。
筆者(以下:筆):「今回のテーマは『既得権益とエンゼル投資家』で~す」
クラスティ(以下:作):「また読者が食いつきそうもないテーマだね。そう言うのは活動報告でやった方がいいんじゃないかい?」
筆:「まあそうなんですけどね」
作:「まあ小説中ではエンゼル投資家が増えて上手く言ってるが、現実の日本ではエンゼル投資家が多くいた方が経済が発展すると分かっていても何故そうならないのか?と言う所かな?」
筆:「単に不景気が原因では無いんですよねえ」
作:「それも原因ではあるが、投資税制が既得権益に有利なのも問題だね」
筆:「新しく創設される企業よりも、創設して一定期間たった企業に投資する方が税が安く済むと言う、日本独自の珍しい税制が有るからですよね」
作:「なので日本では基本的にベンチャー企業を非常に起こしにくい」
筆:「これだけ言うと、大蔵省と旧財閥系企業との醜い癒着だと思うかもしれませんが、これには企業モラリティの問題もあるんですよねえ」
作:「鴻ノ池(仮名)のような旧家では企業モラリティ、ヨーロッパ風に言えばノブレスオブリージュを重視する。なので例えば採算が合わないのも承知で地域貢献として路線バスで赤字路線も運営しているのだが、新興企業や外資は儲かる路線だけを低価格で運営し、他の旧家では泣く泣く地域住民の貴重な交通手段である過疎地域路線を放棄せざるを得ないと言う事態になっている。他の業界でも似た事例が多く頻発するので、新しい企業を冷遇せざるを得ないのだ。と、妖怪爺たちは常々言っているよ」
筆:「まあそこでですね、例えば路線バスならば、各自治体が路線全長に応じて補助金を出し、その代わりにバス一台毎の基本ライセンス料の大幅な値上げをして、短い儲かる路線だけ本数を多く運行する新興業者は逆に儲からないシステムとかを作るのも手だと思うんですよ。誰かこのアイディアを元に、ちゃんとしたシステムを作ってくれないモノですかねえ。俺本職じゃありませんし」
作:「…………また君はそうやって僕を掌で躍らす気かね?」
筆:「いえいえ滅相も無い。俺は只やりたい事をやりたい人がやってくれれば皆幸せだと思ってるだけですよ」
作:「うわー! こいつの前で『自分の方が上手くやれるのに』なんてうっかり口滑らせなければよかった!」
筆:「アムロですかアンタは。あ、ちなみに各自治体と言うのがミソで、これを国単位にしちゃうと、儲かる路線だけ各都市中心部で運行して、路線全長が長いよ! なんて言うふざけた業者が出るのを防止する為ですから、そこは変えないで下さいよ」
作:「相変わらずそう言う所だけは妙に手抜かりの無い潔癖症だよね」
筆:「お褒めに預かり恐縮です。てな訳で、普段筆者と作者がどんな通信を送っているのか読者にも知ってもらおうのコーナーでした」
作:「おひ」
筆:「助けてままれも~ん。僕デュークのび太」
作:「開き直ってネタにしてるんじゃない!」
一同:「「チャンチャン。それではまた来月~(^^)/」」
あとがきのオマケ。
いよいよ全力戦闘管制も大詰めとなってまいりました。
なのでこの一年を勝負の年と思い、昔の知り合いや関係者、知り合いの知り合いの知り合い、もしくは昔の筆者のゲーム時代の講義≪紫の謎≫のコピーを受け取った方までに限り、今更ですが、≪紫の謎≫講義内の文章、及び新ログホラのあとがき記事、活動報告の記事内容の引用転用を許可しますのでバンバン使って下さいね。できれば引用元で東の外記の名を入れてくれると幸いです。
ヴァディス(仮名)に限り刀の方の〈斬徹〉の製造法も転用していいよ~。
今にして思えば作家先生や業界人の群れ成す某魔窟シナリオに顔を出して、事も有ろうに先生にモノを教える〈デネブの教授〉などと大きく出て失笑だのいろいろ買ったりした当時が懐かしいですねえ。まあその後逆に言う事がガチすぎて、いつでも反論ご苦情受け付けますって言ってんのにその手のは何も来ない沈黙が支配し、海江田艦長ヨロシク沈黙の艦長との異名を勝手に名乗る事に成ったりならなかったり。行けヤマト、波動砲発射だ(やまと違い)。
いえただ単に反論しようとするとそこに特大の地雷置いてるだけですが(ハラ黒)。
「そうだ、もし反論するのならばその進路を取るしかないのだよ」
でもまあ落ち着いて機械みたく文章構造組み立てたらの話で、普段話す時は劇中のシロエよろしくポンコツの凡人ですので、ネットトークショーとかには呼ばないで下さい(ヘタレ)。




