王達の屹立(13)
謹賀新年明けましておめでとうございます。
本年が貴方に取って良いお年でありますように。
今年もまた皆様にお会いできて感謝感激の東の外記です。
それでは早速お休みなさい。
いや、ギャグじゃなくて本当に10か月の休載の御報せです。
このまま続けるとペース的に中途半端な所で皆様にお待たせする事になり、また未熟な筆者にも余計なプレッシャーがかかって作品の質が低下すると判断し、この際10ヶ月のお休みを頂き、その間に満足の行く形で書き溜めて、残りを第3章の最期まで、あわよくば第4章ログホラシリーズ全ての完結まで一気に連続掲載したいと思っております。
それではまた12月にお会いしましょう(^^)/!
いやいやちょっと待て、その前に〈王達の屹立〉最終話をどうぞ!
どうか貴方の期待していたエンディングでありますように。
m(--)m
―第24話:王達の屹立(13)―
-1-
セルデシア衛星軌道上、〈インブリウムの空中庭園〉。
庭園の最奥の部屋は虹色の光の奔流に呑まれていた。
必死に目を細め手で庇いそれに耐える一同。
ただ一人セララだけが呆然と膝を床に突き、
「にゃん太さん、にゃん太さん―――」
と譫言のように繰り返す。
光の洪水はたっぷり30秒は続いた。
それは特にセララにとっては永劫に等しい時間だったかもしれない。
それがようやく収まった時―――
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ~~ん!」
「やめんかっ!」
アホが二人現われた。
「えー? なんかこれって流行りの異世界召喚だろ? ならお約束は言わないと!」
「お前ホントに聞きしに勝るお調子者だな。小説のネタにした俺も俺だが」
ツッコミ担当の一人は、漆黒のミリタリーコートの様な外套と野戦服の様な迷彩柄の皮鎧に身を包み、リピーターと呼ばれる連射石弓を担いだ〈暗殺者〉。
ボケ担当のもう一人は、虎柄模様のライオンと言う奇天烈な猫人族の〈武闘家〉。
「何だ、この小学2年生みたいな馬鹿は?」
呆然と呟くロレイル。
「ヒリュウ―――?」
そしてもっと呆然と呟く濡羽。
だがそんな声も掻き消すように――――
「にゃん太さんっっ!!!」
少女は愛しい人の胸に飛び込んだ。
「おおっと」
慌ててセララを受け止めるにゃん太。
「にゃはは、御免ですにゃ、セララち。実は我輩とシロエちは最初からヒリュウちをこの世界に呼ぶつもりだったですにゃ。でも万が一にでも濡羽ちに知られると不味かったですから、敵を欺くには味方からと云う訳で、二人だけの内緒にしていたにゃ」
「ホントに、本当に、悲しかったんですよっ!」
「すまなかったにゃあ」
セララはにゃん太の胸に顔を埋め、後はもう言葉にならずむせび泣いた。
にゃん太はただ優しくセララの頭をポフポフとあやした。
「貴様、ヒリュウとやら、一体何者だ!?」
穏やかならぬロレイル。
「お、それを聞く? よろしい、ならば教えてやろう」
無意味に胸を張るヒリュウ。
「曲がった事が大嫌い~、あ~さ~の~たい~いつです♪」
「今時誰も知らんぞそのギャグ」
「久しぶり、ソロモン、ヒリュウ」
呆れながらも挨拶するシロエ。
「ふん、相変わらずの小二病だな。まったく」
「ケッ、武術オタの厨二病が言うか?」
すらりと剣を抜くカズ彦と拳を構えるヒリュウ。
「やめんかっ!」
二人の頭をはたく濡羽。
「うわホントに濡羽からチャットで聞いたまんまだな、こいつら。自分の小説のネタにしておいてなんだけど」
「小説のネタと言えばソロモン、勝手に僕痛グラップラーにされたんだけど?」
「ヤダなー、軽い冗談じゃん、シロさん。メンゴメンゴ」
「濡羽殿、これが、その、ヒリュウ殿なのか?」
ハトが豆鉄砲喰らったような顔で訊ねるアカツキ。
「ごめんね……こんな残念な奴で」
「いや、そんな事は言わないが、何かこう予想と少し違っていたと言うかなんというか」
「はっきり言っていいのよ、アホとか馬鹿とか残念とか」
「ヒッデーな~。それが戻らぬお前を探して、世田谷のヤマトサーバー本部でバイトまでして、はるばるここに召喚されてきた俺に言う台詞?」
「言う台詞」
「本当はこんな小学二年生がそのまま大人になった残念な人呼びたくなかったんですけどね」
「またまたシロっち、冗談ばっかり。やっぱり俺様の手が必要だったんだろう?」
「本当にそうだから頭痛いんです」
「俺は何で呼ばれたの?」
置いてきぼりにされかけていたソロモンが訊ねる。
「ヒリュウとソロモンが向こうからメッセージを送ってくれてた事が、僕の情報網に入ってたからね。最悪ヒリュウが呼べなくても、ソロモンからだけでも地球の情報が聞ければいいかなとも思って」
「何だついでかよ」
「ヒリュウ一人だけ呼ぶとカズ彦と仲悪いし、こんな性格だから収集付かなくなると思ったのも有るよね」
「流石デューク。石橋を叩いて渡るだね」
「その呼び名もやめて」
「よう、濡羽、そいつが噂のヒリュウなんだろ? オレ達にも紹介してくれよ」
「ですです~」
つめよるマヒルとアヤメ。
「いや、その、こいつとなんか、何でも無いのよっ!」
「そうだな、お前が俺を振ったしな」
「は?????」
ハトが豆鉄砲喰らった上に泥水まで掛けられたような顔になる濡羽。
「嘘よ! 逆よ! だってあの時の公式オフ会に来なかったじゃない! たまたま口説いた安倍野華留真の正体が私だって知って、愛想尽かして逃げたんでしょ!!?」
「いや待て待て、そっちこそ逆だろ! お前が俺に愛想尽かしてアインス先生と付き合い始めたって。俺、二人が一緒に先生のマンションから仲良く出てくる写メ貰ったぞ!!??」
「はあ?」
「だから俺、お前の事泣く泣く諦めてアメリカに行ったんだけど」
ぼぐしぃっ!
濡羽の拳がヒリュウの顔面に会心の一撃。
「な、何すんだ? このキアヌ=リーブスも羨む超イケメンフェイスにっ!?」
「猫の着ぐるみに美形も糞もあるかあぁっ!!」
「着ぐるみじゃ無くてアバターだろがっ!?」
「どっちでもいいわっ、そんなんっ!」
「―――。ヒリュウさん知らなかったんですね」
溜め息を衝くソウジロウ。
「アホだな」
笑うカズ彦。
「あのさ、ヒリュウ、言いにくいんだけどさ」
「何だよシロっち?」
「阿倍野さんとアインス先生が兄妹だって、ちゃんと二人とも〈ホネスティ〉の運営サイトで公表してたんだけど」
「まあ確かに濡羽さんと阿倍野さんが同一人物だとは公表してませんでしたけどね」
苦笑するソウジロウ。
「え?ええええ!?!? うっそ~~~~~~~~~ん!!!!」
-2-
中国サーバー。
「クラ君、大丈夫?」
地面に横たわるクラスティを覗き込むカナミ達。
一同はどうにか呂凱と蝶鈴を倒した。
このゲーム自体は黒龍結社とカナミパーティーの勝利ではある。
だが、しかし――――
「大丈夫に見えますか?」
「死にかけに見えるよー」
苦笑で応えるクラスティ。
「治癒ヲ御所望デスカ?」
回復魔法を掛けようとするコッペリアの肩を朱恒が掴んで留め、首を振る。
「……無駄だ」
「社主様は治癒を受け付けぬお体なのです」
唇を噛む滄溟。
無言で見守るレオナルドとエリアス。
「―――この〈呪毒〉って、復活しても付きまとうんですよ。僕はHP回復が出来ない身体ですから、これから戦いの度に延々死に続ける運命なんです。たとえ相手がスライムで一点もダメージを喰らわなくても。そして経験値ペナルティを喰らい続け、最後にはレベル1になって神殿の寝台の上で、復活即死亡をゲームが終わるまで永遠に繰り返すんです。参りました」
「その割には明るいね」
「もう嫌な事をしなくて済みますからね。好きなだけ怠けて寝て暮らせます。家だって世間体だって関係無くなりましたから、見境なく女性だって口説けますよ。貴方は以前はリスクが高すぎて関わりたくない女性でしたが、男前ですよね。口説いてもいいですか?」
「残念。夫も子供もいるのー」
「知ってますよ」
「以前、シロ君もそうやって振ったんだよね」
「そうですか」
「だって、本当に必要な人ってのはね、その人が自分が本当にしたい事をしているのをカッコいいって思って、本当は自分がしたくない事をするのを悲しんで哀しんでくれる人なんだよ。
私と旦那はお互いそうなんだけど、シロ君やクラ君に私はそんなんじゃない。むしろ自分に似てる戦友。例えばシロ君をそう思ってるのはアカツキちゃんだよね。君の妹」
「知ってますよ」
「だから、君をそう思ってくれる人は別にきっと現われるし、ひょっとしたらもう現われてるんだよ?」
「………。彼女は、そう思ってますかね? どこか妹に似たおませな姫君は」
「いるんじゃん。じゃあ、死んじゃ駄目だよ」
「ああ、僕は彼女に期待してたんですね。からかって楽しいだけじゃなかったのか」
「死ぬな! ファイトだ、クラ君!!」
「無茶言わないで下さい。それこそ奇跡でも起きない限り――――」
「クラスティ!!!」
一瞬、幻聴かと思った。
だが目を向ければそれは見間違えようも無い、冬薔薇と称えられた無二の美貌。彼女はその白い頬を朱に染め銀の髪を乱し、息咳を切って、懸命に、懸命に駆け寄ってくる。
「――――――レイネシア?」
「大丈夫ですか!?」
レイネシアは冷えてゆくクラスティの手を取った。
「今癒しますっ!気をしっかり!!」
「……無駄ですよ」
「嫌ですっ!あなたには私が必要で、私にはあなたが必要なんですっ!諦めませんっ!!」
そして奇跡は起こる。
レイネシアの祈りに応え、天から天使たちが舞い降りる。
無数の純白の羽根が舞い散り、その羽根は全て光の粒子となり、クラスティの身体に吸い込まれて行った。
「馬鹿な?―――――」
気付けばクラスティのステータス画面から、〈典災〉達に与えられた全てのバッドステータスが消え去っている。
「こんなスキル、知りませんよ、今までゲームには一度だって?―――」
「彼女は本物の聖女だったんですよ」
いつの間にか来ていた高山女史が、常のように淡々と告げる。
「高山君?」
「さあ、早く聖女様を連れてヤマトに帰らないと。重要NPCなんですからね、アキバの皆がゲームをクリアできずに困ってしまいますよ。
本気出してください、ミ・ロード」
「本気を出してください」
レイネシアが愚かしく真っ直ぐにクラスティを見つめる。
「私が手伝います。分からず屋の貴族なんて、私が一人残らず説得して見せます。
貴方は貴方が本当にやりたい事を、ヤマト中がアキバの様に豊かになる世の中の仕組みを作って私達に与えて下さい。
私の騎士なんでしょう? 責任とって最後まで勤めて下さい。
私の王子様は、もう貴方だけなんです。
そしてあなたの望みを適えられるのも、きっと私だけなんです」
そう言うと、レイネシアはクラスティの胸に顔を埋め、泣き始めた。
「ク、ク、ククク――」
クラスティは笑い始める。
「ハ、ハハハ。アーハハハ、アーハハハハハハ」
随分長い事笑っていたが、やがて彼もレイネシアのように涙を流し始める。
そしてその涙が枯れるまで、レイネシアは固く抱き締められ、離してもらえる事は無かった。
-3-
感動の再開劇の一方、セルデシア衛星軌道、〈インブリウムの空中庭園〉では、世にもグダグダな再開劇が繰り広げられていた。
「どうしよう、俺、自分の小説中で残念スナイパー殺しちゃったよ!」
「実は生きてた事にすればー?」
「それだ!! ヴァディス最高!!」
ソロモンたちは自分の作品の心配とかする始末。
「へらへらさんってこの人がモデルなんですか?」
「確かにヒリュウを中国語読みすると…………、なんだかショックだ。思ってたのと違う」
濡羽の小説と現実の落差に落胆するセララとアカツキ。
「いえ、私怖ろしい事に気付いたんですが、この人猫人族ですよね?」
「………まさかドラ猫さんまで??」
二人が真相を確かめる為に濡羽に話しかけようとすると、
「あー、もう最低!最低!最低!! アタシの青春を返せっ!! もう、こっちで取り返すっ! 地球になんか帰るもんかっ!!」
爆発した。
「決めたわよ、シロエ! アタシ、絶対に地球になんか帰らないっ!ずっとこっちで暮らすっ!! 通路なんて閉じたままでイイっ!!」
「何でそんなに地球に還りたくねーんだよ?」
問い質すヒリュウ。
「アンタ達一般人は平和ボケしてるけど、今の国際情勢って洒落になんないのよっ! アタシがいくら頑張っても無駄な位っ!! いつ日本が倒れて、世界中が泥沼の紛争だらけにだってなりかねないのよっ!!
◎×国とか△※国とかっ、本当に洒落にならないのっ!」
静まり返る場。
「あ~~~、俺、それ解決したわ」
ぽつりと漏らすヒリュウ。
「「「は??」」」
「例の問題だろ、俺様アメリカで偶然お前の父ちゃんと会ってよ、黄昏てっから酒場で飲んだら意気投合して、ちょちょっと手伝ったら大統領とトモダチンコになってよ、平和会議が行われる事になって解決したぜ、まぢで」
「「「はあああ???」」」
「濡羽、お前何でそんな顔してんの?」
「あ、あ、アタシの◎年間を返して。
こいつ連れて世界中回ってりゃ、全部上手く行ってたって言うの??
アタシの◎年間全部徒労? 嫌~~~~~~~~っ!!??」
「なんかこう、普通のラブロマンスの逆の意味で惨いな」
「だからとっととくっついときゃ良かったんだよ」
「まったくです~」
「アホらし過ぎる」
「でで、でも、アタシには婚約者がいるのよ! うちのゴッド婆からは世界中どこに行っても逃げられない! もう、このセルデシアしか!!」
「濡羽、俺様が説得してやる」
「そんなの無理よ!!」
「諦めんなよっ!――――――って、ちょっと待て、何だこれ? あれれ、アイコンって、こんな見え方するんだ? アインス先生からのチャット?」
『もしもし、ヒリュウ君かい?』
「そうッスよ、先生」
『本物のヒリュウ君か!? 良かった、妹が喜ぶよ!』
「もう今まさに再会してる最中スよ。アインスお兄様、今後とも是非このキース=浅野泰一を宜しくお願い致します!」
『――――は??』
「何ですか? お兄様まで??」
『キース=浅野泰一? それは本名かい!?』
「本名っすよ」
「へー、本名だったの、アンタ。浅野って忠臣蔵ネタからそのままノリと冗談で言ってるんだと思ってた。泰一が名字だと思ってたわ」
「オレも」
「うん」
「いや、本名ですにゃ」
「オフ会で会った僕らは知ってましたよ」
「ああ」「はい」
『……………………。
いいか、濡羽、落ち着いて良く聴け。
お前の許嫁のバカ殿様はな、――――――――――――彼だ』
「はあああああああああ~~~~~~~~っ!?!?!?」
濡羽は泡を吹き、そのまま気を失って倒れた。
太平洋戦争当時。
『浅野大尉、本当に有難う! 君の隊のお蔭で私と私の部下は生き長らえた。君が浅野家を再興した日には、私の孫娘なりを君の跡継ぎに嫁にやろう!』
『はっ! 身に余るありがたき光栄であります、藤原外交特使殿っ!』
「あー、そういやガキの頃爺さんに、お姫様を護れる立派な男になれって言われた事あるわ」
「………惨い」
「何でしょう、ハッピーエンドの筈なのに、この残念感って」
「ヤベー、まぢで濡羽が憐れでならねー」
「おい、俺様だって仲裂かれかけて可哀想だったんだぞ!? 俺様への慰めは??」
「人徳でしょうね。どうでもよく思えます」
「やれやれですにゃあ」
「処でヒリュウ、大統領とお知り合いなら、これをああしてこうするのを頼めませんか? するとこうなります」
「えええーーっ!お前やっぱハラ黒!! 何でそんなの思い付くの?」
「まあ、この際言いますけどそう言う社会の流れが脳内で立体図形みたいに見えるんです。子供の頃から自分や他人の心や、流行や経済の移り変わりを脳内で図形に変換する内になんとなく。家が貧乏だったんで、新聞が幼稚園児の娯楽だったんですよ。小学生以降もそれなりに続けてて、アシモフにちなんで心理歴史学者(笑)って自称してます。それで、今回のを二次元図形にするとこんな感じですね」
「「「さっぱりわかるか~~~~~っ!!」」」
だが一人だけついて行く者がいた。
「主君、それならここをもっとこう正確に出せるのではないか? この曲線ならば計算式を出せるぞ」
アカツキである。
「え?」
「黙っていて悪かった。私も子供の頃数学の天才と言われて居た事が有ったのだ。特別扱いされるのが嫌で馬鹿になった振りをしていたし、役立てようとも思わなかった。本当ならもっと早く主君の役に立てていたのに、済まない」
シロエはそっとアカツキの頭の上に手を載せる。今度は文句を言われなかった。
「――――――。いいよ、アカツキ。これから協力し合えばいい。ずっと」
「お、おい!? 何でそっちはいい話になって俺様達はグダグダなんだ??」
喚くヒリュウ。
「人徳」「品性」「日頃の行い」
「ぐはあぁっ!!」
そんなこんなをしていると、
「あ、あれ、アタシ気を失ってた?変な夢見てたような??」
濡羽が正気を取り戻した。
「いや、現実だって」
「はっ!? 現実と言えば、ヒリュウに写メ送った犯人って、一体誰なのよっ!?」
「マスターミフネとセドリックな」
「ソロモンとヴァディスの舎弟じゃないのっ!? アンタらそこに座れえぇっっ!!!!」
「「えええええええええ~~~~~っ!!??」」
-4-
ヤマトサーバー、イースタル、エターナルアイスの古宮廷。
老セルジアッドが居並ぶ貴族を前に議長として重々しく口を開く。
「投票の結果を告げる」
イースタルの壮々たる重鎮たちが各々に身じろぎし、ゴクリと喉を鳴らす。
「自由都市同盟イースタルはウェストランデとの不戦平和及び〈典災〉に対する軍事相互派遣同盟の条約を締結する事を、賛成多数により可決する」
その宣言はおおむね歓声と拍手によって迎えられた。
「そして、ウェストランデに派遣する軍の総大将である、征夷将軍には、最も得票の多かった我が孫、イセルス=コーウェンをその任に当てるものとする」
更に大きな歓声と拍手が沸き上がる。
「やったあ!!」
感極まったサリーシャに抱き付かれたイセルスとマインバッハが頬を赤くする。
男の子二人は互いを見てそれに気付き、やがて見えない火花を散らした。
そして呟くトウヤとアイザック。
「俺も負けてらんないよな」
「だな」
-5-
セルデシア衛星軌道、〈インブリウムの空中庭園〉。
濡羽がソロモンとヴァディスに説教する一方、にゃん太がソウジロウとマヒルに向き直る。
「さて、今度はソウジロウにゃ。そろそろあれを打ち明けたらどうにゃ? 最近の君らは見ていられなかったにゃあ」
「言わなきゃ俺が言うぞ」
敢えて凄んでみせるカズ彦。これも介錯を買って出る武士の情けである。
「いえ、自分で言います」
眦を引き締めるソウジロウ。
「マヒルさん」
「何だよ?」
「僕のギルド、〈西風の旅団〉は、ハーレムギルドって呼ばれてるんです」
「――――知ってた」
「……………」
「ちょっと前に念話でダチから聞いた」
「マヒルさんっ!」
「言い訳なんか聞きたくない。十把一絡げのハーレムの一員に加えられるのなんか真っ平だ。
いいお友達でいましょうってヤツだ。それで充分だろう?」
「ちがいますっ!ボクは、たった一人と一人が添い遂げあうのが望みですっ!
それは貴女とでなければ嫌なんですっ!!」
「口先だけなら何とでも言えらあッ! ハーレム解散してミナミに身一つで来いっ!! それが出来るもんならなっ!?」
「―――そうします」
「………え?」
「ちょっといいかい?」
そこにナズナが口を挟む。
「アタシ等さ、ソウジロウと一つ屋根の下で暮らしてるけど、寝る所は別々。つまり、誰一人そういう仲になってないんだよ」
「ナズナ………」
「最後に女の格好ぐらいは付けてやるよ、ソウ。
ま、その代わりと言っちゃなんだけど、ソウジロウはくれてやるけど、ギルド解散は無しにしてくんない? 一応、アタシら友達、仲間同士の家なんだからさ」
「馬鹿野郎! そんなの許すよ、そうしてくれるなら許すに決まってるじゃねえか!
こちとら江戸っ子だぞ」
「マヒルさん、それじゃあ」
「泥棒」
「マヒルさん」
「ハート泥棒。責任取りやがれ!」
そうしてソウジロウとマヒルは抱き合った。やがてソウジロウはキスを求め、マヒルも、最初は躊躇いながらも受け入れ、情熱的な口づけを交わしたのだった。
「何だよ、カズ彦、見せろよ!ケチ!!」
「駄目だ、玲央人。ガキにゃあまだ早い」
「はわわわわ」
「すてきです~」
一同はその光景に釘付けになる。
だがふとシロエはアカツキを見る。
アカツキもこちらを見ていた。
シロエは何故この娘と目を合せるのが苦手だったのか、唐突に理解する。
ずっと見つめていると吸い込まれそうになるからだ。
彼は今日ばかりはそれに逆らわず、そのまま顔を近づけ、そっと唇を重ねた。
それは誰にも見られ無かった。
-6-
そして中国サーバーで、クラスティとレイネシアもまた、唇を重ねた。
-7-
最後に、テツロウは最後の一回分のメモリシアを使い、地球の世田谷、ヤマトサーバー室に無事帰還した事を付け加える。
この日、セルデシアに、幾人もの王が屹立した。
そして王達の多くは、姫君と、ようやく結ばれたのだ。
もちろん、地球に於いても、テツロウとミチルもまた唇を重ねたのである。
♪幼い頃は持っていた 夢見る勇気下さい
世界さえ救えるくらい 夢見る力をみんなに
フライング・ソーサー フライング・ソーサー この星のみんながヒーロー
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 願い祈る歌唄おう
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 銀河の果てに届いたなら
フライング・ソーサー フライング・ソーサー みんなの元に帰ろう
大切な人の側で 掛け替え無い人になる
掛け替え無い人の側で 大切な人になる
大切な幸せの 僕と貴女になる
フライング・ソーサー フライング・ソーサー♪
―第2章『王達の屹立』終わり。次章『狂王ダノーブとの戦い』へ続く―
筆者(以下:筆):「そんな訳で無事『王達の屹立』も最終話を迎える事が出来ました」
アカツキ(仮名、以下:あ):「みんなここまで有難う、次章『狂王ダノーブとの戦い』も宜しくな」
ソロモン(仮名、以下:そ):「わー、パチパチ」
ヴァディス(仮名、以下:ヴ):「実に目出度い。で、何で第2部最終話なのにこの面子?」
筆:「それはね(にっこり)」
そ&ヴ:「「な、何かな?(嫌な予感)」」
筆:「ヒリュウ(仮名)に頼まれて、君達の公開処刑をする為だよ~」
――ばったりと倒れ伏す二人――
そ:「ううっ、悪気は無かったんや」
ヴ:「かんべんしてくれ~」
そ:「そもそも俺達じゃなくて舎弟どものしでかした事じゃん~」
あ:「情けないなあwww」
筆:「そうはいっても昔とは言え有名人気作家の恋愛を邪魔していたなんて、業界で噂になったら君達の今後に差し障り有るんじゃないの? だからこれは温情だよねえ」
ヴ:「実行犯は別にいるんだって!」
そ:「確かに俺達の管理不行き届きだけどさあ!」
筆:「実行犯も君達が身代わりに罰を受けてくれないと枕を高くして寝れないでしょ。いつネットやゲームの集まり上でその事がばれるかびくびくして生きなきゃなんない(なので反省しろよ)しねえ。その上で君らが実行犯にペナルティを課せばいいじゃん」
あ:「もっともだな」
筆:「ヒリュウ(仮名)の要求は今後3年ヒリュウ(仮名)と濡羽(仮名)の舎弟になる事」
そ&ヴ「「ええ~~~~~~!???」」
そ:「あの品性お下劣男の舎弟になるなんて~!!?」
ヴ:「い~や~だ~!!!」
あ:「濡羽(仮名)殿の舎弟になるのはいいのか?」
そ&ヴ:「「命が惜しいのでノーコメントで」」
筆:「それだけじゃなくてね」
そ&ヴ:「「まだあんの!?」」
筆:「以前ソロモンとヴァディスが俺の事を『痛バキ』呼ばわりしてあまつさえ小説のネタにしちゃったのさ、俺、これでも明治日本陸軍乃木大将に、剣の腕で取り立てられて近侍従卒を務めた、森蘭丸や森長可で有名な作州津山藩主森家に連なる血筋、『明治の鬼武蔵』森周平の孫なんだよね~。どっかの賢者の孫じゃないけど(苦笑)」
そ&ヴ:「「ええっ!??」」
筆:「言うならばね、柳生新陰流の正嫡を痛ケンシロウ呼ばわりしたとか、フィギュアスケートの織田信成さんを、信長の子孫を自称する痛い奴とか言っちゃたに等しい無礼に当たるんだよねえ。下手したら板垣恵介先生にまでとばっちりが行くかもしんないから、君達を吊し上げておかなきゃ示しがつかない」
――またばったりと倒れ伏す二人――
あ:「だから主君は主君だと言ったろう?」
筆:「本来ならその筋の方々から総スカンを喰らう処を、俺とあっちゃんの舎弟にも3年間なる事で、みんなへのアピールにして済まそうという温情救済措置なんだよねえ、これは」
そ&ヴ:「「選択の余地がねえっ??!!」」
筆:「拒んだり逃げたりしたらその分の期間の倍ペナが増えるかんね」
――またまたばったりと倒れ伏す二人――
あ:「と云う訳で温情ある公開処刑でした。翔丸組に入るんだ!(by能篠先生)」
筆:「ままれさんの好きな作品だね」
あ:「うむ。奴の本棚に有ったので勝手に読んだ」
筆:「それでは公開処刑はここまで(苦笑)。第3章『狂王ダノーブとの戦い』は年末12月からUPの予定でーす」
あ:「どうかお楽しみにな!」
筆&あ:「「それじゃあ、まったね~(^^)/」」
追伸:『明治の鬼武蔵』森周平の孫が描く異世界転移武術小説、『六枚の翼(前篇)』と『八枚の翼と大王の旅』も『なろう』にUP中! どうか宜しく!(宣伝) 近未来サイバーパンク武術小説、『十三個目のピーピングジャック』もね!




