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第1話 日常の日常

なにもないいつも通りの平和。


これが永遠に続けば。

6月1日


黒川(くろかわ) 流一(りゅういち)は目を覚ました。


いつも通りに周りを見渡した。


読みかけの雑誌、読みかけの漫画、昨夜飲んだコーラのペットボトル、積まれた教科書の山、いつも通りだった。


ひと息に立ち上がり、伸びをした。


そして、外を見る。


いつも通りの快晴。


梅雨が近づいているというのに、まだ来ないといわんばかりの快晴だ。


「いい天気だな・・・・。」


そう呟いてから、クローゼットにしまってある学生服に着替える。


ワイシャツとズボンを着たところで、片手にまだ結んでないネクタイを持ち、もう片方の手で学生カバンを手にとり部屋をでてリビングへと向かう。


「おはよう。 奈々ちゃんはもうご飯食べて用意してるわ・・・・あら、どうしたの? なんか寝れなかったみたいな顔して。」


母がそう尋ねてきたので、「いつも通り寝れたよ。」とだけ答え、食卓に座り朝ごはんを食べる。


母に尋ねれるまでもなく、たしかに今朝はなにかがおかしかった。


よくわからない。


ただ、誰かの悲鳴が最後に聞こえた。 そんな夢をみた気がしたからだ。


誰か? いや、その誰かはうすうすと感づいていた。


あいつだ。 俺の幼馴染の・・・、いやそんなことはない、あるはずがない。 そう言い聞かせながら朝ごはんを食べ、リビングから洗面台に移動し、歯磨き・身だしなみを直しているあたりで、


「流一、はやく用意しなさいよ、奈々ちゃんはもうとっくに仕度してるわよ。」


と声が聞こえた。 そういわれ洗面台の隣にある時計をみると8時前。


「やっべ、時間か!」


慌てて、玄関の方へ行くと玄関には幼馴染の三葉 奈々(みつば なな)がいた。


「おはよう、流ちゃん。 はやく学校にいこ?」


そういいながら笑顔で言ってきた。


「ん、そうだな。 じゃあ、母さん。 いってきます。」


奈々も、


「おばさん、いってきます。」


母は「はい、いってらっしゃい。」


とだけ言った。


いつも通り横並びで他愛もない会話をしながら流一と奈々は、登校する。


流一と奈々は高校1年生。


奈々の両親は、小学1年のときに事故で他界しその後は流一の両親が奈々を引き取り、幼馴染どころか家族のように一緒に生活してきた。


流一の父は、紛争地などで活躍している医師で年に1回程度かえってきていて基本は母のみ一緒にいる。



奈々と会話していると、後ろから「流一、よう! 今日も夫婦でご登校とは熱いねえ。」と声をかけてくる。


「高場か。 おはよう。」


と、親友の高場(たかば) 友太(ゆうた)に声をかける。


友太は、にやーっと笑うとそのままヘッドロックを流一にかける。


「いてえよ、バカ! いたい、いたい、いたいいいっ」


「へへ、朝からお熱いもんみせてくる罰だ、たわけーめー! 俺なんて、また昨日ふられたんだぞ、ちきしょー!」


そういいながら、さらに強くしめる。


奈々も慌てて、それを制止するとようやくヘッドロックを解放する。


ヘッドロックされ痛めた部分をさすりながら


「お前も、そんな次から次へと声かけてないであいつに声をかけろよ! 幼馴染の美穂に!」


というと、友太はこっちをみながらふーっと息をはいてから、かけているメガネを人差し指で押す。


「あいつは、巫女だぞ。 俺みたいな男が声をかけちゃだめだろ。」


そういって歩きだす。


奈々はそこで思い出したように。


「そういえば、美穂ちゃんの両親。 いま祭事関係で地方いってるんだっけ。 妹さんとふたりだけだし、行くだけいってあげたらいいじゃない。 学校もずーっと休んでるし、溜まってるプリントを神社まで届けにいけば。」


と言う。


高場はふっと笑ってから


「おい、時間あぶねえし早く学校いこうぜ。 まあ、その辺は放課後に考えようぜ。 流一、いいいいプラン考えてくれよ! おれが美穂といい感じに話ができるようなさ!」


と笑いながら言い、学校へ走っていった。


あきれた感じで笑いながら、奈々のほうをみると笑顔で流一の方をみていた。


「まあ、そんぐらいならいっか・・・。」


とだけ言い、奈々の手をとり、あとを追うように走って学校へ向かう。




ちょうどその頃、その神社内で巫女・神無月(かんなづき) 美穂(みほ)は神社内の清掃をしていた。


美穂のいる神社は、大きくはないがとても古くからあり約1000年も前からあるといわれる。


いつも通りにほうきで神社内を掃除していると、後ろから妹の菜穂(なほ)が声をかける。


「お姉様、殿内の掃除は終わりました。」


と

声をかけてくる。


笑顔で笑いながら、「ありがと、菜穂。 とりあえず、家の内へ戻ろっか。」という。


「はい!」と菜穂は笑顔で答え、美穂の手をとる。


美穂は高校1年生で、妹の菜穂は中学2年生である。


流一・奈々・友太とは昔からの幼馴染であり、よく神社で遊んだりしていた。


いまは、二人の両親は祭事関係の仕事で地方へ向かっているため二人が神社の留守ということで残っていた。


そのため、ふたりは学校には行かずに家に、神社にいた。


二人が家の内に入り、戸をしめる。


と、そのとき賽銭箱に昔から貼ってあるお札がすこし破れた。


そして、すこしだけ空が暗くなった。



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