3話 雀
気が付いたら森に居た。
夜は明けて朝方。
「またかいいいいいいっ!」
思わず絶叫した。
うん。
チュンチュン。
その声に雀が驚いて逃げていく。
「あれ? 異世界にも雀居るんだ」
等と呑気なことを言う僕。
空を見上げる。
陽の光が山の向うから見える。
正確な時間は分からんが朝だな。
「等と思った時期が有りました」
周囲の景色が前方から背後に流れる。
景色が流れる。
僕はまたもや走っていた。
全力で。
背後に居る敵から逃げるためだ。
但し何回も後ろを振り返りながら。
今回の敵はヤバイ。
走る速度は其れほどではない。
瞬間的に機敏に動く動作が素早い。
チュンチュン。
デカい雀から逃げるためだ。
「異世界馬鹿じあねえええええのっ! 何で雀がデカいんだっ!」
チュンチュン。
「声だけ雀じゃんっ! おかしいだろうっ!」
チュンチュン。
「鳴き声だけラブリー何で嫌すぎるううううっ!」
つぶらな黒い瞳に小さい嘴。
白と茶色に黒のふんわりとした鳥。
見た目だけは雀。
完璧な。
唯大きさが違う。
大人サイズなんて嫌すぎるっ!
チュンチュン。
「やめろおおっ! その可愛い仕草で突くのはっ!」
しかも突くときに口を開けてる。
「食う気だなっ!」
チュンチュン。
「食う気なんだなっ!」
チュンチュン。
「無駄に可愛い鳴き声してるんじゃねえええええっ!」
一時間後。
チュンチュン。
僕を追いかけるのに飽きた雀は地面を突いていた。
僕を追うのに飽きたみたいだ。
僕はと言うと。
「あ~~」
疲れ果てて地面で寝転がっていた。
本当は直ぐ離れた方が良いのだが疲れすぎて倒れた。
空が青い。
透き通るような青さだ。
視界のはるかかなたに深い森の木々が見える。
驚くほど綺麗な青空。
光化学スモックとか無いせいだろう。
改めて異世界だと思い知らされた。
それ以前に……。
「喉乾いた」
走り過ぎて汗をかき過ぎた。
不味い。
「確か水なしでも動けるのは3日までだっけ?」
昔見た雑学の本で書いて有った事を思い出した。
チュンチュン。
「おわあっ!」
僕を覗き込むデカい雀。
不味い。
そう思った時その大きなくちばしが動いた。




