↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御曹司と令嬢のハラハラドキドキ新婚生活  作者: ひだまり
彩花の生誕記念祝賀パーティー
PR
17/18

17

 夜も更け、集まっていた親戚や友人たちは、一人、また一人と屋敷を後にしていった。

 やがて玄関ホールには、彩花の両親、直樹、架純、そして響と彩花だけが残った。

 響は全員の前に立ち、深く頭を下げた。


「今日は、本当にありがとうございました」


 顔を上げた響は、彩花の両親を見つめる。


「こうして、みなさんと家族になれたことが、何より幸せです」


 その言葉を聞いた、彩花の父親が嬉しそうに笑う。


「響くんなら、彩花を安心して任せられるよ」


 母親も頷いた。


「これからも、彩花をよろしくお願いね」


「はい、お任せください」


 響は穏やかに答えた。

 すると、直樹が一歩前へ出た。


「響」


「はい」


 直樹は右手を差し出した。


「話したくなったら、いつでも連絡してくれ」


 響はその手を見て、少しだけ微笑んだ。


「はい、義兄さん。また連絡します」


 響は直樹の手をしっかりと握った。

 二人はしばらく握手を交わした。

 その隣で、彩花が架純に耳打ちする。


「兄さん、ずっと弟を欲しがってたから、響さんが可愛くて仕方ないみたいです」


「ふふふ…」


 彩花の言葉に思わず笑う架純。


「コソコソとなにを話してるんだ?」

 と直樹。


「内緒の話」

 と彩花が響の方を見る。


 響は悪びれる様子もなく彩花から視線をそらす。


 響と彩花は最後に全員へ頭を下げた。

 玄関の扉が開く。

 夜の冷たい空気が屋敷の中へ流れ込んできた。


 彩花と響は並んで外へ出る。

 やがて扉が静かに閉じられた。

 彩花は隣を歩く響を見上げ、優しい視線を彼に向ける。

 架純との件があったとはいえ、今日一日、家族の前で振る舞っていた彼は、財閥家の自分の夫として完璧な男だったと、彩花は思った。


 ♢


 二人が自宅の屋敷へ戻った、その直後だった。

 響がエントランスの床に、うつ伏せのまま倒れ込んだ。


「響さん!?」


 彩花が驚いて駆け寄る。


「大丈夫ですか?」


 すると、奥から執事の羽鳥がやってきた。

 白髪をきちんと整えた羽鳥は、床に倒れている響を見て、少しだけ目を細めた。


「相当、お疲れのようですね」


 響は床に頬をつけたまま答えた。


「ああ……、仕事の十倍疲れたよ」


「そんなにですか」

 羽鳥が苦笑する。


「人付き合いって、こんなに疲れるものだったか……」


 響はゆっくりと仰向けになった。

 そして眼鏡を外し、シャツのボタンをいくつか外す。


「はぁ……」


 長い息を吐く響。

 彩花はそんな響を見つめた。

 眼鏡を外し、少し着崩れたタキシード姿の黒髪男性。

 普段の隙のない姿とは違う、無防備な表情。


 彩花は思わずスマートフォンを取り出し、カメラのレンズを響に向けた。


「……カシャッ」

 シャッター音が響く。


「……なにをしてる?」

 響が怪訝そうに目を向ける。


「い、今のは……」

 彩花は慌ててスマートフォンを持つ手を下げた。


 羽鳥が小さく笑う。


「響様を撮られたのですか?」


「……はい」


 彩花はそう言って、嬉しそうにスマートフォンを握りしめた。

 響は呆れたように息を吐いた。


「勝手に撮るなよ」


「ごめんなさい。でも……今日の響さん、凄く格好いいから…写真に収めておきたくて…」


「くだらない…、今すぐ消せ」


「嫌です」


「……」


 響はしばらく彩花を見つめたあと、諦めたように目を閉じた。


「……好きにしろ」


「はい」


 彩花は小さく笑った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。