柳に雪折れなし
柳に雪折れなし
それでも朝になると、胸の奥には昨日の会話の名残がまだ薄く残っていた。私は白地に細い水色の縞が入った木綿のブラウスを着て、少し毛玉のついた紺色のズボンをはき、昨夜の残りの鶏肉の煮物を小鍋で温めた。冷蔵庫の隅に半分だけ残っていた豆腐も味噌汁に入れたが、考え事をしながら火にかけていたせいで、わかめがすっかり煮崩れてしまった。竹で割ったような性格なら、もう忘れていてもよさそうなのに、私は味噌汁をすすりながら、また「このゲームはハウジングをやるためのものじゃない」という言葉を思い出していた。
「まだ考えているなんて、私もずいぶんしつこいわね。」
食べ終えた茶碗を流し台へ運ぶと、昨夜洗い忘れた小皿にトマトの種が一つ張り付いていた。スポンジでこすりながら、私は子どもの頃、母から「お前は竹を割ったような性格だ」と言われたことを思い出した。言いたいことをその場で言い、翌日にはけろりとしているからだと聞かされ、それ以来、自分はそういう人間なのだと思ってきた。しかし実際の私は、相手に言われた言葉を何度も拾い直し、裏返し、別の角度から眺め、自分なりの意味を見つけるまで簡単には手放せないらしい。
「竹じゃなくても、別にいいのかもしれないわね。」
昼前になると、ベランダに干した洗濯物が強い風にあおられ始めた。私は薄い灰色のカーディガンを肩に掛け、片方だけ裏返しになった靴下と、息子が使った大きなバスタオルを物干しざおから外した。団地の植え込みでは細い柳の枝が風の向きに合わせて大きく曲がっていたが、折れる様子はなく、風が弱まるとまたゆっくり元の位置へ戻っていった。その姿を見ているうちに、以前聞いた「柳に雪折れなし」という言葉が頭に浮かんだ。
「強いから折れないんじゃなくて、曲がるから折れないのね。」
部屋に戻ると、私は畳みかけの洗濯物を座布団の横へ積み、冷蔵庫から水ようかんを一つ取り出した。透明なふたを開けると、黒糖の甘い匂いがわずかに漂い、冷たい小豆が舌の上で崩れた。昨日の私は、自分の考えを守るために背筋を固くし、相手の言葉を正面から受け止めようとしていたのだと思う。けれど、すべてを真正面から受け止めなくても、柳の枝のように一度横へ流し、あとで必要な部分だけ拾えばよかったのかもしれない。
「そうね、あなたはそう思うのね。それで十分だったのよ。」
午後、私はオンラインゲームへログインし、作りかけの夏の庭をもう一度歩いた。春に置いていた桜は片付け、竹垣も倉庫へ戻し、代わりにヤシの木と水辺の庭具を置いたが、南国のパラソルを出す場所はやはり残っていなかった。設置数が増えたわけでも、昨日の言葉がなかったことになったわけでもない。それでも私は、水槽の横に置いていた小さな鉢植えを少しだけ移動させ、空いた場所へ青い貝殻の飾りを一つ置いた。
「全部を置けなくても、今日はこれでいいわ。」
夕方になると、窓から入る風が昼間よりも少し涼しくなった。私は生成り色のエプロンを着け、ナスとピーマンを細く切って、豚肉と一緒に味噌炒めにした。フライパンの端で味噌が少し焦げ、甘辛い匂いが部屋いっぱいに広がるころ、例のフレンドがログインしたという表示が画面の隅に出た。昨日のことを蒸し返す気にはならなかったが、避けて終わりにするのも違うと思い、私は菜箸を置いて短い言葉を打ち込んだ。
「昨日はお話しできてうれしかったです。ありがとう。」
相手からは、少し間を置いて笑顔の印が返ってきた。意見が同じになったわけではなく、どちらかが謝ったわけでもなかったが、それでよかった。鉄が鉄を研ぐように、人は友によって磨かれることがあり、その途中では熱くもなれば摩擦も起きる。それでも関係を断ち切らず、たおやかに受け流しながら自分の言葉を整えていくことなら、今の私にもできる気がした。
「竹で割ったようには生きられなくても、柳のように戻ってこられればいいのよ。」
夜の風が網戸を鳴らし、ベランダの洗濯ばさみが小さく触れ合った。私は少し冷めた味噌炒めを白いご飯に載せ、たくあんを二切れ添えて食卓へ運んだ。昨日の言葉はまだ完全には消えていなかったが、思い出すたびに腹を立てるのではなく、自分の話し方を考える材料へと少しずつ変わっていた。今日も柳には風が吹いているけれど、揺れた枝は折れずに、また静かに元の場所へ戻っていた。




