空を見上げて
「乗れって言われても……。でも、急に……。お母様もお父様も居るのに、勝手に出て行くのは……」
突然現れた大きなリリーの姿と提案に、シャーロットが困ったように呟きながらうつ向き、顔を何度も横に振り、中々リリーに乗らず、待っているリリーはその間、シャーロットをじっと見つめている
「言いたいことは、移動中に聞くよ。早く乗って」
シャーロットが背中に乗りやすいように、右の羽根を少し下げると、羽根の先がシャーロットの足先に触れた
「……分かったわ、行くわ」
ふぅ。と一つ深呼吸をして、リリーが下げた右の羽根をつかむ。リリーが体も下げ、シャーロット跨がるように乗り込むと、リリーが羽根を大きく広げた
「落ちないようにね」
シャーロットに声をかけ、広げた羽根を何度も大きく上下に揺らし、風を起こす。リリーが起こした風で庭にある木々が大きく揺れ木の葉が舞う。何度も羽根を動かしていると、リリーの足が地面から離れ、すぐにディオロイ城の屋上よりも高い場所まで浮かぶ
「シャロのところに行くよ」
落ちないように背中の毛にしがみつくシャーロットに声をかけ、羽根を大きく動かし、シャロの居る家へと飛び立つ。シャーロットがふと振り返り、ディオロイ城を見ると、クロームやノースが居る書庫やシャーロットの部屋は遠く、すぐに見えなくなった
「空が綺麗ね……。良い天気だし」
ディオロイ城から飛び立って数分後、少し移動に慣れてきたシャーロットが空を見上げたり、周辺を見渡したりしていた。いつもより近い太陽の日差しを遮るように少し目を細める。少し目線を下げると、魔術書をもらったメアリやベルトの魔術書店がある村が見えて、村を歩く多くの人達が見える。しばらく人々の様子を見ていると、前にシャロの家に行った時より違う方向へと向かっているのに気づいた
「あれ?どこに行くの?前に行った時と違うわ」
「お引っ越ししたの。この地域は魔力があまりないから」
「そうなの?私にはよく分からないわ」
シャーロットがリリーの話に首をかしげると、リリーが羽根を動かし、シャロの家に向かう速度をあげた
「リリー、またどこに行ったの?」
一方その頃、目を覚ましたシャロがソファーから体を起こし、リリーを探していた。少し頭がボーッとする中、ソファーから立ち上がり、キッチンへと向かう。壁に体を伝えながらキッチンに着くと、置いていた飲み物を手に取る。ぬるかった飲み物が一瞬で冷え、ゆっくりと飲むと、ふぅ。と深呼吸をして、再びリビングに向かいながら、リリーを探す。家に居ない雰囲気を感じつつリビングに着くと、窓が開いているのに気づいて、壁に手を当てながら、ゆっくりと窓に近づいていく。窓から顔を出し、空を見上げ、そよ風に当たると、困ったように笑った
「一番厄介なお土産を連れて帰ってくるのか。仕方ないね、リリー」




