助ける代わりに
「良い天気ね」
庭に出てきたシャーロットが、空を見た後、空に向けて手を伸ばし背伸びをする。ふぅ。と深呼吸もした後、一人きりの庭を見渡し、城を囲う大きな壁を見て、今度ははぁ。とため息をついた
「メアリさん達のお店に行きたいけれど……」
と、目を閉じメアリやベルトの魔術書の店を思い出し、ついでにクッキーの味も思い出す。庭にあるベンチに座ろうと、一歩進んだ時、すぐ横を近く小さな影が通りすぎていった
「居た!見つけた!」
聞き覚えのある声が空から聞こえてきて、シャーロットが声の方と通りすぎていった影の方に振り向く。またシャーロットの目の前を小さな影が通り過ぎ、影を追おうと少し振り向くが、影はすぐに見失った代わりに突然、頭の上に何かが止まったような重みがきた
「探したよ。やっと見つけた」
「見つけたって……。勝手に何処かに行ったのは、あなた達でしょ?」
頭の上に止まったのがリリーだと分かり、上目遣いでリリーに返事をすると、バタバタと羽根を大きく動かし、シャーロットの右肩に移動し止まった
「そんなに急いでどうしたのよ?」
「あのね、助けてほしいの」
シャーロットの顔を見つめながらリリーが言うと、その言葉に驚いたシャーロットがリリーを見るように顔を横に向けた
「シャロを助けてほしいの。お願い」
「急に助けてって言っても……。でも、魔力も魔術も凄いんでしょ?別に私が助ける必要は……」
「シャロ、今、魔力がないの」
そうシャーロットに返事をすると、羽根をバタバタと動かし目の前に止まる。シャーロットがリリーの足元に、両手の小指を合わせて手を差し出すと、動かしていた羽根を止め、手のひらの上に止まった。気持ちを落ち着かせようと、ふぅ。と深呼吸をしたリリーが、じっとシャーロットの顔を見つめ、二人の目線が合う
「魔力がないの?」
「そう。シャロは今、魔力が無いから、ずっと眠っているの。魔力をあげて、起こしてあげてほしい」
「私も魔術が使えないのよ。魔力が無いの」
「でも、それでも……」
シャーロットの手のひらの上で、リリーがグルグルと歩き回る。いつもより落ち着きないリリーに少し不安を覚えたシャーロットがリリーを落ち着かせようと背中を撫でる
「前にも同じような事は無かったの?」
「あったよ、でも……」
「前にもあったなら、そんなに騒がなくても良いじゃないの」
背中を撫でられ話をすると、少し落ち着いたのか、シャーロットの手のひらの上で立ち止まり少しうつ向く
「助けたいけれど、私はあなた達の魔術がなければ、ここから出られないのよ」
「出れれば助けられそう?」
「まあ、ここにいるよりかは可能性あるかもね」
そうシャーロットが言うと、手のひらにいたリリーが休めるため閉じていた羽根を伸ばし、背伸びをする。シャーロットがリリーの様子を見ようと手のひらを少し上げ、リリーの様子を顔の前で見ると、顔を隠すように広げた羽根を包みこんだ。リリーに声をかけようと少し差し出した手のひらを寄せると、リリーから光が溢れ、急に目の前が眩しくなったシャーロットがぎゅっと目を閉じ、リリーが乗る差し出した手のひらを離した
「あっ、ごめんなさい」
シャーロットが少し目を開けリリーに謝る。目の前にあった溢れていた光が、ゆっくりと地面に落ち、再び目映い光が一瞬、溢れ出す。シャーロットもまたぎゅっと目を閉じる
「大丈夫?」
リリーに声をかけながら恐る恐る目を開ける。地面に落ちたと思ったリリー居らず、辺りをキョロキョロと見渡す
「あれ、どこに……」
そう呟いてリリーを探しに行こうと空を見上げた時、突然辺りが真っ暗になるほどの影と、シャーロットの長く白い髪を揺らすほどの風が吹いた。シャーロットが髪を押さえながら少し振り向くと、大きな庭が小さく感じる程のとても大きな白い鳥が、ばさりと羽根を揺らす。また風が吹いて、庭にある木々やシャーロットの髪を揺らした。大きな鳥がゆっくりと屈んでシャーロットを見つめ、大きく息を吸い込んだ
「これなら一人くらいなら連れていけるよ。だから早くシャロの家に行こう」




