そよ風が眠りを誘う
「ノース様」
シャーロットとノースが手繋ぎ、リビングに行こうとした時、クロームといた魔術師が呼び止めた
「クローム様がお呼びです」
「あら、何の用かしら」
右手を頬に当て少し首をかしげる。ふと、隣にいるシャーロットを見ると、シャーロットもノースを見ていて目があった
「ごめんね、シャーロット。また後でね」
「はい。また後で」
ぎゅっと抱きしめあい、ノースが魔術師と共に城の奥へと進んでいく。曲がり角を進みノースの姿が見えなくなると、シャーロットが、ふぅ。とため息をつき、側にいる家政婦の方に振り向いた
「じゃあ、お母様が話し合いをしている間にお風呂に入りたいわ。良いかしら?」
「もちろんです。すぐに用意します」
シャーロットに返事をしてすぐお風呂の準備の為家政婦が去っていく。色々話し合いながら廊下を歩く家政婦達を見届けた後、お風呂やお昼ご飯の用意が終わるまで部屋で休むことにしたシャーロットが自室に向かう
「じゃあ、後で呼んでね」
ついてきた家政婦達にそう言うと、部屋の扉を開ける。開けた瞬間、風が吹いて、シャーロットの白く長い髪が揺れた
「さすがに起きているわよね」
一人、部屋に入り部屋の中を見渡す。ベッドに近づき何となくシャロが居ない気配を感じると、掛布団を一気にめくり上げる。ベッドの上には、シャロとリリーは居らず、持ち上げた掛布団をゆっくりと下ろした
「二人とも魔力、大丈夫なのかしら?」
部屋の窓から少し体を出し、風に当たりながら部屋の周辺を見渡す。木に止まり休んでいる鳥達を見て、リリーかどうかを確認しつつボーッと見ていると、鳥達が一斉に村の方へと飛び去っていった。リリーとは違うと確信して、少し寂しくなって、窓から出ていた体を戻した
「メアリさんの本、どうしよう。またお店に行って、新しいの買おうかな……。でも……」
椅子に座って一人呟きながら一息つく。程よいそよ風と練習疲れで少しウトウトとしはじめた頃、部屋の扉がコンコンとノックされた後、扉が開いた
「シャーロット様、お風呂の用意が出来ました」
「ありがとう。お母様は?」
「まだクローム様とお話をされていますよ」
「残念。一緒に入りたかったのに」
家政婦の返事に少ししょんぼりとしつつ、部屋の窓を閉め、シャーロットを呼びにきた家政婦達と部屋を出た
「……あれ?」
「どうした?」
一方その頃、シャーロットと別れ書庫に来たクロームとノース。シャロによってほとんどの魔術書が無くなっていた本棚は、ディオロイ城にあった魔術書が多く移動され、また本棚が埋まり、前よりも少し狭くなった書庫にクロームと結界を張り直そうとしている魔術師の話し声が響く
「お城の方から、お二人とは違う魔力を感じます。結界を強めますか?」
「確かに確かに君たちとも違うような感じだな。またか」
「どうされますか?」
魔術師に問いかけられ、目を閉じ考えるノースの足元にある床に置かれていた本がパラパラと開いて、足に魔術書が当たった。その魔術書を拾いページをパラパラとめくり読むと、机に置いてフフッと笑った
「しばらく結界は、そのままにしておこう。あの子達が遊びに来るのなら、無駄に魔力を使わすわけにはいかないからね」




