微笑みと戸惑いのタルト
「ふぅ。さっぱりしたわ」
お風呂が終わり、家政婦達に長い髪を魔術で乾かしてもらうシャーロット。ブラシで何度か髪を解かしていると、乾いた髪がいつものサラサラな白く長い髪に変わっていく。用意してもらっていた着替えも手伝ってもらいながら着替えていると、更衣室の扉が開いて、女性の家政婦が入ってきた
「ちょうどお昼のご用意が出来ました。ノース様やクローム様もそろそろ食堂に来られるそうです」
「分かったわ。すぐに向かうわ」
着替えを終え、更衣室にある大きな鏡で身支度を整えると、家政婦達より先に更衣室から出て、早足で食堂に向かう。開けっぱなしの食堂の扉から聞こえてくる話し声に、シャーロットの足が速くなる
「遅れました!」
息を切らし食堂に入ると、中に居た人達がみな驚いた顔でシャーロットがいる入り口の方に振り向く。家政婦達とお喋りをしていたノースもシャーロットの登場に一瞬驚いた顔をした後、クスクスと笑った
「そうね。ほんのちょっとだけ遅刻ね、シャーロット」
「ごめんなさい。急いで着替えたのですが……」
またパタパタと早足で椅子に座っていたノースの元に駆け寄り、ぎゅっと抱きつく。ノースもシャーロットをぎゅっと抱きしめると、二人を微笑ましく見ているクロームにシャーロットが気づいた
「お父様も一緒に食事出来るのですか?」
「ああ。一緒でも良いかね?」
「もちろんです。きっともっとご飯が美味しくなります」
会話の途中、シャーロットが来たことで、やっと昼食が食堂に運ばれてきた。急いでノースの隣に座り、シャーロット用の食事が運ばれるのを待つ。稽古後のため、少し多めに運ばれたシャーロットのご飯を見て、ノースとクロームが微笑む。久しぶりの一緒の食事に会話が弾み、あっという間に食事が終わる。家政婦が持ってきた食後のデザートを食べながらシャーロットがクロームに話しかけた
「ねぇお父様、またお母様と出掛けるのですか?」
「そうだね。二人とも食事が終われば出掛けるよ」
「ごめんね、シャーロット」
「いいえ、お母様。お二人と一緒に食事をしましたから、私は大丈夫です」
「ありがとう。お詫びに、私のデザートあげるわ」
ノース用に用意されていたフルーツタルトをシャーロットに差し出す。先にデザートを食べ終えていたシャーロットが目を輝かせフルーツタルトを見ていると、ノースが持つお皿に乗っているフルーツタルトが独りでに浮かび、シャーロットの前にあるお皿の上に移動した
「お母様、ありがとうございます。いただきますね」
お礼を言い、ノースから受け取ったフルーツタルトを少し大きめに切り、大きな口で頬張る。美味しいフフルーツタルトに、シャーロットがニコニコと微笑む中、ノースが驚いた表情で二人の様子を見ていたクロームを見る。目線があったクロームが不思議そうに少し首をかしげると、ノースが何度か首を横に振る。それを見たクロームが入り口に立つ魔術師を呼び、椅子から立ち上がると、最後の一口を食べようとしていたシャーロットに声をかけた
「シャーロット、悪いけれど、先に食事を終わらせてもらうよ。少しばかり忙しくなりそうだからね」




