誰かの代わりに
「なんでこの本から出てくるのよ」
部屋の中をグルグルと飛び回るリリーにシャーロットが声をかける。シャーロットの頭の上をクルリと回って、シャーロットの右肩に降りた
「魔力が足りなくて出られなかったんだよ。本に書いてあったシャロの文字でどうにか出てこれた。疲れたー」
羽根を広げ背伸びをするリリーを少し顔を横に向け見ると、リリーの羽根が頬に当たった
「そうなの。あなたも色々と大変ね」
「それでシャロはどこにいるの?」
「あっちでずっと寝てるわ」
シャーロットがリリーの質問に答えながら、右の人差し指でシャロが眠るベッドを指差す。リリーがシャーロットが指差す先を見て人差し指の先に一度飛び乗り、ベッドに向かって飛んでいく。ふかふかのお布団でスヤスヤ眠るシャロの隣に止まり、寝顔をじっと見つめる
「シャロ、起きないの?」
「そう。朝から何度も起こしても起きないのよ」
シャーロットの話を聞いて、リリーがシャロの体の上に飛び乗り、起こそうと体の上をトコトコと歩く。足や顔まで何度も往復していると、シャロがゴロンと寝返りを打った
「シャロ、いつから寝ているの?」
「さぁ。いつの間にか居たから分からないわ」
「そっか……」
起きないシャロに痺れを切らしてシャーロットの所に戻っていく。テーブルの上に止まったリリーが少し顔をうつ向きながら歩いて、シャーロットの隣に止まった
「心配しなくても、いつかは起きるでしょ」
「そうかなぁ……。そうだといいけれど」
寂しそうにリリーが言うと、シャーロットがテーブルの上にあった布を取り、布を畳む。布に隠していた物を少しリリーの側に近づけた
「これ、先にあなたが代わりに食べておく?」
リリーが見ると、布の下にシャロ用に新たに用意していた食事が置かれていた。他に食後のデザート用の余分に多く置かれた果物も見つけたリリーの顔が、ほんの少しだけ笑顔になった。沢山の果物を置いているお皿の淵に飛び乗り、すぐに食べれそうな果物に目を付けシャーロットを見た
「そうしようかな。魔力が少し戻れば、シャロが起きるかもしれないし。ちょっとだけ食べちゃおう」




