寂しさを乗り越えて
シャーロットが部屋を出て数分後、ディオロイ城の食堂に家政婦が食事の用意をする音が聞こえている。シャロが食べなかった軽食を食べ終え、デザート用の一口サイズに切られた果物をフォークで刺し、果物をすぐに食べずにボーッと見つめ、はぁ。と大きくため息をつき、紅茶の入ったティーカップを持ってきた家政婦が、テーブルにティーカップを置きながら心配そうに声をかけた
「どうかされましたか?体調がよろしくないですか?」
「いえ、なんでもないの。ただ、静かね……」
「そうですね。クローム様やノース様も居られませんから」
「そうね、それもあるけど……」
ため息混じりにフォークに刺した果物を食べ、暖かい紅茶を飲むと、家政婦達が困ったように顔を見合わせた
「シャーロット様、気分転換に今日は剣術の練習をされますか?」
「ああ、そうね。たまには練習しないと。用意できる?」
「はい、すぐに」
家政婦が食器を片付けながら答え、シャーロットは椅子にもたれながら、ふと開いた窓を見る。ちょうど木から木に渡る小鳥が見えた
「ねえ、私は外に出れないの?」
「そうですね。私達では許可が出せませんので、お二人の許可が下りなければ……」
「今、許可は取れないの?」
そうシャーロットが聞くと、家政婦達がまた困ったように顔を見合わせ話し合う。しばらくその様子を見ていたシャーロットが椅子から立ち上がり、食堂の入口の方へと歩き出す
「やっぱりいいわ。困らせてごめんなさい。悪いけれど、練習の用意が終わるまで部屋で休んでいるわ」
「分かりました。のちほどお呼びします」
シャーロットの言葉にペコリと頭を下げ返事をする。シャーロットが食堂を出ると、ゆっくりと食堂の扉が閉まる。シャーロットが一人、ディオロイ城の中を歩いて部屋に戻ると、すぐにベッドの元に行き、シャロが寝ているか確認する
「結局まだ寝てるのね……」
食堂に向かった時と変わらない姿で眠るシャロに呆れながら呟くと、部屋の窓を開け、側にある椅子に座り、テーブルに置いたままのメアリの魔術書を手に取った
「一人だと急に寂しく感じるわね……」
メアリの魔術書のページをめくる。次のページを開こうとした時、側にある窓から入った風がシャーロットの代わりにページをめくる。白く長い髪がユラユラと揺れるほどの風で、魔術書がシャーロットの手から離れ床に落ちた。魔術書を拾おうと揺れる髪を左手で押さえながら、右手を魔術書がある方に伸ばすと、魔術書がシャーロットの手から離れるように床から浮かぶ。シャーロットが手を伸ばしたまま魔術書の様子を見ていると、テーブルの上まで浮かび、シャーロットが伸ばした右手をテーブルの上に置き、瞬きをしたその瞬間に、前にあった魔術書が消え、魔術書の代わりに、居なかったはずのリリーがシャーロットの前に現れ、羽根を広げ羽ばたかせた
「やっと起きれた。おはようシャロ。お腹空いたね」




