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  作者: しんぎつ なない
学園編
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10/22

第9話 入学試験2

 僕の番か。

 よし、全力を尽くそう。


 「ほらよ」


 木剣を渡された。

 

 「いつでもかかってこい」


 僕は一気にアデルバートに近づき、右から左に剣を振った。

 この攻撃は簡単に受け止められる。

 だが、剣ははじかれるが、僕はみんなのようにはじかれない。

 最初の攻撃は緩いフェイクだ。

 僕ははじかれる剣に任されるまま、一回転する。

 そして、今度は左から攻撃をする。

 アデルバートは一瞬反応が遅れるが、さすが騎士。すぐに剣でガードした。

 この攻撃が止められるのは予想していなかったが、すぐに次の行動に入る。

 僕は剣を滑らせ、アデルバートの頭を狙った。


 「おっ」

 

 アデルバートが声を上げる。

 よしっ、これは確実によけられない。いけるっ。

 突然、僕の頭に強い衝撃。


 「いってーーーー!!」


 いたいっ……!

 何が起こった…。

 ここまでうまくやれたのは相手の油断のおかげだが、最後の攻撃絶対にはいったはずだ。

 

 頭をかかえて倒れている僕に、アデルバートはそっと手を差し伸べて、悪いことが親に見つかった子供のような顔をして言った、


 「いやー、すまんすまん。危なかったもんで、ちょっと剣技をつかってしまった」


 剣技……?

 頭に強い衝撃があったときに、アデルバートの体がオレンジ色にひかったように見えたが、あれが剣技か?

 僕の知らない技がたくさんあるんだな。

 今度教えてもらおう。


 「フィン、お前よかったぞ。前の7人よりは確実に良かった。

 見たこともない流派だったが、なんていう流派なんだ?」


 「えっと……。流派ですか……。これ、我流なんですよね。

 とくに誰にも習ってませんし、経験の中で身に付きました」


 「我流だと……。

 誰にも習ってない……?

 その年で経験か。

 壮絶な人生を送ってきたんだな。

 よしっ、お前はおれが強く上のほうに推しといてやろう」


 「あ、ありがとうございます!

 よろしくおねがいします」


 しゃあぁぁ!

 これで受かる可能性がグーンとあがったぞ。

 筆記も簡単だったし、これいけんじゃね!?

 と、思っていた時期もありました。

 しかし、この考えは次のアデルバートの言葉でバキバキに壊れます。


 「この調子で、次の魔法テストもがんばれよ」


 ……

 ま、まほう……。

 か、完全に忘れてた。

 そういえばここ「剣術”魔道”学園」だった。

 つんだ……。

 ばかか僕は。

 魔法なんて赤ちゃんの頃に一回見たぐらいだぞ。

 

 「大丈夫か?あと2人残ってるし、次に行きたいんだが」


 「あ、は、はい。すみません」

 

 僕はいったん考えるのをやめ。

 待っている9人のもとに戻った。

 

 「ねぇねぇ、フィンくんだよね?」


 戻るとすぐに話しかけられた。

 話してきた女性はショートカットの顔の整った人だった。


 「さっきすごかったね。

 右から攻撃したかと思ったら、すぐに左から攻撃して、だと思ったら上から攻撃して、本当にすごかったよ。

 わたしも剣には自信があるんだ。

 よく見ててね」


 「え……。うん」


 なんだこいつ、

 

 こわ

 


 「最後にキーラ。でてこい」

 

 「あ、よばれた。フィンくん、仲良くしようね」


 いつの間にか9人目が終わっていた。 

 てかあいつキーラっていうのか。

 見てほしかったんだっけ。

 どんな戦いをするのかしっかりとみといてやろう。


 

 「いつでもかかってきていいぞ」


 と、アデルバートが言った。

 その瞬間、キーラの体が青白くひかった。


 そして、次の瞬間アデルバートは地面に尻をつき、首に木剣の先をつけられていた。


 なにが起こった。

 これも剣技か……?

 なんにも見えなかった。


 キーラはアデルバートとなにかを話して、戻ってきた。

 僕に近づき、


 「どうだった、どうだった?」

 

 と、尋ねてくる。


 「すごかった。あれは剣技?」


 「うん、そうだよ。

 フィンくんも使える?」


 「いや、つかえない。

 あ、フィンでいいよ」


 「わかった、フィン。わたしは、あ、自己紹介してなかったね。私はキーラ・フィオレンツァ。

 キーラって呼んで。

 えっと、剣技の話だったよね。

 この歳で剣技使える人すくないからね。

 フィンも使えなくて当たり前だよね」


 キーラ使えてるじゃん。


 「剣技って誰でも使えるものなの?」


 「うん。練習すればね。

 剣技は使えなくてもフィンはすごいよ。

 私も戦いたくなったよー。

 学園では仲良くしようね」


 「…………。

 ちょっと次のテスト難しいかも……」


 「え、」


 「よしっ、これでこのグループの剣技のテストは終わりだ。

 次の魔法のテストはあっちでやる。

 すぐに移動しろ」


 アデルバートが紙への記入を終え、外の、的がある場所を指さしてそう言った。


 「あ、移動だって。いこっか」


 「うん、そうだね」


 僕が歩き始めるとその後ろをキーラがついてきた。

 

 僕の頭の中は焦りでいっぱいだった。


 やばい、やばい。

 もう魔法のテストだ。

 終わった。

 

 

 指定先で待っていたのは、三角帽子をかぶった年配の女性と男性だ。

 男性のほうは長いひげが生えていて、貫禄がある。

 大きな杖を持っている。

 そんなことを考えていると、


 「一列に並んでくださーい。順番に試験をしていきます。

 あの的に向かって自分の得意な魔法を一発放つのが試験内容です。

 はい、早く並んでくださーい」


 と、女性のほうが号令をかけた。


 すると、自信のありそうな人からどんどん並んでいった。

 まえのほうには筆記試験会場で最初に話しかけてきたやつもいる。


 「フィン。並ばないの?

 もう、やっている人もいるよ」


 的のほうを見ると、的に小さな炎の球がぶつかっていた。

 水の球を放っている人もいる。

 的はいくつかあって空いた的から、順番にいろいろな杖をもって、試験を受けている。

 的は魔法を受けても傷つく様子をかけらも見せない。

 あの的にもなんかしらの魔法がかかっているのかもしれないな。

 攻撃魔法は初めて見たが、本当に驚かされる。

 魔法は奥が深そうだ。

 気づくと、僕とキーラ以外みんな列に加わっている。

 僕も覚悟を決めて並ぶか。


 「フィン。私先でいいかな? 

 フィンに見てもらいたいんだ」


 「わかった。

 あのさぁ、キーラ」


 「なに?」


 「魔法ってどうやって使うの?」


 キーラは目を開く。


 「え……?」


 「魔法ってどうやって使うの?」

 

 「え……?」


 「魔法ってどうやって使うの?」


 「いや、聞こえてるよ!

 驚いてただけ!フィンって魔法使えないの!?」


 「うん」

 

 「少しも?」


 「うん。今日初めて見たといっても過言ではない」

 

 「え、やばいね」

 

 「うん」


 「うん、じゃないんだけど。

 魔法なんて1日2日で身につくものじゃないよ」


 「そこをなんとか」


 「えー。

 役に立つかわからないけど、自分の中を流れる力、つまり魔力を操る感じ。

 完全に操らないといけないから。

 想像力が大事かな」


 「お、わかった。ような気がしなくもない」


 キーラはため息をついて言った。


 「まぁ、次がんばれ」


 あきらめろってことね。

 あきらめないけど。一応受けるは受ける。

 剣術では高評価だったし、魔法の実技が0点でもなんとかなるかも。

 なにより、僕は力をつけなきゃいけない。


 「次っ!」


 話し込んでいると、いつの間にかキーラの番が回ってきた。


 「私いってくるね」


 キーラの魔法はどんなものなんだろう。

 剣術はすごかった。

 魔法も強いんじゃないか?


 キーラは所定の位置につき、腰にささってあった杖を取り出し、的に向けた。


 「ウィンド・カッター!」


 杖を振るのと同時に、的が真っ二つに切れた。

 試験官が「おー」と、歓声を上げる。

 もし、試験を受け終わった人が残っていたら、そちらからも歓声が上がっていただろう。

 誰も傷一つつけることのできなかった的を切ったのだ。

 すごい威力とスピード。

 見えない刃だし、実戦ではものすごい役に立つ。


 キーラがこっちを向いて、得意げな顔をした。


 「次!」


 キーラはほかの人のように、退出せず僕の様子を端のほうから見ていた。


 ついに僕の番か。

 僕は言われた場所に立つ。

 流れか。

 自分の中を流れる力の流れ、魔力を感じるとキーラは言っていた。

 僕は目を閉じ、自分の中に意識を向ける。

 

 ……

 …………


 これかな。

 錯覚かもしれないけど、分かったかもしれない。

 そしてこれを操って放出する。

 スピードはなくていい、威力が欲しい。

 試験官にあっと言わせることのできる威力。

 ありったけの魔力を込め、このイメージを具現化する。

 黒い小さな電気をまとったような塊が僕の前にできた。

 ……これが魔法。

 これを放つ。


 黒い塊はふわふわと的のほうに飛んで行った。

 黒い塊が的にあたったかと思った刹那。

 ドゴーーン!!という音をたて、地面の一部ごと的が消滅した。


 あ、やべー。

 つえーー。

 

 試験官のほうを見ると、ポカンと口を開けている。

 

 「き、君。杖は……?詠唱は………?」


 みんな杖使ってたっけ、僕使わなかったな。

 あ、キーラは見てくれたかな。


 「うえっ……」


 気持ち悪い。

 急に吐き気がしてきた。

 僕はその場に崩れる。


 「大丈夫か!?」


 「フィン!!」


 最後にその言葉を聞き、目の前が真っ暗になった。


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