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女帝と呼ばれるクラスメイトと帰りの電車で一緒になった。気付いたら何故か隣に座っている。  作者:


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第9話 宣戦布告

「え〜と卒園アルバムは何処だ」


 雛森を送り届けた後に家に帰って早速アルバムを探す。押し入れや本棚を探してみる。


「いや、全然見つからん」


 必死に探すが全然見付からない。すっかり疲れてしまったのでベッドに寝っ転がる。ふとスマホを見ると幸林からメッセージが来ていた。


『今日やった内容、しっかり復習するように』


「先生かな?」


 すっかり俺の教師みたいなメッセージである。まあ教えてもらった恩があるのでちゃんと返事はしておくか。


『合点承知』


『ふざけてるの?』


 ちょっとふざけた返事をしたら怒られた。まあ幸林冗談とか通じなさそうだし……。


『ふざけて申し訳ございません。しっかり復習します』


『そう、何かあったらメッセージで聞いてくれても良いから』


 いや、帰った後も教えてくれるのか。いくらなんでもサポートが手厚すぎないか。まあ、あまり頼りすぎないようにしようと思った。


 次の日、いつのものように登校しクラスに着いた瞬間、眼の前に丸山が飛び出してきた。


「ね〜、昨日瑠奈っちと一緒に帰ったんでしょ?」


「丸山、またその話か……」


 俺と幸林がつるむようになってからというもの、丸山がその話題ばかりするようになっている。


「そりゃ、あれだけ男子に冷たくて【女帝】のあだ名がついた瑠奈っちがたかつ君にだけ優しいなんて何かあると思うでしょ」


「いや、それがな……」


 幸林はどうやら俺に恩があり今はその恩を返そうと動いてくれているだけだということを伝える。こう聞けばちょっとは誤解もとけるだろう。


「え〜、本当かな〜」


 丸山は俺の話を聞いてなお、ニヤニヤ笑いながら誂ってくる。


「昨日も言ったが幸林が俺の事を好きになるわけないだろって」


「え〜、たかつ君にもきっと誰も知らない魅力があるんだよ。多分おそらくきっと」


 丸山からしたら良いところ見えないって言ってるに等しいんだが俺はコイツを殴ってはいけないのか。


「……、朝から二人仲良さそうね」


 いつの間にか俺達の眼の前に立っていた幸林が不機嫌な顔でこちらを見ている。


「瑠奈っち、おはよ〜。あっ、瑠奈っちに直接聞けば良いじゃん」


「……何を?」


 幸林と丸山が向かい合っている。何か変な雰囲気になってきている。


「お二人が付き合ってるのかって事〜」


「……」


 おいおい、そんな事聞いたら幸林キレちゃうんじゃないか?何故か俺だけハラハラしながらその様子を眺める。


「付き合っては無いわね」


「なんだ、そうなんだ〜」


 幸林は怒るでもなくただ淡々と事実を告げるだけだった。良かった、俺の不安は杞憂に終わったようだ。


「……、今はね……」


「幸林、何か言ったか?」


「いえ、何も」


 幸林がボソッと何かを呟いた気がしたが俺の気の所為だったのだろうか。


「じゃあ、私もそんなに気を使わなくて良いんだ〜」


「はい?」


 丸山は何故か「良かった良かった」と呟く。何が?


「いや、二人が付き合ってるなら邪魔しちゃ悪いかな〜って思ったんだけどさ」


「思ったんだけど?」


「そういう訳じゃないんだったら私は今まで通りたかつ君と仲良くしても良いのかなって」


「そりゃ別に良いだ……」


「……ちょっと待ちなさい」


 何故か幸林が止めに入る。え、今の会話の中に何かマズイことあったか?


「瑠奈っち、なに〜?」


「鷹司君と仲良くってどういう意味かしら?」


「そりゃ友達としてだろ?」


「アナタに聞いていないわ」


「はい……」


 どうやら俺に発言権は無いらしいです。俺は口を閉じて戦況を見守る。


「え〜、友達以外に何かあるかな〜?」


「……、へえ……」


 幸林と丸山が何故か向かい合ってバチバチし合っている。これ、一体どういう状況?


「いや〜、何か面白そうだから。それにたかつ君を気に入ってるのは本当だし」


 プチッ、何かが切れた音がした。おそらくそんな音はしていなかった。しかし眼の前の幸林を見ていたら不思議とそう思った。


「私に宣戦布告という訳ね。面白いじゃない……」


「瑠奈っちだったら相手にとって不足なしだよ」


 なにこれ、今からこの二人でバトルでも始まるのかな?不穏なこと言ってるけど。


「ふ、二人して何言ってるんだ?」


「たかつ君を巡ってのバトルロワイヤルが始まったという訳だよ。ワトソン君」


「たかつなのかワトソンなのか統一しろ」


「ふふふ、面白い。いつもヘラヘラ笑ってるその顔を歪めたくなったわ」


「そっちこそいつも仏頂面が随分とコロコロ変わるようになったね」


 俺は大人しくその場から離れる事にした。よく分からんが退散だ。

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