第10話 攻防戦は続く。
あの後、一時間目の授業が終わり休み時間、普段いる一組ではなく隣の二組へと避難した。
「あれっ、鷹司どうしたんだよ?」
「おう、西村」
西村蓮、一年の頃に仲良くなった男友達だ。二年になっても一緒に昼飯を食べたりしている。
「二組に来るなんて珍しいな」
「いや、ちょっとお前に人生相談をしたいと思って」
「は?」
そして俺は今までの事を相談した。幸林がいきなり近付いてきたことや今朝起きた丸山との事など隠さず話した。話を進めていくうち西村の顔がドンドン呆れていく。
「お前、しっかりしろよ……」
「しっかりって何だよ……」
しっかりって何だ、俺は巻き込まれているに過ぎないんだけど。
「女に振り回されて情けなくないのか」
「な、なんだとお……」
西村はため息を付きながら俺の肩をぽんと叩く。俺はイラッとして手を振り落とす。
「自分のやりたいようにしっかりと意思を示せって事よ。ていうかさ」
「?」
急に西村が話すのを止めて目を瞑る。一体何だってんだ。
「女子がお前の取り合いしてるって何?俺と代われよ」
「ふっ、お前が俺の立場になっても固まるだけだろ。童貞」
「なんだとお!?」
俺達は取っ組み合いを始めてしまい周りの男子生徒が止めてくれた。そんな事をしたら休み時間が終わってしまったのでマジで無駄な時間だった。
「たかつ君、何処行ってたのさ」
休み時間終わり席に着いたら隣の席の丸山が首を傾げながら話しかけてきた。
「え?二組に行ってた」
「何?二組にも女がいるの?」
「人聞きが悪すぎるんだが」
俺を女遊びするようなキャラに設定するの止めろ。俺は巻き込まれているだけの無実だっての。お前が変なこというせいで幸林がコチラを睨んでるからな。
「まあ冗談は置いておいて」
「はい」
「たかつ君的には瑠奈っちより私の方が仲良いもんね?」
「そりゃ二年になって俺が話すの丸山くらいだからな」
おかげで二年になって男友達いないんだけど。いつも丸山が俺に話しかけるせいで友達作りそびれちまった。
「ふっふっふ、瑠奈っちに勝ってると思うと気分が良いね」
「そうか、その度に幸林がコチラを睨んでくるから程々にしてくれな」
幸林がコチラを凝視して怖いんだわ。てか幸林も何怒ってるのかよく分からんけど。俺が丸山と話しているのが気に食わんのかな。
「それにもうすぐ体育祭があるから私の方が良い所見せられるし」
そういえばうちの学校、行事が重なるとか何とかで六月に体育祭やるんだった。丸山はバレー部員という事もあり運動神経が良いらしい。
「ふ〜ん、俺なんか全員参加の種目しか出ないから関係無いな」
俺は帰宅部という事もあり運動神経は並といった所なので個人種目には殆ど出ない。なのでやる気もまるで無い。楽しみといえば体育祭の時に出店される屋台くらいだ。
「お〜い、授業始めるからみんな席に着け〜」
授業担当の先生が来たので俺達も話を止めて授業が始まる。その後は平和〜に時は過ぎていたのだが問題は昼にあった。
「ね〜、瑠奈っちとご飯食べたんでしょ?私も混ぜてよ☆」
昼休みになった瞬間、丸山が俺に対してウィンクしてきた。お前のそれ腹立つなと考えていた。
「駄目、それは私達二人の時間だから」
いつの間にか弁当箱を持って俺達の傍に立っていた幸林が拒否する。
「ぶ〜、ずるいよ〜」
「さあ、行きましょ」
幸林は俺の右腕を引いて無理やり教室の外へ出ようとする。すると丸山が俺の左腕を引っ張り出した。
「だから〜、私も混ぜてよ〜」
「痛い痛い痛い!!」
俺が両腕を広げて左右から引っ張られている形になっている。これ中世の拷問じゃん。
「離しなさい。これは昨日から決まってたんだから」
「え〜、たかつ君はどうしたいのさ〜」
「え、どっちで……、いや何でも無いです」
どっちでも良いと言おうとしたら幸林からプレッシャーがかけられたので黙って無かった事にする。はあ、これもう仕方ないか。
「悪い、丸山。今日は引いてくれ。俺の腕が取れてしまう」
「ぶ〜、今日だけね。今度は二人で食べようね」
「そんなの許すわけないでしょ」
という事で何とか教室を脱出することが出来た。まあ幸林には捕まっているから逃げられている事にはならないか。
「全く、鷹司君の事好きでもないくせに邪魔ばかり……」
「幸林、怖い顔してるぞ……」
廊下に出た途端、幸林は歯ぎしりをしている。まあでも西村が言ってたように俺の意思も幸林に伝えなきゃだよな……。




