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面倒くさがり屋の異世界転生  作者: 自由人
第2章 王立フェブリア学院 ~ 1年生編 ~
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第30話 闘技大会 ~総員戦~ おまけ

~ シーラside ~


「今度はどういう結果になるのかしら? 見たところ先程のグループと違って近接戦が得意な人達で固めたグループっぽいですけど」


「多分、魔法でゴリ押しじゃない? まともに近接戦を繰り広げたら、負けてしまうのだし」


 2人の見ているモニターには、予想通りの展開で雨霰の如く魔法が飛んでいた。


「凄まじいですわね。それに精度も高い……確実に当てにいってますわよ」


「そうね。あの命中精度はBクラス程度じゃない? たまに外したりもしているけど、だいたいは当てているわ」


「どうしてFクラスの生徒は、こんなに魔法が上手いんですの? しかも、近接戦が得意そうな人たちまで、魔法を使いこなしていますわよ。威力は劣っているようですけど」


「多分ケビンが練習の時に、最適な方法を教えたんでしょ」


「そんな事をして何の得がありますの? 目立ちたくないのでしょう?」


「楽するためじゃないかしら? 他の人が頑張れば自分はダラダラ過ごせるでしょ? 現に試合が始まって1度も立ってないんだから。目論見は大成功ね」


「本当に努力を別のところに注ぎ過ぎですわね」


 モニターでは、既にEクラスの生徒たちの半数以上がやられていた。


「あら、接近戦にシフトするようですわ」


「数が減って多対一に持って行けるからじゃない? やられてしまうリスクがなくなったんじゃないかしら?」


「あの女の子の身の熟し、只者じゃないですわね。Fクラスに不釣り合いな方が他にもいましたわ」


「結構良い動きするわね。躊躇いがないわ」


「そういえば彼女……試合が始まってからずっと、ケビン君の傍らに佇んでましたわね。仲がよろしいのかしら?」


 その瞬間、凍える様な威圧が辺りを覆い尽くす。


「「「ひっ!」」」


 そこに居合わせたクラスメイトは、先程よりも恐怖に駆られて顔面を蒼白にしていた。


「ちょ、ちょっとシーラ、抑えてくださいまし。さすがにそれは、私でも耐えるのに苦労しますのよ」


 フッと威圧が和らぐと、辺りから安堵の声が漏れる。


「あなたの弟好きは、今に始まったことじゃないですけれど、たかだかクラスメイトの女の子に嫉妬してしまってどうしますの」


「嫉妬? なんの事かしら?」


「はぁ……あなたの態度にも困りものですわね」


 そんな中、モニターでは繰り広げられていた戦いが終わり、また旗の周りで寛いでる生徒たちの風景が映っていた。


(あの女、私のケビンの横に居座って何のつもりかしら)


「結局また勝ってしまいましたわね。これからどうするつもりなのかしら? 立ち上がって攻めると目立ちますし、一人旗の所で待っていても逆に目立ちますわね」


「さあ? わからないわ。どっちにしてもケビンは動かないと思うわよ」


「どうしてですの?」


「周りの生徒たちで勝てているって事は、このまま動かなくても勝てるって事よ」


「試合は何が起こるか分かりませんのよ」


「その為に指示出ししているんじゃない? 自分から動かなくてもいいように」


「でも、指示出ししていたら指揮官として、今後認識されてしまいますわよ」


「最底辺のFクラスとEクラスの試合なんて誰が観るのよ。Eクラスが勝つに決まっていると決めつけて誰も観はしないわ。よって、今回の戦いは結果だけが残って、ケビンの事は誰にもわからないわ」


「気まぐれで観ている人もいるかもしれませんわよ? さすがにバレませんのこと?」


「もしかして、その為にあの女の子を横に置いているのかしら? パッと見、女の子が中心になってる様にも見えなくはないわね。それに、終始動かないケビンよりも、立って横にいる子の方がリーダーっぽく見えるし」


(それならケビンの横に居ても我慢するしかないわね。もしかしたらケビンの作戦なのかもしれないし、お姉ちゃんとしてケビンの邪魔はしたくないし)


「それはありますわね。次はとうとう旗を守ってた敵が押し寄せますわ。どうやって勝つつもりなのかしら? さすがに普通じゃないから、訝しられますわよ」


 2人が今後の展開を、食い入るように観ているモニターでは、倒れた敵にトドメを刺していく生徒の姿が映ってた。


「動けない生徒にトドメを刺すなんて、鬼畜の所業ですわね」


「普通ならそうでしょうけど、作戦の内なんじゃない?」


 その後、トドメを刺した生徒達が、寝転がっていく風景が映し出されると、ふとした感想が零れ落ちる。


「何をしているのかしら? 安心して寝れるように、トドメを刺したのかしら?」


「多分、やられたフリね。あれなら、敵も警戒しないわ。やられた生徒と思って見逃すわよ」


「まさか罠にかかった敵を、後ろから攻めさせますの?」


「そうね。目の前の旗にいる5人に注視させて、人数的な有利を連想させて更に侮らせるつもりね。そして、隙だらけの敵を後ろから襲う。もうEクラスに勝ちはないわ。ケビンが完全に勝ちを奪いに来ているもの」


「末恐ろしい子ですわね。同年代でなくて助かりましたわ、あんな子は相手にしたくありませんもの。勝てる道筋が見えませんわ」


 モニターには、余裕の表情を浮かべながら歩いて行く、生徒たちの姿が映し出されていた。


「罠とも知らず、Eクラスの残りの生徒たちがやって来たわ。知っている者からすれば、滑稽にしか見えないわね」


 シーラの読み通り、罠にかかったEクラスの生徒たちは、前後から魔法を撃たれて数を減らしていった。ある程度数が減ると近接戦に縺れ込み、次々と倒されていく。


「もう時間の問題ね」


 最後の一人が倒れると、勝鬨が聞こえて試合が終了となるのであった。


「勝ちましたわね……」


「そうね。予想通りだわ」


「これは大ニュースですわよ! FがEに勝ちましたのよ、しかも、攻めずに守ってただけで全滅させて! 異常な勝ち方ですわ、前代未聞ですわよ!」


「これで後は代表戦ね。ケビンが出てきてくれればいいけど」


「出てきますわよ。今回の立役者はケビン君ですもの。総員戦から大番狂わせですわ。代表戦も見物ですわね」


「そうなってくれればいいけど。先に3勝したらケビンは負けにいくわ」


「そうでしたわね。出来れば戦ってる姿を観たいのですけれど」


「いくらあなたでもケビンは渡さないわよ」


「心配しなくても要らないですわよ」


「要らないってどういう事よ! 私のケビンがダメだって言うの!」


「渡さないって言ったり、要らないと言えば怒り出したり、どっちですの!」


「渡さないけど要らないのも許さないわ」


「無茶ぶりですわっ!」


 教室には2人の漫才が響き渡るが、クラスメイトたちはそんな事よりも、試合は観ていたがシーラの解説を聴いていたわけではないので、FクラスがEクラスに勝ったという事実を、受け止めきれずに困惑していた。


「あぁ、ケビンに今すぐ会いに行って、勝った御褒美にハグしてあげたいわ」


「重症ですわね……」


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