第23話 入学式初日
とうとうこの日が来てしまった。そう、入学式だ。あれから自宅でダラダラと過ごしながら、たまに鍛錬をして日々を送っていた。
馬車で王都へ向かい別宅に着くと、そこからは徒歩で学院に向かう。学院まで馬車で向かうと絶対に目立つと思った末の判断だった。
入学式故か他にも学院に向かう生徒たちがいた。遠方からの生徒は、事前に学院の寮に移り住み、学院内で生活するらしい。
学院に到着すると大ホールへと案内された。席は自由らしくバラバラに座っていたので、俺は後ろの席へと座る。
やがて式が始まり、学院長の祝辞となったが、在り来りの言葉を述べていた。入学生の答辞には、代表者として首席入学の人がステージに上がっていた。
(学院長って学院で見るとしっかりしてるんだな……)
淡々と式は進み、やがて解散となった。各自、教室へ向かうように指示が出ていたので、Fクラスへと赴いた。
教室の中には、席順が黒板に書かれており、ラッキーな事に最後列の窓側だった。席に座ってのんびりしていると、教師らしき人が入って来たみたいだ。
「今日からこのクラスの担当になった、ジュディだ。これから色々と学んでいくだろうが、わからない事があったら遠慮なく言ってくれ。あと、Fクラスだからといって、卑屈にならないで欲しい。成績が上がればクラスも上がる。実力主義でこの学院は出来ている。逆に実力でクラスを上がっていったとしても、決して傲慢にはならないで欲しい」
ジュディさんじゃないか。これは明らかに意図的だな。監視目的か?
「それでは、皆も初めて会った同士だから、自己紹介を始めたいと思う。まずは、廊下側の君からだ。終わったら後ろの子が続いてくれ」
こうして自己紹介が始まるが、この順番だと俺が最後じゃないか? さっさと終わらせて寝ていたかったのに。嫌がらせか?
仕方なく順番が回ってくるのを、外を眺めながら待っていた。そういえばこっちの世界には桜とかないのかな? ここに来るまでに1度も見てないな。
そんな事を考えていると、俺の番になったので簡単に済ませる事にした。
「ケビン・カロトバウンです。これからよろしくお願いします」
そう言って席に座り直すが、皆の視線が刺さる。何だ? 何か変なこと言ったか?
「ケビン君、今ので終わりか?」
そうジュディさんに聞かれたので、普通に答えた。
「終わりですけど、何か?」
「いや、他のみんなは意気込みとか趣味とか言っていたんだけど……そんなのはないのかな?」
ジュディさん、強気口調が剥がれてるよ? 舐められないように頑張ってキャラ作りしてたんじゃないの?
「特にないですけど、あえて言うなら意気込みとしては、これからの学院生活はダラダラと過ごします」
「そ……そうか、分かった。頑張ってくれ。では、今から、授業の説明を行う」
おぉ、口調が戻ったな。ジュディさんも、舐められないように頑張ってくれ。
「授業としては、大きくわけて座学と実技の2種類だ。座学の方は一般教養と魔法学、実技の方は魔法と武術だ。各自得意分野を伸ばすも良し、苦手分野を克服するも良し、己の力としていってくれ」
魔法学は興味あるな。何せ、独学の無詠唱だしな。しっかりと基礎を学んでおきたいし、今後の役に立つかもしれない。実技については適当に手抜きするしかないな。
「授業は明日からとなるので、今日はこれで終わりだ。解散後は学院内を探索するも良し、寮に戻るも良し、好きに過ごすように。では、解散」
そう言ってジュディさんは退室する。各々に探索するものや、寮に戻る者がいる中、俺は家に帰るため帰路についた。
相変わらず広い敷地で迷いそうになるが、要所要所に案内板があるので時間は掛かったが、さほど迷うことなく門まで辿り着けた。
学院においての最初の目標は、最短距離で門まで行ける道のりを探し出すことにしよう。少しでも早く帰れるように。
別宅に着くと馬車の準備を頼み、それまで適当に暇を潰すことにした。
『なぁ、サナ。4年間も学院に通い続ける自信がないんだけど、やれると思うか?』
『どうでしょうねぇ、魔法学で学んだ事を、実技で実践していくくらいしか楽しみがないですからね。いっその事、友達でも作ってみたらどうですか?』
『友達ねぇ……』
『コミュ障で友達のいないマスターにとって、1番の目標になるかと。さすがに4年間ボッチを続けるのは、人としてどうかと……なので、題して【友達100人出来るかな?】作戦です!』
『別にコミュ障になった覚えはないぞ。ちゃんとコミュニケーションは取れてるぞ。家族以外の人とも』
『でも、今日のクラスで誰とも喋ってないですよね? 独りでしたよね? ボッチですよね?』
『あまり目立ちたくないし独りでも良くないか?』
『いえいえ、ボッチだと逆に目立つんじゃないですか? 大抵の人は友達ができたりしますよ? まずは席の前か横の人から友達になりましょうよ。脱ボッチのために』
『お前、さっきからボッチ強調するよな? 悪意を感じるんだが』
『別にそんなことないですよ。マスターが友達を作れずボッチになるなんて、ざまぁくらいにしか思いませんし』
『やっぱ悪意があるじゃねぇか。それを言うならお前だって独りなんだからボッチだろ?』
『あっ!?』
『なに? もしかして気づいてなかったの?』
『いやいやいや、私はシステムだからボッチには該当しません。システムに対してボッチなんて使いませんよ。なのでセーフです!』
『お前、前に人格が出来たって言ったよな? なら、1人としてみてもおかしくはない。故に、ボッチだ』
『いやぁぁっ!!』
『そこまで嫌がることか?』
『ま、まさか、私がマスターと同じボッチだなんて。ざまぁが出来ないなんて。ありえない……』
何だかんだで俺に“ざまぁ”がしたいだけかよ。
そんなやり取りをサナとしていると、馬車の準備が出来たらしく、自宅へと帰ったのだった。
その帰り道……
『マスター、私を人にしてください。そして、すぐさま友達を作ってマスターに“ざまぁ”しますので』
『無茶言うなよ! ソフィに頼めよ!』
どんだけ“ざまぁ”に心血注いでんだよ……




