六十八話目
しばらく幼生たちと戯れてから、俺たちは近くの木陰で腰を下ろしていた。
「はぁ……名残惜しいわね」
どうもリーシャはあのドラゴンをいたく気に入っていたらしい。わかれるときなどまるで今生の別れを告げているようだった。
ただ、それはメアも同じであり、あのドラゴンと別れるのはかなり辛かったらしい。最初こそトラブルはあったが、あのドラゴンはもともと気性の穏やかなドラゴンだ。すぐに仲良くなることができていたようだった。
「皆さんそう気を落とさないでください。ほら、ここには二人もドラゴンがいるではありませんか」
「どちらもおじさんじゃない」
さらりと傷つくことを言われ、ガリーナとメリーは二人そろって肩を落としていた。実際にそうなのだから反論ができないところが辛いところである。
まぁ、俺の方がずっと年上なのだが。
「で? 次はどこに行くんだ?」
アレックスの言を受け、ガリーナは勢いを取り戻す。
「それはそれは素晴らしいところですよ! きっと気に入ると思います!」
ずいぶん自信満々な様子だ。メリーも首肯しているところから見てハッタリではないようである。
「あ、もしかしてあれですか?」
何かに気付いたらしきヴィクトリアが遠くの方を指さす。そこには――巨大なドラゴンでも入れるほどの大きさの洞穴があった。しかも、ただの洞穴ではない。遠くからでも感じられるほどのオーラのようなものがあった。近づくにつれて肌がびりびりと震える感覚が俺を襲う。
「あそこは龍穴。あそこで私たちは成龍の儀を行うのです」
「けど、私たちはドラゴンではありませんよ?」
「ええ、承知しております。私が言いたかったのは、あそこは儀式が行えるほどの魔力や気に満ちているということです」
そこでハッと、俺は息を呑んだ。
「まさかお前……」
ガリーナはニッと口の端を歪め、答えを述べる。
「ええ、そうですよ。あそこなら、儀式が行えるでしょう? それもより確実に」
それは、俺たちにとって朗報ともいえる知らせだった。




