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●VS“暴魔竜・ティアマト”

【東】

十蔵&レイナ


「十蔵くんと一緒なんて、やっぱり運命ねえ~」


「レ、レイナ殿…離れて下され……!」


「え~何でぇ?」


「その……む、胸が…」


東地方。波飛沫飛び散る海岸にいるのは十蔵とレイナだ。先ほどからレイナは大胆な水着を着ているのに構わず、十蔵の腕に胸を押し付けていた。


「いいじゃん♪それに、この前の試合は私が勝ったんだから、十蔵くんは私と付き合う約束でしょ?」


「うぐっ……!!そ、それは……しかし、レイナ殿はなぜ拙者をそこまで?」


「言ったじゃん?運命の人だからよ」


パチンッ!とされたレイナのウインクは破壊力抜群であり、十蔵は一瞬意識が飛びかけた。


「と、とりあえず魔竜を探すでござる!!確か“暴魔竜・ティアマト”でござったな」


「うん。ティアマトは確か、海蛇みたいな奴だよ。どこにいるか……」


ザッパーーーン!!!!!


レイナの言葉を遮り、突然目の前の海が弾けた。辺りに海水の雨が降り注ぐ。


「何でござるか……!!」


「出たみたいだね…!!」


弾けた海面から、何かが姿を現していた。その姿を簡単に表すのなら、50メートルほどの大蛇が適切だろう。全身を青い鱗で覆い、蛇の顔の左右にはヒレが付いていた。眉間からは鋭い一角が生えている。


「こいつが、“暴魔竜・ティアマト”……!!!」


「おっきいな~」


「レイナ殿呑気過ぎるでござる!!!」


「ごめんごめん。さ、行こうか!!」


「承知!!」


十蔵が一気に駆け出し、ティアマトの頭の高さまで跳躍すると、


「せいやっ!!」


ズドンッ!!


強烈な回し蹴りを側頭部に叩き込み、脳震盪を発生させた。そこにレイナの追撃が入る。


「<ハートマシンガン>!!!」


レイナの十の指から放たれた雷の弾丸が間髪無くティアマトを撃ち抜いた。更に雷の弾丸は海に感電して水蒸気爆発を引き起こす。


「ゴアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


ティアマトが苦痛の嘶きを上げ体をくねらせ、十蔵の体を弾き飛ばす。飛ばされた十蔵は空中で体を回転させて地面に着地する。


「十蔵くん大丈夫?」


「無論でござる。しかし、あの巨体は厄介でござるな…」


「どうする?」


「ぶち抜くでござる!!」


そう言うと十蔵は、両腕に水を纏わせて籠手を造り出した。


「<激流の籠手>!!!」


そのまま両腕を振り抜き、ティアマトの腹に拳を叩き込んだ。


「<激流双拳衝>(げきりゅうそうけんしょう)!!!」


スバアァンッ!!!


「ゴォアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


十蔵の両拳から放たれた波動がティアマトの体を貫通する。ティアマトは口を開け、耳が痛くなる叫びを上げた。レイナがそれを見て歓声を上げるが、ティアマトが突然怒り狂ったように体を大海に叩き付けて暴れ始めた。


「うひゃあ怒った!!」


「レイナ殿、危ないので下がっ……」


十蔵が言い終わる前に、ティアマトの丸太のような尻尾が十蔵に直撃した。ミシリと嫌な音が響き、十蔵の体が地面に叩き付けられた。地面が陥没しその中心で十蔵が血を吐いている。


「十蔵くん!!……あたしの運命の人に、何するのよ!!<ハートランチャー>!!」


目を釣り上げたレイナが右腕から雷のロケット弾をティアマトに発射した。雷のロケット弾はティアマトの顔面にヒットし、一瞬ではあるが怯ませる。


「っ……!!ぐう……不覚でござる……!」


「十蔵くん、大丈夫!?」


「大丈夫でござる……っ!!」


口ではそう言っているが、十蔵の左腕にはヒビが入っていた。動かそうとする度に激痛がはしる。十蔵の額に嫌な汗が伝う。


「十蔵くん、腕が……」


「心配無用でござる……今はこいつを……!!」


十蔵は右腕から高圧水流を放ち、水の刃を造りだし、ティアマトに向けて振り下ろした。


「<激流一刀>!!!」


ザシュッ!!!


十蔵の激流がティアマトの青い鱗を切り裂いた。それでも致命傷には至っていない。デカ過ぎてダメージが抑えられているのだ。


「ぬぅ……!!まだまだでござる!!」


連続して<激流一刀>でティアマトを切り裂いていく。それに苛立ったティアマトは、十蔵向けて口を開いた。その中から、水の奔流が放たれた。十蔵の<激流波>以上の規模を誇る一撃は、瞬く間に十蔵を吹き飛ばした。


「ごほっ……!!」


奔流に呑み込まれ、十蔵は海に叩き落とされた。派手な飛沫を上げて深く沈んでいく。


「十蔵くん!!……きゃあ!!」


十蔵を救出しようと海に飛び込もうとしたレイナを、ティアマトの奔流が阻んだ。


「邪魔しないで!!<ハートランチャー>!!!」


レイナから雷のロケット弾が放たれたが、ティアマトは素早く身を海に隠して回避した。レイナは海ごと感電させようとしたが、十蔵がいることを思い出し、慌てて止める。


「くっ……!汚い奴…!」


レイナがどうしようかと悩んでいると、突如海が割れ、そこから現れたティアマトがレイナに水の奔流を発射した。


「うっ!!」


不意打ちの奔流はレイナの軽い体を崖まで吹き飛ばし、叩き付けた。


「ヘマ……しちゃったか……な」


動けなくなったレイナは自虐的に言った。ティアマトは、レイナ向けて再び奔流を放とうと口を開いた。

死ぬだろう。レイナはそう覚悟して目を閉じた。


「諦めるには……」


「えっ……?」


「まだ早いでござる!!」


ザンッ!!!


レイナの前に現れた何者かが、奔流を切り裂いた。

それは、先ほど海に叩き落とされた十蔵が持った槍で奔流を切り裂いていたのだ。


「十蔵……くん……?」


「遅くなったでござる!!レイナ殿、ご無事でござるか!?」


「あは……遅いよ?十蔵く…ん……」


「レイナ殿!!」


どうやら気絶したようだ。静かに目を閉じてその場に倒れ込んだ。


「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」


ティアマトがレイナを仕留めたと勘違いして雄叫びを上げる。それが、十蔵の逆鱗に触れた。<バースト>によって顕現された深青の大槍、海絶を握り締め、ティアマトに向き直った。


「よくも……」


「ゴア…?」


「よくもレイナ殿を傷付けてくれたな……」


「グルッ!?」


十蔵の殺気に一瞬呑まれたティアマトが、困惑の声を上げた。たかが人間の殺気に怯まされたことが分からなかったからだ。


「貴様はここで、拙者が貫く!!」


「ゴ……!!ゴォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」


十蔵の挑発に乗ったティアマトが口を大きく開き、特大の奔流を十蔵に発射した。


「<海破絶槍>!!!」


それに対し、十蔵は尖端を渦巻く激流で包んだ海絶を奔流にぶつけた。激しい爆発音を響かせてぶつかり合う水の一撃は、天変地異を引き起こすほどの規模であった。


「ぬうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」


ズバンッ!!


僅差で十蔵がティアマトの奔流を切り裂いた。しかし切り裂いた時にはティアマトが接近して、十蔵に食らい付こうと口を開いて接近していた。喰われる、と思われたが、


「<ハートランチャー>!!!!」


ドオォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!


「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!?」


ティアマトの口に、特大の雷のロケット弾が叩き込まれ、激しい雷鳴を轟かせた。後ろを見るといつの間にか復活していたレイナが右腕に雷を迸らせていた。


「レイナ殿!!大丈夫でござるか!?」


「あはは、大丈夫よ……それに、大好きな十蔵くんが頑張ってるのに、寝てるわけにはいかないし…」


大好きと言う単語に反応した十蔵が顔を赤らめた。


「だから、頑張…」


「ゴアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


レイナが話してる最中に、空気を読まずティアマトが奔流を放ってきた。奔流は見事命中した。すでに十蔵達がいなくなっていた地面に。十蔵はすでにそこからかなり離れた場所にいた。レイナをお姫様だっこした状態で。


「じ、十蔵くん?」


今度はレイナが赤くなっていた。そんなレイナをそっと地面に降ろし、十蔵はティアマトに向き直った。


「この人には、もう傷一つ付けさせぬでござる」


十蔵は海絶を構え、ティアマトへと突進していく。途中放たれてくる奔流を回避し、時おり海絶で切り裂いた。やがて懐に潜り込み、海絶を横一文字に振り抜いてティアマトの体をくの字にへし折った。ティアマトの口から汚い液体が吐き出される。十蔵は再度海絶を逆に叩き込んで、逆に体をへし折る。


「ゴォアホッ!?」


再びティアマトの口から液体が吐き出された。


「<波流瀑>(はりゅうばく)!!!」


そこにトドメと言わんばかりに、十蔵が海絶をティアマトの額に突き立てた。すると、ティアマトの頭が内側から発生した水の爆発で吹き飛ばされた。


「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!?」


「トドメでござる!!」


「ギッ!?ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


十蔵が海絶を再び突き出したが、復活したティアマトが額の一角を振り抜いて海絶とぶつかり合う。


「ぬうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!」


「はあぁぁぁっ!!!!!」


ドガンッ!!


僅差で十蔵がティアマトを弾き飛ばし、海絶を海に突っ込んだ。


「そろそろ終わってもらう!!」


突っ込んだ海絶を中心に、海が渦を巻くように海絶へと巻き付いて槍先を形成していく。やがて、ドリルのように高速回転する槍が出来上がった。ティアマトはそれが放たれる前に十蔵を喰らおうと、口を開けて襲い掛かった。


「<螺旋海破>(らせんかいは)!!!!!!」


渦巻く水のドリルと化した十蔵が、ティアマトの口の中へと突っ込んだ。ティアマトは十蔵を呑み込み、勝利を確信して雄叫びを上げた。が、それはすぐに悲鳴へと変わる。


「グエホッ!!?ゲオアァァァァオエェ!!」


見れば、ティアマトの体内で何かが暴れているように見えた。


「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


ズガガガガガガガガガがガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!


ティアマトの体内から聞こえてきた十蔵の声と同時に、激しい破砕音を響かせてティアマトの体が粉々に弾け飛んだ。体内から現れた十蔵は、疲労困憊といった様子でレイナの前に崩れ落ちた。


「十蔵くん!!大丈夫!?」


「だ、大丈夫でござる………少し、無理したでござる………」


「凄いね、十蔵くん……流石、あたしの旦那様」


「何かランクアップしてるでござるが!?」


「だってさっき行ってたじゃん?『この人には、もう傷一つ付けさせぬでござる』って」


「そ、それは……!!ただ、それはレイナ殿が大事だったからでござる」


「やっぱり♪あたしが大事なんだね!!ありがとう十蔵くん!!」


レイナが十蔵に抱き着いて感激していた。レイナの柔らかい体は、今の十蔵には破壊力抜群であった。鼻血を吹き出して十蔵は気絶した。


【東】ティアマト。討伐完了。

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