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●ライズVSケイド●

「じゃ、先手必勝でいかせてもらうよ」


試合開始と同時にライズがケイド向けて駆け出し、拳を顔面目掛けて放った。助走の勢いが上乗せされた一撃は、ケイドに当たる直前、突然弾かれた。


「お……?」


当たると思われた拳が弾かれ、ライズは驚きながら後退する。ケイドがまったく動かずにライズの一撃を弾いたことに対し、ライズは警戒心を高めた。


「様子見だ」


距離を取ったライズは、右腕から放射状の雷をケイドに発射した。雷鳴を轟かせ放たれた雷は、今度はケイドに当たる直前で軌道を変えられ外れてしまう。ライズは、ケイドの周りを凝視する。雷属性を生かした身体活性化により強化された視覚で捉えたのは、


「風……か……?」


ケイドの全身を覆う、風の鎧であった。ライズの拳と雷を防いだのはこの風の鎧だったのだろう。


「なるほどね。常に体の周り最低限に気流を起こして、さっきみたいに弾いたり、気流に乗せて雷を受け流したってわけか」


「初めて私と試合して見破ったのは、君が初めてだよ」


「そいつぁどうも」


口では余裕をかましていても、内心では策をいくつも考えていた。あの風の鎧はかなりの防御力をもっている。事実、そこらの建物を砕けるライズの拳を防いでいた。するとライズは突然ニヒルに笑い、言った。


「…考えるのは止めだ」


「どういうことかな?」


「まんまの意味だよ。下手な策じゃあおっちゃんの鎧は砕けない。だったら、どでかい一撃ぶちこんで鎧を壊す。押して駄目なら押し通せ、だよ」


「ふ、面白い。なら、壊してみろ」


ケイドを覆う風の鎧が勢いを増した。今まで以上の風の強さにライズは顔を引き締める。右腕に雷を纏わせ、ケイドに再び拳を振るった。


「だらぁっ!!」


ドゴンッ!!


「っ……!!」


拳の一撃は再度風の鎧に防がれた。しかし、ケイドの足下に蜘蛛の巣状の亀裂が走り体を沈ませる。ライズは更に左腕にも雷を纏わせ、再び拳を振るった。またケイドの足下の亀裂が深くなる。


「よし!!」


「……!やるな……!」


もう一度拳を振るおうとしたが、ケイドが放出した暴風がライズを弾き飛ばした。飛ばされたライズは空中で回転して着地する。


「にゃろう…!」


「今の一撃は驚いたよ。あんなのをくらったのは久々だ」


「のわりには、余裕そうだな?」


「そうでも無いさ」


「そうかい。次は、貫いてやるよ」


今度は右腕に纏わせた雷の先端を尖らせ、牙のように変形させた。


「<雷牙>(らいが)!!!」


空気を引き裂く雷鳴と共に雷の牙がケイドに突き立てられ、辺りに放電を撒き散らした。


「おらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


「っ……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


ぶつかり合う雷の牙と風の鎧。わずかにライズが押しており、ほんの少しだがケイドの風の鎧を貫き、顔に一筋の傷を付ける。すると、マイクが興奮した様子で実況してきた。


「なんということだろうかぁぁぁぁぁぁ!?何と今まで傷一つ付けられなかったはずのケイドの鎧を貫き、ライズが一太刀入れたぁぁぁぁぁぁ!!」


これにはシエンも驚いていた。


「まさかケイドの鎧を貫くなんて……彼等は何と興味深い」


顎を撫でながら呟く。


「やっと一発決めれた………かな?」


「傷を受けたのは、久々だな……ふふ」


一筋の傷から垂れる血を拭い笑みを浮かべた。


「へ、次はそんなんじゃ済まさないよ」


同じく笑みを浮かべたライズが両腕に雷を集束させており、光を伴いながらバチバチと音を立てていた。


「こいつで決めさせてもらう」


「受けて立とう…!」


ケイドの鎧が更に勢いを増し、辺りに暴風を吹かせていた。観客達も暴風に髪を押さえている。ライズはその暴風をものともせず、暴風を切り裂いてケイドへと駆け出した。両腕を引っ張るように前方姿勢で走り、雷が尾を引く。紫電と化したライズの拳が、雷鳴を轟かせ放たれた。


「<双雷電墜>(そうらいでんつい)!!!」


ドオオオオオオオンッ!!


大気を震撼させる2つの爆圧がケイドの鎧に直撃する。雷の速度で放たれた2つの拳が火花を散らし、ケイドの鎧を軋ませていく。


「ぶち砕けえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」


「うっ………!?ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


互いの咆哮が響く中で、決着はついた。


「だらぁっ!!」


ズドンッ!!


「ぐはっ!!」


ライズの拳がケイドの鎧を打ち砕き、土手っ腹に強烈な一撃を叩き込んだ。拳は深く腹にめり込みケイドは肺の空気を吐き出した。


「っ……見事…」


ケイドがその場に崩れ落ちそうになった瞬間、ライズがケイドの体を支えた。


「少年……?」


「楽しかったぜ、おっちゃん。あんたとは、またやりたいと思ったよ」


ケイドに肩を貸して相手側の陣地に送り届ける。


「少年……今度は私が勝つぞ」


「へ、上等だよ。次もぶっ壊してやるよ」


ニヒルに笑い、ライズは自陣へ去っていく。


「勝者ぁ!!“アナザーワールド”!!ライズ・ブルームゥ!!」


マイクの実況にて、第1試合、ライズが勝利を納めた。

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