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●コロシアム●

ラーヴァオコロシアム。古代ギリシャにあったようなコロシアムのような円形の建造物だ。ここで月に1度、ギルド同士の戦いが繰り広げられている。その戦いを勝ち抜き優勝を手に入れれば、そのギルドは賞金と栄誉が与えられることになっているのだ。ただ、ここ数年はギルド“トライデント”が優勝を連続で獲得している。大規模であり精鋭揃いのトライデント“からはギルドマスターのシエンに、サブマスターの2人で参加してた。そんな“トライデント”を倒せば、知名度が跳ね上がるだろうが、過去に出来た者はいない。今回も“トライデント”が優勝するだろうと誰もが思っていた。ある1組を除いて。


「よーし今日がコロシアムの日だ。やるからには優勝するぞ!!」


「「「おー!!」」」


コロシアムの前で燃えているのは、出来立てホヤホヤのギルド“アナザーワールド”の面々だ。ギルドマスターとなっている煉の声に全員反応している。


「つーか参加数は3名でしょ?誰を選ぶの?」


サブマスターに立候補してなっているライズが質問する。


「俺と、あと出たい奴」


「じゃあ俺」


「拙者も」


ライズと十蔵が速攻で手を挙げた。リオ達からも異論は無いようだ。


「よし。じゃあ俺とライズと十蔵でコロシアムに参加。残りは応援だ」


「「「了解」」」


「うし。行くぞ」


コロシアム組は参加受け付けへ、応援組は観客席に移動した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


コロシアム控え室。ロッカーと椅子がある簡単な造りだ。先ほどの受け付けで煉達はAブロックの第1試合とトップバッターになったので、体を解しているところだ。


「第1試合って、まあまあ緊張するね~」


「そのわりには、全然緊張してるように見えねえがな」


「リラックスは、大事でござる」


それから少しして、集合がかかった。


「ギルド“アナザーワールド”の選手、コロシアムに出てください」


「出番だな」


「かましますか」


「いざ」


煉達は獰猛な笑みを浮かべてコロシアムへと踏み出した。円形ステージの360°から観客の歓声が聞こえてくる。そして目の前には、対戦相手のギルドの3名がいた。全員見事なゴリマッチョ。何ともむさ苦しい面々だ。


「さーぁ始まりましたぁ!!ギルドコロシアム!!今回もギルドのハンター達による熱い戦いが繰り広げられられますぜぇ!!」


と、突然ハイテンションな実況が入ってきた。


「今回も実況させて頂きます、マイクです!!よろしくどーぞぉ!!それではまずAブロックの第1試合のギルド紹介だぁ!!」


マイクの実況に合わせて観客達が盛り上がる。


「まずはギルド“筋肉同盟”!!武器は拳、鎧は肉体をモットーとする筋肉集団だぁ!!今回も暑苦しいぜぇ!!」


紹介された“筋肉同盟”の3名は白い歯を輝かせながらテラテラしている肉体でポーズを決めていた。


「続いては新設ギルド“アナザーワールド”だぁ!!実力は未知数!!“筋肉同盟”とどのような戦いをみせるのか見物だぁ!!」


「煉ー!しっかりやんなさいよー!!!」


観客席からリオの声援が入る。


「試合方式は3対3の戦闘だぁ!!全滅した方が負け!!それでは早速開始としようか!!」




マイクの実況で“筋肉同盟”の3名が構える。煉達は誰がどいつを担当するかを話していた。


「俺はまん中な」


「じゃあ俺は右」


「拙者は左でござるな」


決まったようだ。


「よぉし、それでは第1試合、開始ぃ!!」


合図と同時に煉達は一瞬で相手に接近した。煉は正拳突きで腹を撃ち抜き、ライズは上段蹴りで蹴り上げ、十蔵は地獄突きを喉に叩き込んだ。“筋肉同盟”の3名は数秒で地面に崩れ落ちた。これには実況のマイクも観客も絶句しているが、少ししてマイクが我に返り、実況を再開した。


「し、勝者は“アナザーワールド”だぁ!!何と3秒で“筋肉同盟”を沈めたぁ!!これはとんでもないダークホースが現れたぁ!!」


「「「わあああああああああああっ!!」」」


「骨が無えな」


「見せかけ筋肉」


「鍛練が足りぬ」


見事勝利を納めた煉達は控え室へと戻っていった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


試合はスムーズに進み、テンポよく消化されていった。一方の煉達はどの試合も一撃必殺の秒殺しまくりであった。そしてただ今決勝戦の目前である。Aブロックの代表、つまり煉達“アナザーワールド”と、Bブロックの代表“トライデント”が戦うことになっていた。試合は見ていないが、“トライデント”の方も反則的な強さを見せつけているらしい。煉は今までとは違う実力者にベストの状態で挑めるように、余念無くストレッチをしている。


「あれ、煉緊張してんの?」


隣でリラックスしているライズが呑気に声を掛けてきた。


「多少な。あのシエンって奴は、かなり出来ると見た」


「ふ~ん。俺はほんわかした感じの人にしか見えないけど…」


「そうか。ま、当たるのは俺だし。ライズと十蔵はまだ見てない相手らしいしな。油断は大敵だぞ?」


「油断なんてしないよ」


「拙者も同じく」


問題は無いようだ。


「よし、そろそろ…………ん?」


煉は立ち上がってコロシアム入り口に行こうとした瞬間に、ある視線を感じた。背後から送られる視線。穏やかなものでは無いとすぐにわかった。


「どうかした?」


「いや、何でもない」


「そ。じゃあ早く行こうぜ」


「ああ」


視線に疑念を持ちつつ、煉達はコロシアムへと入場した。その瞬間、割れんばかりの歓声が空気を震撼させる。実況しているマイクの声にも熱が隠っていた。


「さぁーあ!!いよいよ来たぜ決・勝・戦だぁぁぁ!!そして更にぃ、こん大会初出場にして決勝戦に上り詰めた“アナザーワールド”と、不動の絶対王者“トライデント”の激突だぁ!!」


「「「わあああああああああああっ!!!」」」


「決勝戦のルールは勝ち抜きの2点先取制だぁ!!先に相手ギルドの2人を倒した方が勝ちだぁ!!」


実況を危機ながら煉は“トライデント”の面々に視線を向けていた。真ん中にはシエンが。その右に立派な顎髭を生やした筋肉質な男がいた。しかし、1人足りない。3名いるはずなのに1人足りないのだ。


「なあシエン、1人足りなくないか?」


「ええ、少し用があると言って出かけてしまいました。試合までには間に合うので、ご心配無く」


「そうか」


「ところで煉。順番はどうする?」


ライズが口を開いた。


「そうだな、1番と2番どっちがいい?」


「1番で」


「では拙者は2番に」


「決まりだな」


先鋒ライズ。中堅十蔵。

大将煉となった。


「それでは間も無く先鋒戦!!拳の速さ雷の如し!その一撃に砕けぬもの無し!“アナザーワールド”サブマスター、ライズ・ブルームゥ!!」


気合いの入った紹介と共にライズが前に出た。


「続いてはぁ、この男に対峙した全ての人間が言う!絶対傷つかない男!!強固な鎧をその身に纏う、“トライデント”の城塞!!サブマスター、ケイド・ハーバルゥ!!」


実況と共にあの顎髭の男が前に出た。


「おっちゃんが相手か、よろしく」


「楽しい試合にしよう、ライズ君」


普通の挨拶に見えるが、お互いの視線の間には火花が散っていた。


「ではぁ!!決勝戦第1試合、ライズ対ケイド!!始めぇ!!」


こうして第1試合が開始された。

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