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●大空中戦●

ワイバーナ帝国クライマックス

「はっ!!」


「ぬんっ!!」


キイィンッ!!


ワイバーナ帝国上空を高速で飛び回るアレックスとガーラの槍が鋭くぶつかり、高い金属音を響かせる。

ワイバーンを自在に操り空を駆ける高度な技術に、煉は感動を覚えていた。

まさに人竜一体。それほどまでに洗練されていた。


「っ……!少しは腕を上げたか……なら、これはどうだ!!」


ガーラはグランを操って一気に急上昇し、隕石のような速度でアレックスに突っ込んできた。回避は、間に合わない。しかし、


「しゃらあっ!!」


レックスに同乗している煉が跳躍し、グランの顔面を横から蹴り飛ばして槍の軌道を強引にずらした。

更にバランスを崩したガーラとグランに向けて、アレックスの突きが、レックスの火炎が襲い掛かる。

もろに直撃した1人と一体は、力尽きたように地面に落下し、固い地面に叩き付けられた。煉達も地面に下りて、ガーラの元へと近付く。まだ辛うじて生きている状態だ。アレックスは、ガーラの首に槍を静かに当てた。


「ガーラ・ボロス。貴方を連行します」


「……ふん…若僧が」


「命までは取りません。貴方には、死ぬまで罪を償ってもらいます」


「命までは取らん、か………ククク…」


突然、ガーラが笑い声を口から漏らした。やがてそれは、大音量の笑い声となる。


「クハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」


「何がおかしい!!」


「笑う以外に出来るわけ無いだろう?命までは取りません?甘過ぎだな。まだ終わってないのに」


「…!?どういうことだガーラ!!」


ボゴオォォォン!!


その瞬間、巨大な爆発音が響き渡った。同時に、


「『ギオオオオオオオオンッ!!!』」


巨大な嘶きが煉達の耳を刺した。


「何だ!?」


見れば、巨大な白銀のワイバーンが飛竜宮の広場を突き破って咆哮を上げていた。よく見ると、そのワイバーンは生物では無く、ロボットのようなものであった。


「何だよ、あれ……?」


「これは、私が馬鹿な民衆から巻き上げた税金で作り上げた最強のワイバーン、アイアンファングだ!!」


「お前最低だなおい!?」


税金でこんなものを作っていたガーラに煉がすかさずツッコンだ。そんなツッコミを無視してガーラはアイアンファングに搭乗する。するとアイアンファングが巨大な嘶きを上げた。


「行くぞ若僧共ぉっ!!」


「上等だよ、そいつをスクラップにしてやらぁっ!!

行くぞアレックス!!」


「了解です!!行くぞレックス!!」


「『お前ら、テンションアップしてねえか…?』」


ため息を吐きつつもレックスは翼を羽ばたかせて、アイアンファングの目線の高さまで上昇した。その瞬間アイアンファングが顎を開き、白銀に輝く無数の牙で食らい付こうと突進してきた。それを急旋回して回避し、アイアンファングの側面をなぞるように飛んで、飛行の勢いを保ったまま尻尾に近付き、


「<火爆裂脚>!!!」


炎を纏った蹴りを尻尾に叩き付けた。しかし、尻尾の硬度が上回り煉の蹴りが弾かれる。


「こいつも<ドラグニウム鉱石>製かよ……!!」


「全身<ドラグニウム鉱石>のワイバーンだ。どうだ赤堂煉!!」


「やかましい税金無駄遣い野郎!!」


続けざまに打撃を叩き込むが、少しへこむだけでダメージが通らない。何か対策は無いかと少々思案していると………煉は頭の上に電球を浮かべた。


「お前らぁ!!ちょいと来てくれ!!」


リオ達を大声で呼び寄せた。


「何かいい方法でも見つかった?」


「ああ。あいつは装甲は固いが、全身ってわけじゃねえ。間接部は普通の鉄みたいだから、普通にぶっ壊せる。リオ、十蔵、ウェド。お前らは間接部を重点的に壊してくれ。美紀はどうにかしてアイアンファングの動きを阻害。んでライズ。お前はあいつに雷流し込んで中身からぶっ壊せ」


「わかったわ!!」


「オーケイ!!」


「承知でござる!!」


「了解だよ!!」


「わかりました!!」


「よし、行くぞ!!」


煉の合図を口火にリオ達が一斉に駆け出し、それぞれの仕事を行った。


「そうれっ!!」


ザンッ!!


リオが振るった嵐滅が、アイアンファングの翼の装甲の間接を的確に切り裂いた。切り裂かれた所が火花を散らしてスパークする。

それに怒るように、アイアンファングが尻尾の先端でリオを貫こうと勢いよく発射した。が、


「せいやっ!!」


ドガン!!


十蔵の海絶がそれを掬うように上に弾き飛ばし、がら空きになった尻尾の間接全てに槍撃を叩き込み、

アイアンファングの尻尾を切断した。


『ギオオオオオオオオン!!』


尻尾が切断されたせいでバランスを崩し、鋼の巨体が揺らいだ。そこにすかさずウェドが入り、


「凍ってもらうよ」


ビキィン!!


凍牙を振るい、華麗な連撃を胴体の間接部に叩き込んでいくと、間接部が凍結して動きを阻害した。そこに美紀が造り出した

<土傀儡・金剛力士>が乱入してアイアンファングを力任せに押さえ付ける。完全に動きを封じられ、身動き一つ取れずに唸ることしか出来ない。


「俺も行っちゃうぜ!!」


そこに雷吼を構えたライズが入り、胴体の間接部に雷吼の刃を抉るように叩き込み、さらに電気を流し込んだ。


「痺れな!!」


全身から火花を散らしてアイアンファングが悲鳴を上げた。


「うっしゃ!!その翼、斬らせてもらうぜ!!」


煉は膨大な炎を纏わせ、アイアンファングの身の丈を越す刃を形成させた焔真を、横薙ぎに振り抜いた。


「<真火焔斬>!!!」


ズバンッ!!


炎の刃がアイアンファングの翼を根本から切り落とす。これで飛行手段は断った。もう逃げ場は無いと思っていたが……


「まだだぁ!!」


ガーラが叫び、何やら怪しいスイッチを押した。すると、アイアンファングの胴体の左右から近代的なロケットブースターが飛び出し、それが勢いよく炎を噴射してアイアンファングの巨体を浮かせた。


「奥の手は最後まで取っておくものだ!!」


「ワイバーン要素無視かお前は!!」


徐々にスピードを上げて高度も上げていく。追い付くには空を飛ぶしか無い。

しかし<紅蓮鳳凰>はエレメントが足りず使用不可能。リオも飛べるが、スピードで勝てるかどうか。どうにかいい方法は…………!


「あった……!!」


煉は口から期待の声を出した。


「リオ、十蔵、ウェド、美紀。お前らでどうにかしてアイアンファングの飛行を邪魔して時間を稼いでくれ」


「時間を……稼げばいいのね」


「ああ。んでライズ。お前は俺と一緒にレックスに乗ってアイアンファングの手前まで行く」


「手前まででいいの?」


「ああ。耳かせ………………………わかったか?」


「無茶苦茶過ぎでしょこの作戦……まあでも、乗った」


「おし。アレックス、レックス。頼む」


「乗ってください。特急で行きますよ」


「『振り落とされんなよ!!』」


漆黒の翼を羽ばたかせてレックスが空へと飛び上がった。


「あたし達も仕事するわよ!!」


「承知でござる!!」


「オーケイ!!」


「行きましょう!!」




リオが未だ上昇しているアイアンファングに向けて、巨大な竜巻を放った。

それに十蔵の水流が、ウェドの吹雪が、美紀の砂嵐が混ざり合い、4つのエレメントの竜巻がアイアンファングに襲い掛かった。

天災に匹敵する一撃がアイアンファングを呑み込み、その巨体を大きくぐらつかせる。ブースターは起動しているが竜巻のせいでスピードは落ちていた。


「ナイスだぜお前ら!!ライズ、やるぞ!!」


「オーケイ!!」


レックスの背中から一気に跳躍した煉とライズ。

まずライズがオーバーヘッドキックのような体勢を取り、その足に煉が膝を曲げて着地する。そのまま足を振り抜き、


「シュートォッ!!」


「おっしゃあぁぁぁ!!」


弾丸並のスピードで煉をアイアンファング目掛けて蹴り飛ばした。やがてアイアンファングの腹が見え、煉はそのまま腹に突っ込んだ。


ドガァァァン!!


鋼鉄の体を突き破り、腹から、ガーラの跨がる背中へと貫通し、そのままガーラを掴んで飛び上がった。


「なっ……!!」


「終わりだぜ、ガーラ」


煉は炎を集束させた右腕で、ガーラの鎧を撃ち抜いた。


「<火紅鎚>!!!」


ドガァンッ!!


「ぐふぅっ!!」


拳が深々とめり込み、ガーラの体を更に跳ね上げた。鎧には蜘蛛の巣状にヒビが入っていたが、


「まだ……終わっ……ておらん……!」


槍を煉目掛けて放った。しかしそれは、煉の蹴りで完全に叩き折られた。


「あっ……!!」


「アレックス、頼む!」


煉の声で参上したアレックスとレックスに乗り、再び跳躍して、ガーラの真上に飛び上がる。その右腕は、今度は十字架のように変化していた。


「十字架を背負うのはてめえだ!!」


その右腕を、全力でガーラに叩き込んだ。


「<十字火紅鎚>!!!」


その瞬間に爆発が起こり、ワイバーナ帝国全域の大気を震わせた。集束された爆炎の一撃はガーラの鎧を完全に粉砕し、そのまま地面に叩き落とした。隕石並のスピードで落下して地面に当たり巨大な衝撃と砂埃を巻き上げる。やがて砂埃が消えて、そこに見えたのは、胸に十字架状の火傷を刻まれたガーラの姿であった。


「ふぅ……終わったな」



次回、ワイバーナ帝国からの旅立ち

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