●処刑実行●
今回長めになっております
煉達とガーラの戦闘から2日後の今日。ミアラ達の処刑当日であった。分厚い雲にが空を覆い、今にも悪天候に見舞われそうなものだった。冷たいのは風だけで無く、ワイバーナ帝国の民衆もまた冷たい雰囲気を出している。何せ、一国の王女が国を裏切ったと言われれば誰でも冷たくはなるだろう。例えそれが嘘であっても……
飛竜宮の広場に設置された処刑台に、ミアラとアレックス、他の従者達が十字架に縛り付けられていた。
それに怒り、軽蔑の視線を向ける民衆。その光景を心底愉快そうにガーラが見ていた。
「ワイバーナ帝国の者よ!!今日と言う日は、我が帝国始まって以来の大きな損害である!!」
壇上に立ったガーラが、大声で演説を始めた。
「我が帝国王女、ミアラ・ワイバーナは、帝国に潜んでいた密偵を手助けした!!これは許されるか?」
民衆は、口々にミアラへ向けて罵詈雑言を叩き付ける。
「このクソ王女!!」
「てめえなんかくたばっちまえ!!」
民衆の心無い言葉に、ミアラは涙ぐむ。しかし、今の現状は、あまりに分が悪い。ガーラの思惑通りに、何もかも進んでいく。
「この裏切り者を、私、飛竜騎士団総団長ガーラ・ボロスが処刑する!!そして二度とこのような事態が起きぬように、私がワイバーナ帝国の王となろう!!」
ガーラの言葉に、民衆が両手を上げて歓喜の声を上げた。もうミアラの言葉は民衆には届かない。
「さあ、聖なるワイバーンの炎にて、その身を焼かれるがいい!!」
ミアラ達の前に、数体のワイバーンが横一列で現れた。その口の隙間からは、炎が漏れ出している。
ミアラは、死を覚悟して目を閉じた。
「やれぇぇぇっ!!」
ボオウッ!!
無数の炎の奔流がミアラ達へと放たれる。大気を焦がす尾を引く炎は、
「<火炎餓喰>(フレイムイーター)!!!」
突然響いた声と共に、軌道を外れてある一点に吸い込まれた。その一点は、飛竜宮のワイバーン象の上に立つ、赤堂煉であった。
「間一髪、だな。無事か、ミアラ?」
「煉……さん?」
「俺だけじゃねえよ。他のおまけもいる」
「「「誰がおまけだ!!」」」
途端にリオ達のツッコミが入る。
「どうして……煉さん達は関係無いのに……巻き込んでしまったのに……何で戻って来たんですか!?」
「何でって……友達だからだろ」
「友達って、会って1日しか経ってない私なんかを?今、帝国が敵なんですよ!?」
「知ったことか」
ミアラの言葉を煉が一蹴する。
「帝国が敵?上等だよ。友達のためなら、帝国だろうが世界だろうが、いくらでも喧嘩売ってやるよ!!」
民衆を、ガーラを鋭く睨み付けて怒鳴った。その言葉には偽りなど無い。煉はミアラを友達だと思っている。そしてミアラが危険な目に会っているなら、何であろうと叩き潰す。それが煉の考えだ。
「たかが密偵がよく吠えるなぁ?仲間意識も貴様らがすれば反吐が出る」
ガーラが悠然と、煉の前に歩を進め、煉を睨み返す。その瞳には侮蔑の光が灯り、ドロリと濁っていた。
さらにガーラに続いて民衆も口々に非難の声を上げた。煉はため息を付き、
「たく、うっせぇんだよてめぇらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
人間ではあり得ないでかさの咆哮で民衆達を黙らせた。
「こんな紙切れ一枚に踊らされやがって。今から真実を見せてやるよ。ライズ、ウェド。あれ頼む」
ライズとウェドに指示を飛ばした。
「「了解!」」
まずウェドが、巨大な氷のスクリーンを作り出した。表面は曇り一つ無い綺麗なものになっている。
そこにライズがコールブレスを向けて、ある映像を映し出した。それを見た瞬間、ガーラと民衆が絶句した。
その映像は、一昨日の煉達とガーラのやり取りが記録されたものであった。
「なっ……!何だこれは……!?」
「どうしたガーラ?顔色が悪いぞ?」
予想通り。煉は得意気にガーラへ笑ってみせた。
「何だそれは……!!そんなもの知らんぞ!!」
「はは。こいつはコールブレスっつってな、本来は通信端末だが、録画機能が使えてよかったぜ」
「そんなもの……この世に存在しない!!貴様ら、何者だ!!」
「そういや、名前しか名乗ってなかったな。改めて名乗るぜ。俺は赤堂煉。この【イグニス】とは違う世界、【アスタニア】から来た者だ」
煉の言葉に、ガーラ、ミアラ、アレックス、民衆達が言葉を失った。
「【アスタニア】…だと?知らんぞ!!そんな世界など!!」
「まあ俺のことはこの際どうだっていい。どうだよガーラ。なんか言い訳はあるか?」
「くっ……!!」
「出てこない…か。まあ無理もないな。さて、ミアラ達を解放してもらおうか?」
「くっ……!!このクソ餓鬼共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
もうよい!!この際どうでもよいわ。お前らぁ!!」
激昂したガーラが叫んだ瞬間、民衆の中から無数の鎧騎士が飛び出した。同時に空から無数のワイバーンが飛来する。騎士達はワイバーンに飛び乗り、宙に舞い上がった。
「知られたからにはもう手段は問わん!!民衆全て始末しろ。そして私が、新生ワイバーナ帝国の王となるのだ!!」
飛竜騎士が空を駆け、民衆達に襲い掛かる。鋭い爪が、歪な牙が、高熱の火炎が、騎士の槍が容赦無く民衆達に降り注ぎ殺戮する。筈であった。
「<堅土の砦>(けんどのとりで)!!」
美紀が造り出した土の砦が全て弾き返した。
「民衆の皆さんはこの中に避難してください!!急いで!!」
美紀の指示に従い、民衆達が砦に入っていく。全員入り終えるのを確認すると美紀は入り口を厳重に閉めた。
「全員入りました。存分に暴れちゃって下さい!!」
「おっしゃあ!!」
煉はミアラとアレックス達を縛り付けている十字架を破壊して解放し、自由になったミアラとアレックス達をその場に座らせた。
「煉さん……」
「大丈夫。後は任せろ。
アレックス、ミアラを頼めるか?」
「問題、ありません。任せてください」
「おし。行くぞお前らぁ!!」
煉の号令で、リオ達が動き出す。リオとウェドが組み、ライズと十蔵が組んだ。美紀は民衆達の護衛。
煉は、ガーラの前に立った。
「前回のリベンジをさせてもらうぜ、ガーラ」
「よくも邪魔してくれたなぁ……!!貴様は直々に私が貫いてくれるわ!!」
ガーラは絶突竜槍を真っ直ぐ構え、煉に突っ込んでくる。弾丸並みの速度で突進してくるガーラに対し、煉は体を捻ってかわし、すれ違い様に拳を鎧の上から叩き込んだ。
ガキッ!!
硬い感触が拳を通して伝わってくる。そのまま腕を振り抜き、ガーラを後方に殴り飛ばした。しかし倒れずに両足で地面を削り勢いを殺す。煉は地面を蹴って一気にガーラとの距離を詰め前蹴りを叩き込むが、それは煉の拳を防いだあの盾に阻まれた。あいかわらずの硬度を持ち煉の前蹴りを真正面から殺した。
「硬いな、やっぱし」
「貴様にはこの盾は砕けんさ。<ドラグニウム鉱石>を圧縮して固めたからな。<ドラグニウム鉱石>の力を十分に発揮しているのだからなぁ!!」
「上等だよ。ぶっ壊してやらぁ」
煉は盾を再び蹴り付けて後方に飛び退き、右腕を真っ直ぐ突き出した。右手の甲に刻まれた属性紋章が真紅の輝きを放つ。
「<バースト>!!!」
溢れ出した紅蓮の火焔が煉の右手に集束して真紅の刃を持つ刀となる。煉の<バースト>により形を得た炎の刀。焔真である。
「ほう。そんなものまで持っていたか」
「行くぜ」
煉が焔真を横一文字に振り抜くが、ガーラの絶突竜槍がそれを受け止めた。激しい火花を散らしてぶつかり合う。
「まだまだぁっ!!」
高速で焔真を振るいあらゆる方向からガーラを切り付ける。縦斬り、横斬り、袈裟懸け斬り、斬り上げ。
盾と絶突竜槍で防ぐが勢いに押され後退していく。
次第に、盾に刻まれた亀裂が深くなっていく。それを見た煉は再び後ろに飛び退き、構えを取る。
焔真の切っ先をガーラに向けて真っ直ぐ構え、左足を前へ、右足を後ろにして、静かに目を閉じた。
「目を閉じて、私の突きを捌けると思ったか愚か者が!!」
ガーラは絶突竜槍と盾を構えた状態で突進してくる。その姿はまさに重戦車。
正面からぶつかれば、煉はかるく飛ばされるであろう勢い。しかし煉は、それでも動かず構えていた。
「<居合い弐の型……>」
ガーラが、煉の間合いに入った瞬間、
「<火閃突>(かせんとつ)!!!」
火炎を纏い研ぎ澄まされた焔真の突きが、ガーラの盾の亀裂に突き刺さった。
焔真は深々と盾に刺さり、やがて、
バキィンッ!!
盾は粉々に砕け散った。
「んなっ……!?」
「どうだ。自慢の盾を砕かれた感想は?」
「くそ餓鬼が……!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
リオ&ウェド。
「よーしウェド、さっさと片付けるわよ!!」
「はいはい。リオちゃん張り切りすぎでしょ」
煉の指示で動いている2人は、飛竜騎士の無力化を任されていた。目の前には約30体の飛竜騎士。ワイバーンは口を開いて火炎を吐き出して攻撃を繰り出しているが、リオとウェドに当たらない。
「ウェド、そっちのも」
「はいは~い。よっ!!」
火炎が飛来する前に、ウェドが炎を氷結させているのだ。凍らされた炎は地面に落ちて砕け散る。
「炎を吐かれんのは面倒だから、凍ってもらう」
ウェドはワイバーンの口を全て氷結させて火炎を封じた。突然凍ってしまってパニックになった隙に、<バースト>を解放し、翡翠の刃を持つ大鎌、嵐滅を構えたリオが飛竜騎士の真上に跳躍した。さらにウェドも<バースト>で白銀の双剣、凍牙を顕現する。
「ウェド!!合わせなさいよ?」
「オーケイ!!」
リオの旋風てウェドの吹雪が混ざり合い、氷刃舞う竜巻が巻き起こった。
「「<氷魔迅旋風刃>(ひょうまじんせんぷうじん)!!!」」
氷刃の旋風を巻き起こし、飛竜騎士×30を呑み込んで切り刻んだ。旋風が止むとそこに残っていたのは全身凍結&切り傷だらけの飛竜騎士であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ライズ&十蔵
「さてと、飛竜騎士はどんくらい強いかな~。なあ十蔵?」
「分からぬでござる。しかし、良い鍛練になるでござろう」
飛竜騎士×50に囲まれているにも関わらず、ライズと十蔵は呑気な会話を繰り広げていた。向けられている殺気とワイバーンの唸り声を見事にスルーしてる。
「ま、ちゃちゃっと終わらすか」
「承知でござる」
ライズと十蔵は<バースト>を発動させた。雷鳴を轟かせ、水を渦巻かせ、それが収まる頃には、ライズの手には金色の刃を持つ斧槍、雷吼が。十蔵の手には深青の大槍、海絶が握られていた。
「Its showtime!」
「で、ござる!!」
流暢な英語で気合いを入れたライズは、雷吼を地面に叩き付けた。
「刺電<しでん>!!!」
それにより雷の刺が地表を突き破って現れ、飛竜騎士達を貫いて感電させる。
「<滝落とし>(たきおとし)!!!」
十蔵は海絶の先から空に向けて大量の水流を発射する。それが滝の勢いで落下して飛竜騎士を激しく打ち付けた。更に、ライズの<刺電>に<滝落とし>が感電して水蒸気爆発を引き起こす。
「「<刺雷爆水>(しらいばくすい)!!!」」
飛竜騎士×50はこの攻撃で全滅した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
美紀
「さて、私も頑張らないと」
エレメントで造り出した砦で民衆を保護している美紀の周りには、飛竜騎士×20。普通の騎士×30の合計50の騎士がいた。1人で相手をするには厳しい数の筈だが、美紀は至極冷静に状況を分析する。
「目には目を。歯には歯を。数には、数ですよね」
自身の<バースト>である土色の錫杖、地裂で地面を軽く叩いた。すると、地面が盛り上がり、無数の鎧武者を形作った。
「<土傀儡・武者>(むしゃ)。進め」
美紀の指示に従い、無数の鎧武者が刀や槍や弓を構えて行進し、騎士×30との戦闘に入る。騎士達が鎧武者の体を貫こうと槍を突き出すが、その屈強な体に弾かれる。しかし鎧武者の刀や槍は騎士達を容赦無く叩き伏せていく。残りは飛竜騎士×20。美紀は新たにエレメントで傀儡を造り出した。同時に、地面が大きく揺れた。原因は、美紀が造り出した傀儡が地面を踏みつけた震動である。それは、鎧武者を遥かに越えるサイズ。約20メートルはあるだろう。筋骨隆々の体躯から生えるのは6本の腕。そして三面鬼顔。
「<土傀儡・鬼神阿修羅>(きしんあしゅら)!!!」
<土傀儡・鬼神阿修羅>は大気を震わせるほどの咆哮を上げ、飛竜騎士を威圧し、そして丸太のような太い足で地面をとらえて進行する。歩く度に地面が抉れて巨大な足跡を刻んでいた。
このままでは危ないと悟った飛竜騎士達は一斉に飛び上がり、空から反撃しようと編隊を組んだ。真上、正面、左右からの突撃である。流石に防ぎきることは不可能と思われた。が、
<土傀儡・鬼神阿修羅>は6本の腕で、全ての飛竜騎士を受け止めた。2本真上に、2本正面に、左右に1本構えて防ぎきったのだ。まともに激突し、ワイバーンが気絶して地面に落下していく。
「ふぅ。なんとか終わりました」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
煉VSガーラ
「そうらっ!!」
「ぬん!!」
煉が振り下ろした焔真をガーラの絶突竜槍が受け止め、激しい火花を散らす。
盾が砕かれた為、戦況が煉に傾き始めていたのだ。
ガーラの鎧や槍は盾ほどの強度は無いため、今まで通っていなかった攻撃が通り始めていたので、ガーラにはかなりのダメージが蓄積されていた。
「盾が無くなった途端に随分勢いが無くなったなぁ?ガーラよぉ」
「貴様のような餓鬼、盾が無かろうと構わんわ!!グラン!!」
ガーラが相竜のグランを呼び出した。現れてすぐに顎を開き、火炎の奔流を煉目掛けて発射する。視界を埋め尽くす火炎を煉は焔真で受け止めた。
「<火炎餓喰>(フレイムイーター)!!!」
更に煉はお得意の<火炎餓喰>を発動させグランの放った火炎を全て吸収した。同時に、煉の体にあった傷が高速で治癒されていく。<火炎餓喰>には吸収した炎を相手に放つのと、吸収した炎で傷を癒す能力があるのだ。
「これで万全だな」
「くっ……!!グラン、飛ぶぞ!!」
「ゴアアッ!!」
グランに跨がり、ガーラは空へと舞い上がった。そして空中から無数の火炎球を雨のように立て続けに発射してくる。
「ちっ…!」
ガーラの動きに舌打ちをしてすぐ、焔真を鞘に納めるように左の腰に当てる。
「<居合い壱の型…>」
火炎球が、間合いに入った瞬間、一気に焔真を引き抜いた。
「<火煽薙>(かせんなぎ)!!!」
煉を中心に扇状の炎の刃がはしり、全方位の火炎球を切り裂いた。その際に小さな爆発が起こり煉の視界を遮った。焔真を振って起こした剣圧で爆発を払うが、視界が開けたら時にはガーラを見失っていた。神経を集中させてガーラの気配を探す。上、下、後ろ、左右………
不意に風を切る音が耳を刺した。方向は、
「上だぁ!!」
ギィンッ!!
隕石のような速度で落下してきたガーラが突き出した絶突竜槍を煉の焔真が受け止めるが、ガーラとグラン、更には重力もかかっているため威力が半端では無い。地面がひび割れて煉の足が埋もれていく。
「重えんだよ……こんのボケェェェッ!!」
気合いと根性と馬鹿力でガーラとグランを弾き飛ばした。しばらく回転しながら飛んだ後に、安定した飛行に戻る。煉自身は肩で息するほどに疲弊していた。
「勢いが無くなったのは、貴様の方だな、赤堂煉。この前使ったあの<紅蓮鳳凰>とやらは使わんのか?」
「無駄口叩く暇があんなら、まともな攻めしろよ、老いぼれ竜騎士」
煉自身、<紅蓮鳳凰>を使おうと考えたが、あまりにリスクが高かった。知っての通り<紅蓮鳳凰>はエレメントの消費が著しく激しい。多少抑えれば持続時間は長引くが、ガーラのような飛行戦に慣れている相手に対しては全力で行かなければならない。そうなると、<紅蓮鳳凰>の持続時間は約5分となる。その5分で決着をつけられるかどうかが問題だ。もし決着がつかなければ、<紅蓮鳳凰>が解除され、エレメントがまともに使えない状態でガーラとやりあわねばならない。
「かと言って、このままじゃヤバいな…………賭けに出るか」
煉の体から勢い良く炎と熱風が噴き出した。やがて炎は三対六枚の炎翼と扇状の尾羽を形作り、煉の体に装備された。
「<紅蓮鳳凰>!!!」
<バースト>を解放した状態での<紅蓮鳳凰>は通常以上に消費が激しい。維持できる時間は、3分。煉は一気に勝負を決める賭けに出た。翼を羽ばたかせガーラの元まで高速で飛翔し、焔真を横一文字に振り抜きガーラの槍にぶつけた。
「やはり使うか。果たして持続時間までに私を落とせるかな?」
「落としてやるよこの野郎!!」
お互い高速で飛翔し合い、激しい空中戦を繰り広げている。<バースト>×<紅蓮鳳凰>は煉の最強のコンボであるため、ガーラを圧倒していた。目には追えない程の速度でガーラの周りを飛び回り斬撃を叩き込んでいく。鎧と槍が徐々にひび割れていく。
「一気に決めさせてもらう!!」
煉は焔真を上段に構えて炎を纏わせ、一気に振り下ろす。すると、焔真から火炎の刃が放たれた。
「<焔ノ飛刃>(ほむらのひじん)!!!」
火炎の刃はまっすぐガーラに向かっていき、直撃すると同時に大爆発した。
<焔ノ飛刃>は起爆性のエレメントで構成された刃を放ち、接触したものを切り裂き爆発させる技である。
直撃したためガーラも無事では済まない。だが、
「くく……危なかったよ……!!」
ガーラの絶突竜槍が<焔ノ飛刃>の爆発を吸収してダメージを抑えていた。
「ちっ…!その槍を忘れてたぜ」
「流石に全ては吸収出来なかったがな……」
見ればガーラの鎧は表面が誘拐しており、顔にも火傷を負っていた。
「くっそ……!もう一発………」
煉が再び<焔ノ飛刃>を放とうとした瞬間、背中の炎翼が突然鎮火した。<紅蓮鳳凰>の持続時間が切れたのだ。
「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「もらったぁっ!!」
落下していく煉に接近し、ガーラが絶突竜槍を放った。鈍く光る槍が、煉の心臓に届こうとした瞬間、
ガキッ!!
煉とガーラの間に割り込んだ影がガーラの槍を弾き、更に煉を掴まえて一瞬で距離を取った。漆黒の鎧に身を包んだ青年と、漆黒のワイバーンがそこにいた。
「アレックスに、レックス!?」
「煉さん、大丈夫ですか?」
「『そんだけの声を出せんなら心配いらねえだろう』」
「お前ら、ミアラはどうしたんだ?」
「先程リオさん達が来てくださり、存分に暴れてこいと言ってくれましたので、暴れに来ました」
アレックスは目を細めて、ガーラを睨み付けた。
「ガーラ・ボロス。ワイバーナ帝国、飛竜騎士団第1部隊隊長、アレックス・トライスの名において、貴方を倒します!!」
「若僧が偉い口を叩くな!!貴様は現に私に負けておろうが!!」
「それは先程までのもの。今の私は、貴方を倒すことを躊躇しません。帝国を欺き、煉さん達を騙し、何より、ミアラ王女を裏切ったことを、許さない!!」
アレックスの怒号が、帝国中に響き渡った
次回、ワイバーナ帝国編しゅーりょー




