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●到着、ワイバーナ帝国●

ワイバーナ帝国到着しました

目の前に、巨大な鉄製の門が構えていた。エレメント学園の校門を優に越えるその大きさと迫力。砲弾や斬撃痕が歪に並ぶが門が壊れる気配は微塵も感じられない。そんな荘厳な門を目の前にして、


「あ~…尻痛ぇ……」


煉は呑気に尻を掻いていた。あれからワイバーンに乗ること1時間。最初は気持ち良かったが、後々尻にダメージが蓄積されて到着する頃には尻がカチカチになっていた。始めてワイバーンに乗った煉達以外は乗り慣れている様で、普通にしている。


「お待たせ致しました。ここが、ワイバーナ帝国です」


ミアラが煉達に到着したことを告げた。と同時に、門が軋みながら開いていく。その中から、1人の若い男がワイバーンにまたがって出てきた。少し長めの黒髪に金の瞳。全身に軽めの黒い鎧を装備して背中に槍を携えていた。


「王女様!!ご無事ですか!?」


「あら、アレックス。どうかしたの?そんなに血相抱えて?」


「血相も抱えますよ!!王女様が砂漠に行った際にサンドワームの襲撃を受けた報告が入ってこれから向かおうと思っていたところですよ!?王女様の身に何かあれば……」


「あら、そうなの。ごめんなさいね。でも大丈夫よ。この方々が助けて下さったから」


ミアラは煉達をアレックスと呼ばれた男に見せた。


「この少年達が…ですか……?」


アレックスは信じられないと言った様子で煉達を見る。


「とても強いのよ。煉さんなんて、サンドワームを一撃で倒したんだから」


「本当ですかそれ!?」




まあ信じられないのも無理は無いだろう。本来サンドワームは単体でな無く複数の人間で狩る必要がある化け物だ。それを素手の少年が倒したとなれば、疑うのも納得できる。アレックスはしばらく煉達を見て、頭をかるく下げた。


「この度は我が帝国の王女を助けて頂きありがとうございます。私は、飛竜騎士団第1部隊隊長のアレックス・トライスと申します。こいつは相竜のレックスと言います」


「ガルゥ」


アレックスの紹介で、隣にいた漆黒のワイバーンが頭を下げたので煉達も頭を下げて挨拶する。


「こちらこそ。俺は赤堂煉です」


「あたしはリオ・ハーマスって言います」


「俺はライズ・ブルームだよー」


「海上十蔵と申すでござる」


「ウェド・エルトゥーガです」


「岩坂美紀です。よろしくお願いします」


「ええ、よろしくお願いします。それと王女様、総隊長から伝言を預かっています」


「……彼がですか?どうせまた私利私欲のための事に決まっています」


総隊長と言うワードを聞いたミアラは顔をしかめて悪態をつく。


「一応聞いてください。では、『ミアラ王女様。ここ最近ワイバーナ帝国内にて密偵が潜伏しているとの情報を入手致しました。つきましては対策の方の議会を開いて頂くようお願い申し上げます。ワイバーナ帝国飛竜騎士団総隊長ガーラ・ボロス』だそうです」


「彼にしては随分まともな伝言ですね。しかし密偵……ですか」


ミアラは真剣な表情になり顎に指を当てている。


「密偵に関しては前々から噂がありました。恐らく、ワイバーンに関する情報を得るためか、ワイバーン自体を奪うためか」


「わかりました。この件については明日議会を開いてその場で話しましょう。私は帝宮へ行きます。アレックス、あなたは煉さん達をご案内して差し上げて」


「承知致しました」


ミアラはアレックスに指示を出すとすぐに帝宮がある方向へと歩いていった。


「では、ご案内致します。こちらへどうぞ」


アレックスに促されて煉達も後を着いていく。帝国の風景は中世の街並みによく似ている。タイル張りの道に野菜や果物を売っている露店も見られた。その中で、荷物を運搬するワイバーンを見た時は煉達全員驚いていた。


「ワイバーンは私達の家族のようなものです。幼少より共に過ごしていたのですから。レックスもそうです。な?」


「『まあな』」


「「「喋った!?」」」


アレックスの問い掛けにレックスが普通に人語で答えたことに煉達はハモりながら驚いた。


「ああ。ワイバーンは喋ることも出来るんです。普段は話しませんが、こういう場合には普通に話しますよ」


「すげえなワイバーン…………んっ?」


レックスをまじまじと見ていると、不意に視線を感じた。それが街の人の視線なら気にしないが、今感じた視線は、もっと別の感情が込められたものだった。

煉は警戒を込めた視線を巡らせるが、もう視線は感じられない。


「誰か見張ってる、か」


「どうかしましたか?」


「いや、何でもないよ。行きますか」


皆にはしばらく黙っておこう。煉はそう決めて再び歩き出した。

次回、感じた視線の正体。渦巻く隠謀。シリアス展開に突入予定

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