●煉はあたしの婿●
煉の幼なじみ登場。また騒がしくなりますな
「やっぱり煉ちゃんだ!!久しぶりぃ!!」
ガバッ!
たった今海辺で再会した幼なじみである天宮美月はそう言うと突然俺に抱き着いてきた。
「お、おい美月!!お前年頃の女が白昼堂々男に抱き着いたら駄目だろ!!」
突然のハグに思考が高速化して頭から蒸気が上がる。しかも煉は水着で上半身裸。美月はビキニ(しかも面積が変態マッチョ共といい勝負)という刺激的な格好だ。年頃の男である煉が意識しないわけ無い。
「いいじゃん減るもんじゃ無いんだし♪」
「いいから離れろ!!」
「ぶぅ、もう」
やっと離れた。心臓がいつもより早いのが簡単にわかった。
「つーかお前がいんなら、他の面子もいるのか?」
「うんいるよ。十蓮寺高校は修学旅行で沖縄に来てるからね」
十蓮寺高校は煉がエレメント学園に通う前に通っていた高校だ。偏差値や部活動など至って普通だが、エレメント学園以外で唯一、エレメントを教えている高校でもある。教育プログラムはエレメント学園にはるかに劣るが。
「煉ちゃん達も修学旅行で沖縄に来たの?」
「ああ。今日2日目だ」
「そっかー。転校して離ればなれになっても修学旅行で再会出来るなんて、やっぱり運命の赤い糸が繋がってたり…」
「はいはい」
美月が小指を立てて見えない糸を主張してくるので、煉はチョキを作って糸を切る動作をした。
「あー!!ヒドイよ煉ちゃん!!」
美月が腕をパタパタさせながら怒っているが気にしない。
「あーもう、お前はもう少し大人しく出来ないのかよ?昔っから変わんねえなぁ…」
「えへへへ」
「何で笑ってんだよ…」
幼なじみの不気味な笑いにツッコミをいれておく。
「いやぁ……煉ちゃん見ない間にまた良い体になったんじゃないの?」
「あ?あー、まあ結構鍛えてたからな……何だよその含み笑いは?」
自分の腕や腹筋を見ていると、美月が息を荒くして近付いてくる。指の動きも怪しくなっていた。
「どれだけ鍛えられたか……あたしが確認してあげる!!」
ガシィッ!!
目を光らせた美月が煉にまた抱き着いた。しかもかなり力が強いせいか脱出出来ないし、周囲の人の視線が痛すぎる。何より、このまま抱き着かれてたら。
「あれ、煉何してん…………の?」
「リオさん、どうかし…………え?」
聞き覚えのある声を聞いて振り返ると、
「リオ……美紀…」
2人が硬直しているのが見えた。
「何してんの……?ていうか、誰?その人…?」
「煉君……公衆の場でそういうのは……」
「いや違うから!!こいつはそういうのじゃ無くてだな……つーか、こいつを引き剥がしてくれ!!じゃねえと……!!」
盛大な勘違いをしている2人に煉が必死に呼び掛けていると、急に煉から煙が上がりだした。いや、正確には、煉に抱き着いている美月から煙が上がっていたのだ。これにはリオと美紀も顔色を変える。
「やっばい……!!」
「煉ちゃん……ごめんもう、無理ぃぃぃ!!」
美月が叫んだ瞬間、煉の体が炎に包まれた。
「熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
煉自身、炎に包まれて絶叫していた。
「え!?ちょ…どういう状況!?」
「いやわかりません!!まったく全然!!」
リオと美紀もあまりの事態にパニクっている。
「こら美月さっさと炎消せ!!」
「ごめーんもう抑えられなくて制御きかないの」
「だぁぁぁ!!<火炎餓喰>(フレイムイーター)!!」
煉は<火炎餓喰>を発動して自身を包んでいる炎を喰い尽くして鎮火する。常人なら焼け死ぬところだが、そこは流石炎と契約していることもあり、若干焦げた程度で済んだ。煉は鎮火を確認すると強制的に美月を振り下ろし、
「焼き殺す気かお前はぁぁぁ!!あんだけ注意してたのにも関わらず発火しやがって……俺じゃなかったらコンガリ焼けてたぞ!?」
怒りながら捲し立てる。
「う~……ごめーん。久しぶりに会ったから盛り上がっちゃって……」
「たく。しかもする度に火力が上がってるから尚更質が悪いよな」
そう。美月は煉に会う度に抱き着いているのだが、やっていく内に火力が上昇しているのだ。呆れながら美月をたしなめていると、遠くから3人の人影が此方へと向かってきていた。
ライズと十蔵とウェドだ。恐らくさっきの発火を見て駆け付けたのだろう。
「おーい煉。さっきの炎ってさ………誰その娘?」
1番に近付いてきたライズが、美月を見て硬直する。続く十蔵とウェドも硬直していた。
「天宮美月。前の学校での同級生だ。俺の幼なじみでもある」
「こんちには。天宮美月です。あたしは煉ちゃんの幼なじみで……」
煉ちゃん。このワードでリオ、ライズ、十蔵、ウェド、美紀が固まった。そして次の美月の発言で、全員が絶句した。
「お嫁さんでーす!!」
美月の大胆発言に、煉は手で顔を覆って天を仰ぎ、リオ達はその場に立ち尽くしていた。
次回、巨大な海の幸と………




