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●煉VSガルファ●

「おらぁっ!!」


「ふんっ!!」


バキィッ!!


広大な海をバックに煉の拳とガルファの蹴りが衝突して鈍い音を響かせた。均衡を保ったまま拳と足が押し合っている。


「痛い目見たくないなら、さっさと吐くことをお勧めするが?」


「そういう減らず口は、私を倒して言うんだな!!」


煉の挑発とも取れる提案をけり、ガルファは足を振り抜いて煉の拳を弾き飛ばす。体勢を崩した煉へと追撃を加えようと距離を詰めるが、その前に煉が後方へとバク宙して回避する。


「はは。危ねえ危ねえ」


「ちっ…クソ餓鬼が…」


「ああ、クソ餓鬼さ。そしてお前は、これからそのクソ餓鬼に負けるんだよ」


「嘗めた口を叩くな!!」


ガルファは地を蹴り、再び煉との距離を詰める。その右腕には、漆黒の火炎が巻き付いていた。


「死ねぇぇぇぇっ!!」


右腕をまっすぐ煉に向けて撃ち放つ。漆黒の火炎を纏わせたガルファの拳は吸い込まれるように煉に、


「見え見えだ馬鹿」


バシッ!!


当たらなかった。ガルファの拳は、煉が突き出した右の掌にしっかりと掴まれていたのだ。押しても引いても動かない。しっかりと拘束したガルファを、煉は持ち上げ、


「そうらよっ!!」


「うおおおっ!?」


腕一本で投げ飛ばした。ガルファの体はしばし宙を舞い、固く鋭い岩が並ぶ岩礁に背中から叩き付けられる。悲鳴を上げるガルファに煉は少し同情した。


「おーい大丈夫かー?」


「自分がやっておいて……貴様はぁぁぁっ!!」


顔を怒りで染めたガルファは、漆黒の炎の奔流を煉目掛けて発射した。視界を埋め尽くす程の爆炎が煉に迫る。しかし炎の奔流は、まるで何かに吸い込まれるように突然姿を消した。


「何………?」


あまりの光景に絶句するガルファ。その近くでは、煉の呑気な声が聞こえた。


「ふぅ……不味い炎だな。10点」


「不味い……炎?」


「まあ一応、ごちそうさまでした」


そこには、得意気な、そして余裕の笑みを浮かべた煉が立っていた。ガルファの炎の奔流を一切受けていないのか、煉の体には火傷どころか焦げ痕1つ無い。


「何を……したんだ?」


「さっきも言ったろ?ごちそうさまでした、って」


「ごちそうさまでした…………まさか……!」


「そう。てめえの炎は俺が食ったんだよ。かと言って、口から食ったんじゃねえ。ここで頂いた」


困惑するガルファに丁寧に説明しつつ、煉は右腕をガルファに見せる。


「他者のエレメントを食っただと……?あり得ない……!!」


「あり得なくても、実際にあり得てるんだよ。<バースト>影響で、俺のエレメントに新しい技がついてよ」


「新しい技……?」


「<火炎餓食>(フレイムイーター)。効果は自分と同種族のエレメントを吸収し、自分のエレメントと融合させて相手へと放つ。他にもそのまま吸収して治癒にも使えるがな」

ニヤリと笑い、ガルファの炎を吸収したであろう右腕を、その本人のガルファに標準を合わせた。


「食わせてくれた礼だ。たらふく食いやがれ!!」


そして、右腕から自身の炎とガルファの炎を混ぜ合わせた爆炎の奔流を放った。その規模は今までの比ではなく、高熱により海が蒸発して水蒸気を上げ、吹き上がる陽炎は天を焦がす。

自分が放った炎と相手の炎に、ガルファの全身は一瞬で呑み込まれた。やがて炎は消え、そこに残ったのは黒く焦げた岩礁と、全身焼け焦げたガルファだけであった。プスプスと煙を上げながら手足が細かく動いているのが見て取れる。


「さーて、シヴァについて知ってることを、洗いざらい吐いてもらうぜ」


「ぐ………」


「悪いが、俺は気が長い方じゃねえんだよ。さっさと吐いた方が、」


バキャッ!!


「身のためだが?」


煉は近くの岩を素手のパンチで粉々に砕き、ドスのきいた声で威圧する。これ以上は待たない。そういう念を込めて。


「ぐ……貴様に吐くことなど………えっ……?」


ガルファは口を開いた瞬間、突然表情を変えて黙り込む。それから数秒後、再びガルファは口を開いた。


「いいだろう………教えてやる」


「…?随分な変わりようだな。まあいいや。話せ」


「何を知りたい……?」


「まず兄貴を起こす方法。それからシヴァと言う人間に関する全てだ」


「赤堂爛を起こす方法はシヴァ様しか知らん。私には分からない。だが次のやつには答えよう。シヴァ様は、私達の生みの親だ」


「生みの親だと……?どう見たって年齢が釣り合わねえだろうが」


「ふん。意味を履き違えるな。私達は、シヴァ様のエレメントから生み出された、人工生命体だ」


「…!?何だと………エレメントから生命を生み出すのは禁忌のはずだ!!しかも、それを成功させるなんて……!」


禁忌。エレメントを扱ううえで、決して破ることを許されない3つの掟。


1、2つ以上のエレメント と契約すること。

2、人工的にエレメントを 生み出すこと。

3、エレメントを使い

命を生み出すこと。


これらが掟となり、破った者は一生解けない呪いを刻まれるらしい。


「つーことは、シヴァの野郎は呪い覚悟でてめえを生み出したってわけか…」


「ククク……シヴァ様は呪いを受けてはおらん」


煉の考えは、ガルファの陰湿な声によって否定された。


「…どういうことだ?」


「私が話していいのはここまでだ。後は、自分で確かめるんだな!!」


「…!!」


ガルファの言葉の終わりと同時に、煉はその場から飛び退いた。瀕死のガルファからは考えられないエレメントの反応を感じたからだ。それを肯定するかのようにガルファの体から黒い陽炎が吹き上がっている。

煉はいつでも反応出来るように身構えて、ガルファの動きに集中していた。


「<邪炎爆噴>(じゃえんばくふん)!!!」


そしてガルファが放った一言で、大地を貫いて無数の火柱が屹立した。


「<火爆噴衝>(かばくふんしょう)!!!」


煉も対抗し地面に拳を叩き付けて、無数の爆炎を発生させた。ぶつかり合う爆炎と火柱。海風は熱風へと変わり、海は水蒸気を上げる。辺りを焦熱地獄へと変貌させた炎と炎のぶつかり合い。それが治まる頃に、ガルファの姿は消えていた。


「逃がしたか………」


煉は仕留めきれなかったことに対して歯噛みする。

視線をいくら辺りに巡らそうと、ガルファの姿は見えない。あるとすれば、炎によって変貌した岩礁くらいだ。


「まあ、少しは収穫があったか。あいつ等について、詳しく調べてみるか」


禁忌を侵して造られた“六鬼槍”。シヴァが何の目的で造り出したのか。それが、いずれ世界をも壊すものになるとは、今はまだ、誰も知らない。


煉。WIN

修学旅行初っぱなからバトル全開の煉達でした。

次回、“六鬼槍”側の視線でお送りします。

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