●美紀VSゴルメオ●
「…………」
「………あのー」
「…………」
「どうしましたー?」
「…………」
「何か言って下さいよ」
美紀は呆れたようにため息をついた。相手の“土鬼のゴルメオ”は、動かず話さず、ずっと美紀を見つめていた。その視線には、不思議なことに殺意が無かったのだ。しばらくして、ゴルメオがようやく口を開いた。
「お前……名前は?」
「私…?私は、岩坂美紀ですけど……何か?」
「……似ている…」
「似ている…?誰にですか?」
「娘に……似てい…!
グァァァァッ!!」
ゴルメオがその先を話そうとした瞬間、ゴルメオは頭を抱えて苦悶の声を上げた。
「ちょ…!大丈夫ですか!?」
あまりの変化に狼狽えながらも、美紀はゴルメオに声をかけた。そして顔を上げたゴルメオを見て、美紀は臨戦体勢に入った。
「対象、人間・女。エレメント・土属性。危険度、高。殲滅開始」
先程までの雰囲気を消し、プログラムを組み込まれたような兵器のような話し方となったゴルメオは、
機械仕掛けの左腕で地面を殴り付ける。するとそれに反応したかのように、美紀の足下で変化が起こった。
「っ……!」
本能的に危険を察知した美紀はすぐに後ろへと跳んだ。その瞬間、美紀がついさっきまでいた地面を貫いて鋭い刺がいくつも現れた。当たっていたら大怪我は免れなかったであろう威力だ。しかも刺は美紀の動きを読み、移動する箇所に続けて現れていた。このままだと避けきれない。そう悟った美紀は自身のエレメントを発動させ、土で作り出した巨大な拳をゴルメオ目掛けて発射した。
「<土砕拳>(どさいけん)!!!」
「グウッ!!」
見事直撃し、ゴルメオの体を吹き飛ばす。同時に、刺の猛攻が止んだ。壁に叩き付けられ、もう動けないだろうと思っていたが、
「グガアァァァァ!!」
元気に立ち上がって大声を上げた。そんなゴルメオを見て美紀はため息をついた。
「どんだけタフなんですか貴方は…」
「殲滅…再開!」
呆れる美紀を無視してゴルメオは両の拳を地面に叩き付けた。すると、美紀の左右の地面が隆起し、壁を作り出す。その壁は、間にいる美紀を挟むように動き出した。
「あらっ…?」
「潰れろ」
ズウンッ!!
巨大な壁が完全に閉まり、美紀を押し潰した。
ように見えたが、
「甘いですよ。こんなんじゃ、私は殺せません」
美紀の声によって、それは即座に否定された。見れば、いつの間にか現れた巨大な像が壁を押し止めていたのだ。筋骨隆々の体に仁王のような強面の土像。
「<土傀儡・金剛力士>」
バカァン!!!
ゴルメオが作り出した壁は、美紀の作り出した金剛力士によっていとも簡単に粉砕された。金剛力士はそのまま歩き出し、ゴルメオの元へと歩を進める。
「まだ聞きたいことがあるので、手加減はしておきますから」
美紀が金剛力士に指示を送ると、金剛力士は右の拳を構える。そして、
「<金剛大砕拳>(こんごうだいさいけん)!!!」
隕石となんら遜色無い威力とスピードで無骨な拳が振り下ろされた。轟音と巻き上がる砂埃が辺りを支配する。金剛力士が拳を引くと、機械仕掛けの左半身が半壊したゴルメオが目に写る。
バチバチと火花を散らしているのを見ると相当ダメージを負っているようだ。
美紀はそれを確認するとゴルメオの側まで近付き、口を開いた。
「さあ、シヴァについて知っている事を話して下さい」
「グウッ……」
「……出来れば、手荒な真似はしたくありません。知っている事を、話して下さい」
手荒な真似はしたくない。美紀は自分の本心を話す。美紀自身、本来争い事は望んでいない。故に、美紀はゴルメオが素直に話してくれるよう願っていた。
「………セ…イラ…」
「…?セイラ……?それがシヴァと関係があるんですか?」
「ち…がう……セイラは……俺の…」
そこまで話すと、ゴルメオは再び、あの戦闘体勢に入ってしまった。
「左半身大破。戦闘続行不可能。最終手段、発動
<邪土震源>(じゃどしんげん)!」
「っ!?」
途端に大地が大きく揺れだし、いくつもの地割れを発生させた。蜘蛛の巣状に広がる亀裂は美紀の足下を崩壊させバランスを崩す。
「く……<土傀儡・荒鷲>(あらわし)!」
美紀はエレメントを使い、土で1匹の鷲を作り出した。それの背に乗り地割れの影響を受けない空へと回避する。しばらくすると揺れは収まり、それと同時にゴルメオも姿を消していた。美紀は<土傀儡・荒鷲>を解除して地面に降りる。さっきのゴルメオの言葉と行動が頭に強く残る。
「あの人は、他の“六鬼槍”とは……違う……?」
美紀の言葉に答えてくれる者はいなかった。
美紀。WIN
次回、煉VSガルファ




