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●In the 沖縄●

修学旅行編第1作目です

見上げれば、雲1つ無い青空が広がっていた。空の下には、同じく青い海が広がっている。遥か遠くから降り注ぐ太陽の光を全身に浴び、赤髪の青年は海へと叫んだ。


「ビバ沖縄ぁぁぁっ!!」


「「「イェーイ!!」」」


赤髪の青年、煉の声にクラス全員が声を揃えて叫んだ。何とも暑苦しく微笑ましい光景である。


「いやー久々に地球界に帰ってこれたぜ!しかも日本!故郷最高ーーー!!!」


「うるさいわねぇ。もう少し静かにできないの?」


「無理だってリオちゃん。煉だけじゃないし、あのテンションは」


「拙者も久方ぶりに日本の景色を見ることが出来て、懐かしいでござる」


「でも、暑すぎない?僕溶けそうなんだけど……」


「ウェド君本当に溶けてるよ!?」


Ⅱ-Ⅰクラスで6人1班を作るため班分けをした結果、いつものメンバーになっていた。

煉は赤のタンクトップと七分のズボンにサンダル。

リオは白のタンクトップとショートパンツにおしゃれサンダル。

ライズは相変わらずのヘアバンドに黄色のTシャツと半ズボンとスニーカー。

十蔵は変わらず、深い青の甚兵衛と下駄である。

ウェドは白のTシャツと白のロングパンツにブーツの格好。

美紀は淡い空色のワンピースとおしゃれサンダル。

皆、夏に合わせた格好になっていた。


「ねえねえ煉、今日はどういう予定だっけ?」


ライズが暑さを感じさせない元気さで聞いてきた。

ちなみに、班長は煉だ。


「今日は、1日自由観光だな。勿論班員で。だから勝手な行動は……」


「煉、説明中申し訳無いんだけど……」


説明しているとリオが会話に入ってきた。


「どしたんだ?」


「もう既に2人消えてるわよ?」


リオの言葉通り、2人確かに消えていた。

金髪のチャラ男て、銀髪のナルシストが。

辺りを見回すと、その2人はすぐに見付かった。


「はーぁいお姉さん、よかったらこれからお茶しないかな?」


「ここに来たのは初めてだから、ここについても教えてほしいな?」


ライズはチャラ男モード全開で年上のお姉さんをナンパし、ウェドは甘い声で耳元に囁き口説いていた。


「お前等、ちょいと待ってろ」


煉は拳の骨をバキバキ鳴らしながらライズとウェドの背後に回り、


「何してんだ、お前等」


「ひっ……!!」


「わふっ……!!」


煉のドスのきいた重低音の声を聞き、ライズとウェドは背骨が飛び出さん勢いで背筋を伸ばした。


「さっきの話を聞いてなかったか?あぁ?俺が説明してる間に現地の女性に速攻で手ぇ出そうなんざいい度胸してんじゃねえか」


淡々と語る煉の体からは無意識なのか陽炎が上がり、背後には不動明王のオーラがバッチシ見える。


「いや待って煉!これにはその…わけがあるんだよ!!なあウェド!?」


「えっ!?僕!?あ…あーーそうだよ。こんな綺麗な女性がいるなら、声をかけないと失礼だよ」


ウェドのスキル<イケメンスマイル>が発動し、周りの女性方を昇天させていく。しかし、煉に対しては、何の効果も成さない。


「時勢の句は読めたか?2人共」


先程より陽炎の、もとい怒りの勢いが増した煉の腕には火炎が纏っていた。

ライズとウェドは最早笑う余裕すら無い。


「反省しろ、<火爆大砲>!!」


容赦無く放たれた炎の砲撃が2人に向かう。だが、炎は当たる直前で氷結して砕け散った。


「…!?」


「危ない危ない……危うく死ぬとこだったし…」


「ウェド、お前凍らせたのか、俺の炎を」


「へ…うん。何か出来そうだったから」


エレメントには、自然と同じく優劣が存在する。

これを煉達で表そう。

炎は氷に強い。

氷は土に強い。

土は雷に強い。

雷は風に強い。

風は水に強い。

水は炎に強い。つまり、本来劣勢にある氷が炎を凍らせたのは異常とも言える事態だ。


「たぶん、<バースト>の影響かもね…」


「まあ、それくらいしか思い当たらないか」


「そうそう。<バースト>の影響ってことで…」


「どこ行こうとしてる」


話ながら距離を取るライズとウェドに一瞬で近寄り、煉は2人の頭にアイアンクローをがっちり決める。


「いだだだだだ!!」


「ギブギブギブ!!」


「反省してねえなら、尚更キツい仕置きをしねえと………ん?」


煉は2人にお仕置きをしようとした瞬間に、エレメントの反応を感じた。まあ、エレメント学園の生徒が近くにいると思えば普通だが、明らかに異質なエレメント反応だったのだ。

反応は全部で6つ。煉達がいる場所から東に約1キロの地点だ。その6つの内1つは、煉が会ったことのある者のエレメントだった。煉はアイアンクローを解くと強い警戒を促すように声を出した。


「皆、気付いてるか?」


「当たり前よ」


「修学旅行初日なのに」


「不届きな輩でござる」


「勘弁しろよな」


「面倒くさいですね」


全員気付いていようだ。


「このエレメントは、シヴァの腹心の野郎だ。他も同様だろうな。あっちも6人。こっちも6人。皆、頼めるか?」


「自分の心配しなさいよ、あんたは」


「問題無し。余裕でいけるよ」


「無論、心配無用でござる」


「サクッと、片付けちゃおうか」


「大丈夫ですよ」


「頼もしいな。じゃ、皆頼むぞ!!」煉の合図でリオ達は一斉に東へと駆けていった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


走ること3分で東の1キロ地点に到着した。最早出鱈目な速さだが、<バースト>の影響と言えば説明がつくから楽である。東の1キロ地点は、尖った岩が連なった海岸であった。裸足で歩けば足の裏がズタボロになりそうだ。煉達は周囲を警戒しながらエレメントの反応を探る。歩くに連れて、だんだんと反応が強くなるのを感じた。


「近いな………」


煉達は足を速めて反応へと近付く。そして、辿り着いたのは、海岸の端だった。ここより先にあるのは海だけ。押し寄せる波の飛沫が顔に当たる。


「おかしいな……反応は確かにここなんだが…」


「とりま、辺りを散策してみよう。何か見つかりそうだしさ」


「……そうだな。皆、何か見つけたらすぐに言ってくれ」


煉はライズの提案に乗り、周囲の散策を始めた。岩をひっくり返したり、近くの砂浜を掘り返したり。

しかし何も見つからない。見付かったとしたら、ガラスの瓶や妖しげな壺。

そして海水でふやけたエロ本だけだ。


「うーん………反応は間違いないのに……何でだ………」


煉はとりあえず海を眺めてみる。どこまでも広がる青い海。優しい波の音。


「泳いでみるか。久々の海だし」


煉は上半身裸になると、海に飛び込んだ。海の中は思った以上にクリアだった。自由気ままに泳ぐ魚の群れ。美しい珊瑚礁。妖しい6人組。いやはや何とも美しい海だ………


「妖しい6人組……?」


あまりに予想外すぎてスルーしてしまったが、海の中の妖しい6人組。


「いたぁぁぁぁぁ!!」


煉は水中でシャウトすると、一気に海から飛び出した。


「皆、見つけたぞ!!」


煉の言葉に反応してリオ達が臨戦体勢に入る。それと同時に煉同様、海から6人組も飛び出す。

その内の1人はやはり、煉が会った顔だった。


「“炎鬼のガルファ”だったか?何でここにいる」


煉はその1人に厳しく言葉を投げ付ける。


「ふん。貴様に話す必要は無い」


近代的な漆黒の鎧に身を包んだ黒い長髪の男。

煉とシヴァが戦っていた際に現れた、<六鬼槍>の1人、“炎鬼のガルファ”は冷たく返事を返す。


「そうはいくか。てめえ等がいんなら、シヴァの野郎もいるかもしれねえだろ。さっさと話した方が、身のためだが?」


「ふん。<バーサーク>に溺れた弱者が一端の口を聞くな。大人しく失せろ」


「悪いな。俺はあん時の俺じゃあねえんだよ。<バーサーク>なんざてめえに使う必要ねえよ」


「………!嘗めた口を叩くなよ小僧!!」


激昂したガルファが拳を構え高速で突進してくる。


「見え見えだアホ」


焦ること無く、腰の回転を乗せた回し蹴りでガルファを近くの岩壁まで蹴り飛ばした。しっかりと体がめり込んで動きを完全に封じられている。


「な……!?」


「言ったろ。あん時の俺じゃねえって」


「く…!!全員、この餓鬼共を殺せ!!シヴァ様の意思の妨げとなる存在だ!!」


ガルファが叫ぶと、動いていなかった残りの5人が一斉に動き出した。


「ヒャッハッハ!!ざまあ無いねぇ、ガルファ」


「油断しすぎだねえ!!キャキャキャ!!」


「……………」


「あの赤髪君、いあわねぇ……クス」


「………殺ス」


流石はシヴァの腹心。品性の欠片も無いような者ばかりだ。

まず最初に奇声を上げた濁った緑のストレートと瞳を持つ女。露出の高い服を着用している。

次は、ピエロの格好をした男。サーカスで見かけるあのピエロだ。次の無口な奴は頭に笠、体にははだけた着物を着ている。

次は女。黒髪パーマに真っ赤な瞳。妖艶な笑みを浮かべて煉を見つめている。

最後は丸刈りのがたいのいい男。左半身が機械のような鎧で作られている。


「なんとも個性的な野郎共だな。流石はシヴァの仲間だけある」


「礼儀が無いわね、あいつ等」


「何か腹立つ顔ばっか」


「外道に決まり無いでござるな」


「女性2人……僕が色気を感じないなんて。よっぽど腐ってんだね」


「全員、酷い顔してますよね」


煉達の遠慮無しの罵詈雑言がシヴァの腹心達の耳に届く。


「黙れ!!貴様等、我等の名を冥土の土産に持っていけ!!」


「いるかそんなもん!!」


煉の拒否を聞かずガルファを筆頭に名乗りだした。


「<六鬼槍>一の槍。“炎鬼のガルファ”」


「<六鬼槍>二の槍。“風鬼のリザリー”」


「<六鬼槍>三の槍。“雷鬼のジョーカー”」


「<六鬼槍>四の槍。“水鬼のバイト”」


「<六鬼槍>五の槍。“氷鬼のシズク”」


「<六鬼槍>六の槍。“土鬼のゴルメオ”」


「おいおい俺等とエレメントだだかぶりじゃねえかよ。このパクリ共」


煉は心底面倒くさそうにそう言った。


「まあいいや。さっさと済ます。皆、頼むぞ」


「こい。ここで暗い海へと沈めぇ!!」


「こっちの台詞だボケェェェ!!!」


こうして暑い沖縄で、熱い戦いが開催された。



次回、リオVSリザリー

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