●<バースト>とは?●
バーストの説明回です
瞑っている瞼に太陽の光を感じ、煉は重たい瞼を開いた。視界に真っ先に入った天井を見て自分の今いる場合を特定する。
「医務室か……どんくらい寝てたんだ、俺?」
ベッドから上半身を起こして、コールブレスに表示されている日時を確認して、煉は驚いた様に呟いた。
「また3日寝てたのか」
「本当に、また3日も寝てたのね?」
煉の呟きに返事を返したのは、いつの間にか扉の前にいたシンディだった。
「体調はどうかしら?」
「体調?…………傷が無い……?」
煉は体を確認すると怪我1つ無いことに気付いた。
魔竜との戦いでついた傷が痕も残さず消えているのだ。煉は頭に?を浮かべてシンディに理由を聞いた。
「あんたが<バースト>を発動させたからよ」
「<バースト>?何だよ、それ?」
「う~ん。どう説明すればいいか………よし。煉、あんたは魔竜と戦ったあの子達連れて理事長室まで来なさい」
「え…?今からか?」
「当たり前でしょ。さっさとする!!」
「いや俺一応怪我人!?」
「……あんなんで怪我人?どうやらあたしの鍛え方が足らないようねぇ?何なら、今からでも…」
「お前等ぁっ!!急いで理事長室に行くぞ!!」
シンディの恐ろしい発言を聞き終える前に煉が、
『廊下では静かにしましょう』
と書いてあるポスターの呼び掛けを無視して扉から叫んでいた。そのせいで医務の人から怒られたのは言うまでもない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「それじゃあ、全員揃ったわね?」
「いる」
「はい」
「いま~す」
「ここに」
「います」
「大丈夫です」
理事長室の机に腰掛けたシンディが、向かいの机に座らせた6人を確認した。
リオ達は理事長室が初めてらしく、興奮した様子で室内を観察していた。
「全員揃ったわね。それでは早速、今回の議題。
<バースト>について話すわね」
シンディが口を開き、説明を開始した。
「まず<バースト>とは、エレメントの解放の力のことを指すわ。これを解放出来れば、今までのエレメントが格段に進化するの。身体能力も飛躍的に上昇するわ」
「質問なんですけど、<バースト>と<バーサーク>はどう違うんですか?」
リオが手を挙げて質問した。
「良い質問ね。まず<バーサーク>は授業で教えた通り、エレメントの契約者が強い怒りや憎しみ、悲しみ、絶望にとらわれた時に起こる暴走の力。逆に、<バースト>は、契約者の強い気持ちに呼応して発動される解放の力。簡単に言うなら、理性を失うか、失わないかの違いよ」
「じゃあ、<バースト>を解放した時に俺が握ってた刀は?」
煉も手を挙げ質問した。
「うん。それが<バースト>の最大の特徴なのよ」
「特徴……?」
「<バースト>を解放すると、エレメントは契約者に1番適した武器になるの。
エレメント自身がね」
「つまり、あの刀は俺に1番適した武器ってことか?」
「そう言うこと。現にあんたは、刀を使いこなして魔竜をぶった斬ったじゃないの」
なるほど、と煉は納得して頷いた。
「あと、<バースト>を解放した人間には紋章が体に現れるのよ。右手を見てみなさい」
シンディに言われた通りに右手を見ると、手の甲に炎を模した赤色の紋章が刻まれていた。
「<属性紋章>と呼ばれているわ。<バースト>を解放した証明よ」
しばらく煉は右手の甲を見つめていた。
「さて、説明は以上よ。皆疲れてるのにごめんなさい」
シンディの挨拶で部屋を出ようとするのは、煉1人だけだった。見れば、リオ達は席に座ったままだ。
「お前等、どうかしたのか?」
「あ、ううん。少し理事長に話があるだけ…」
「そうか。じゃあな」
煉は1人部屋を出た。
リオ達がシンディに何の話があるのか気になったが、すぐさま今日の晩飯を何にしようかを考えていた。
「今日はキムチ鍋にするか。どうせあいつ等も来るだろうし」
そう呟いて煉は学生寮へと帰っていった。
一方理事長室では
「で、話があるのよね。
何の話かしら?」
「お願いがあって来ました」
「お願い?」
「私達に、修行をつけて下さい!!」
「修行を…?」
リオの一言で、シンディの表情が少し替わる。
「今回の、シヴァと魔竜の襲撃の時、私達は、煉に守られてばっかりでした。そのせいで、煉があんなに怪我して死にそうになって、怖かったんです……」
「………」
「魔竜の戦いの時煉は、ボロボロの体で、絶対守ってやる、って言ってくれたんです。煉は私達を大事に思ってくれてます。でもそれと同じくらいに、私達も、煉が大事なんです」
「リオさん……」
「だから、煉と同じくらいに強くなれなくても、煉の背中を守れるくらいに強くなりたいんです…」
「気持ちはよくわかったわ。修行、つけてあげる。
その代わり、」
シンディはそこで言葉を切り、
「地獄を見るわよ?」
真剣そのものの表情で警告をした。
冗談半分では無い本気の警告。その威圧にのまれそうになるが、リオ達は決意を込めて答えた。
「構いません」
「むしろ上等」
「同じくでござる」
「問題なし」
「大丈夫です」
全員の言葉を聞き終え、シンディは頬を緩めた。
「じゃあ、容赦はしないわよ。これからあんた達には、1ヶ月みっちり、地獄を見てもらうわよ!!」
そして次に、悪戯っぽい笑みを浮かべ、言った。
「1ヶ月って……授業は大丈夫なんですか?」
当然リオが質問する。
「大丈夫よ。1ヶ月分の修行を、3時間でやってもらうから」
「はっ……?」
「あたしのエレメントを使って、時間の流れが違う空間を創るのよ。こっちの1時間はあっちの1週間。
3時間なら3週間。つまり1ヶ月よ。その修行期間で、<バースト>を解放出来るかは、あんた達次第よ。
で、今からやる?」
「やります!!」
「他も同様かしら?」
4人も頷いた。
「じゃあ、死なないようにね。いってらっしゃい」
シンディはリオ達を創り出した空間に放り込んだ。
「さ、どうなるかな?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
目を覚ますと、そこは真っ白な空間が広がっていた。限りの無いどこまでも続く空間。リオはそこに1人で立っていた。周りに他もの4人は見えない。
「ここが、理事長が創り出した空間………何も無いわね」
「アラ、ソウデモナイワヨ?」
何気無い一人言に返事が返ってきた。リオは背後を見ると、そこには真っ黒な影が立っていた。よく見ると、自分の形と似ている。
「あんた……誰?」
「アタシ?アタシハ、
リオ・ハーマス。貴方ノ影ヨ」
「あたしの影?…あっ」
リオは何気無く足下を見ると、自分の影が消えていることに気付いた。
「理解デキタ?ココデノ修行ハ、1ヶ月間アタシト戦ウコトヨ。貴方ガ強クナレバアタシモソレニ応じて強クナル。サア、始メマショウ!!」
「確かに、強くなるにはうってつけね。行くわよ、
あたしの影ぇ!!」
リオだけでなく、ライズ、十蔵、ウェド、美紀も自分の影と戦っていた。
次回、リオ達がついに……?




