元カレ
あれは中2の夏。
期末テストが終わった7月9日、うかれていたときに起こった出来事。
「やっと期末おわったねーっ!」
「これからは遊び放題だね♪」
と、トモダチとうれしそうに話ながら階段を降りていた。
「でも赤点だったらどーしよ!?夏休み補習でしょ??」
「もーやだなぁ香里奈ってば!!香里奈が補習なワケないじゃん!」
とトモダチに肩をたたかれ、突き飛ばされた。
グラッと足がぐらついた。
(ヤバっ)
私は突き飛ばされた勢いで階段から落ちてしまった。
頭がパニックで何も考えられなくなっていたその時、だれかが私をフワッと包み込むように支えてくれた。
「大丈夫?」
私を支えてくれたのは一つ年上の鷹取修司だった。
鷹取修司は学年1の秀才で、スポーツもできて優しい、さらには顔までいい。
いわゆる“モテる男子”。
「あ、ありがとうございます。」
修司は私をお姫様だっこしていて、優しく足を降ろしてくれた。
「女の子なんだから、もっと身体大事にしないと。」
少し叱っているようだったけど、言い方は優しかった。
「じゃあね!」
修司は笑顔で言った。
その瞬間、私は恋に落ちた。
トモダチやまわりの人たちは「大丈夫?」とか言って心配してくれていたようだけど、私は聞こえてなかった。
ずっと修司の笑顔と「じゃあね」が頭の中でエコーしていた。
それからも修司は私と話してくれたりした。
私の気持ちはどんどんふくらんでいった。
私は決心し、告白することにした。
一応、修司の連絡先を知っていたので
「今日の放課後、いつもの場所に来てください。」
とメールをした。
いつもの場所とは、修司が教えてくれた中庭の木だ。
その木に登ると、町の景色が一望できる。
「ふたりだけの秘密」
といって毎日のようにここで話をした。
そして放課後、修司はすでにあの木にいた。
相変わらずキレイな澄んだ目をしていた。
だけど、その目はどこか悲しそうな目をしていた。
なぜだろう?
私がじっと修司を見ていたら、その目線に気付いたのかこっちを振り向いた。
そしてにっこり笑ってくれた。
でも目は悲しそうなまま。
修司が手招きをしている。
木に登れ、ってことかな??
私は素直に登った。
いよいよ告白。
手汗が出てきた。
「修司センパイ、あの…」
「何?」
修司は笑っている。
もしかして言いたいことバレちゃったかな??ってあせった。
「いいから続き言って?」
なぜか急かす修司。
仕方なく言う。
「修司センパイ、わた…」
「待って。」
私の告白がさえぎられた。
せっかく勇気をだしたのに。
てゆーか、あの時修司がはやく言えっていったんだよね?
「俺も話あるから先、いい?」
「はい。」
「俺、香里奈ちゃんのこと好き。」
あまりに一瞬すぎて頭が理解できなかった。
私が何も反応していなかったから、修司は聞こえてないのかと思ってもう1回言った。
「す・き!」
気づいたら、涙があふれていた。
私が、一番聞きたかったコトバ。
「なっなんで泣いてんの?」
動揺している修司が聞く。
「うれしすぎて…」
素直に言葉が出てきた。
「え?」
耳を疑うようにする修司。
「私も、センパイが好きです!」
修司も一瞬の出来事に理解できてなかったみたい。
そこで私も大きな声でもう1回言う。
「センパイが、好きだー!!!」
修司はびっくりしていた。
私自身もびっくりしてた。
自分にこんな勇気があると思ってなかった。
修司は微笑んで、私を抱きしめた。
「俺たち、両思いだね」
天使なような笑顔で修司が言う。
目が合った。
なんかはずかしくなって目をそらす私。
「ちゃんと、こっち見て?香里奈…」
「え…でもはずかしいです…センパイ。」
「修司でいい。」
こんな積極的な修司は初めてで私は少し戸惑ってた。
でも、言われたとおり修司の方を向く。
「目、閉じて?」
私は素直に閉じた。
修司はやさしく私の頬に手を触れて、キスをした。
あったかくて、やさしいキス。
唇がはなれて、修司の顔を見た。
「…修司のキスがあったかくてやさしいのは、きっと修司がやさしい人だからだね。」
「…別に俺はやさしい人間じゃないよ。」
「え?やさしいじゃん??」
「どこが?」
「私の命の恩人だし、困ってる人がいたら助けてくれるし!」
「…」
修司は何も言わなくなった。
修司は何かを隠している、私はまだそのことに気付いていなかった…




