平凡な日常
春が過ぎて、暑くなりはじめた6月ごろ、香里奈は新しい生活になれはじめ、平凡な日々をすごしていた。
立花香里奈は、4月に高校生になったばっかりの女子校に通う女の子。
セミロングで少しウェーブがかかったこげ茶色の髪の毛をしていて、身長158センチという平均的な身長で。
校則はわりと守り、スカート丈はひざ上5センチと少々長め。
学校指定の白いハイソックスをはいており、目立つギャル系ではない。
今日も、同じクラスで仲良くなった美紀と杏奈と一緒に話していた。
「あーあ。せっかく花の女子高生になったんだから恋したくない?」
杏奈が言う。
「確かにー!でもここ女子校だし、うちら塾にも行ってないから出会いなんてほとんどないしっ!!ねっ!香里奈♪」
続いて美紀が言う。
「えっ…私はそんなに恋したくないかな」
香里奈がこう言うと、美紀と杏奈は口をそろえてこう言った。
「何でよー!?香里奈は何で恋しなくてもいいのぉ??」
「私は今の生活で十分だし、シアワセだからっ!!」
この言葉を聞いた美紀と杏奈はぷッと吹き出した。
「アハハ!なんか香里奈っぽい!」
「うんうん!!あんまり高望みしないところとか!」
「えぇー?それって誉め言葉??」
こうやって3人で話してる時が一番シアワセ。
もう恋なんてしなくていい。
美紀と杏奈がいればいい。
香里奈はそう思っている。
キーンコーンカーンコーン…
6時限目が終わるチャイムがなった。
やっと授業が終わった。
このあとは部活だ!!
香里奈は吹奏楽部に所属している。
ちなみに美紀はバスケ部、杏奈は帰宅部。
香里奈は究極の部活人間で、部活がない日やテスト前になるとテンションががた落ちする。
「香里奈、部活がなくなったらどうなっちゃうんだろね!?」
と美紀と杏奈に言われる。
「だって、部活だーいすきなんだもんっ!!」
香里奈は言われるたんびにこう返す。
「それ、答えになってないし!」
「こんにちわー!」
香里奈は元気よく挨拶し、部室に入っていく。
「あっ香里奈ちゃん!こんにちわ!」
「こんにちわ!!」
自分のパート、ホルンがおいてあるところまでいろんな人に元気な挨拶をしながら歩いていく。
よく、運動部とかは挨拶が厳しいけど、文化部はそうでもないとか言われる。
でも、吹奏楽部はそこらの運動部に負けないくらい元気に挨拶ができると思う。
もしかしたら、“挨拶”がうちの学校の吹奏楽部のいいところの一つかも。
そう思い、ふふっと笑う。
そうしたら、
「なーにニヤニヤしてるの?香里奈ちゃん?」
とニンマリと、クラリネットパートの梅崎センパイが言ってきた。
「ニヤニヤなんかしてませんよ!?ニヤニヤしてるのはセンパイじゃないんですか?」
香里奈が言い返すと
「言ったなー!こいつめ!!」
と梅崎センパイがくすぐってきた。
「ひゃぁ〜やめてくださいよ!」
…いつもこんな感じ。
パートを問わず上下関係がほとんどないのもこの吹奏楽部のいいところだな。
梅崎センパイは私の憧れのセンパイ。
みんなのリーダー的存在で、何にしろカッコイイ。
長身で細身な顔立ちがととのってるけど、笑顔がどこかあどけない雰囲気。
でも吹いている時はすごい真剣で、笑顔とのギャップにひかれちゃう。
「さあ、今日も練習はじめるよ!」
「はーい!」
梅崎センパイの掛け声で練習がはじまった。
まだ日がしずんでいない5時ごろ、部活が終わった。
いつもは美紀を部活が終わるまで待つのだが、今日はバスケ部で集団下校をするみたいなのでいっしょに帰るひとがいない。
電車が同じ方面の子がいないので、仕方なく1人で帰ることにした。
今日は奇跡的にイスに座れたので喜んでいると、ホルンらしきものをしょっている男の人が入ってきた。
ホルンは手でもつとかなり重いので、リュック型のケースを使っている人もけっこういる。
ちなみに私も。
でもリュックの形がイビツだから、“カメのこうら”と呼ばれている。
その“カメのこうら”をしょっている男の人の制服を見ると、私の学校のとなり駅の共学であるとわかった。
たしか…名前は―
明成学園。
たしかすっごいバカだったっけ。
入試で名前を書けば受かるといわれてる…
その男の人は、私の家の最寄り駅のひとつ前の駅で降りていった。
香里奈は、これが運命の出会いであることに気付いていなかった。
無理もない。
なぜなら香里奈は「もう恋愛はしない」と決めていたから。




