《黒海海戦、序盤 その六》
ロシア艦隊を分断したケイン達は、すぐに分断した艦隊の一方に攻撃を集中させていき、まずはロシア艦隊の半数を壊滅させることにした。
「ケイン閣下! ただいまロシア艦隊の分断に成功しました!」
「……ふむ、ご苦労。それでは引き続きロシア艦隊の殲滅のために動いていってくれたまえよ?」
「はっ!」
「うん……それにしても、今回の戦いもまた簡単に勝ってしまえそうだねぇ」
「これもケイン閣下のお力があればこそです!」
「うん、それもそうだね……お、総攻撃が始まったか。これで黒海にいるロシア艦隊も終わりだね」
「祝杯の用意をしておきましょうか?」
「頼むよ。それから入浴もしたい。そちらの用意もしておいてくれたまえ」
「はっ! 了解いたしました!」
完全にイングランド軍の勝利パターンになったことで、ケインが部下に勝利を祝う宴の用意と、入浴の準備を始めるように指示を出していく。
こうして始まったイングランド軍の総攻撃に、ロシア軍はなんとか防衛しながら戦闘開始前に知らされた作戦を遂行しようと動いていった。
「……始まったか……」
「はい、いつも通りに……」
「そうか……ではこちらも予定通りの行動を始めよ」
「はっ!」
「よし……エレーナ・フォレスト中尉!」
「はっ!」
「いよいよ君の出番だ。我らがロシア海軍の秘蔵っ子の力を、ケイン・ファルネウスに見せつけてやるのだ!」
「はっ! 了解いたしました!」
司令官の指示で、ロシア艦隊の艦艇二隻が自軍艦隊の外を回って、イングランド艦隊の背後を取ろうと動いていく。
一方のイングランド軍はロシア艦隊の動きに気付いてはいたのだが、どうせすべての艦艇を沈めるのだから、という理由で対応を後回しにしていった。
「……む? これは……?」
「どうした?」
「いえ、ロシア軍の艦艇が二隻、ロシア艦隊の背後を通って、こちらの後方に移動してきているようなので……」
「……ふむ? そうか……」
「どうしましょうか?」
「……そうだな……まあ……放っておいても構わんだろう。ロシア艦隊はどうせすぐに全滅するんだからな」
「……そうですよね」
こうして、イングランド艦隊が二隻のロシア艦艇を見逃していくと、その二隻のロシア艦艇は彼らが目標地点だと決めていた場所に到着したところで、錨を下ろして艦艇を停めると、乗組員全員が退艦して艦艇から離れていった。
「……イングランド軍は、まだ攻撃してきませんね……」
「うむ……どうせあとで全滅させるんだから、とか思っていそうだな」
「その判断が、自身達を全滅させることになるとも知らずに、な……」
「うむ……」
「艦長! 目標地点に到着しましたぜ!」
「うむ、よくやった! すぐに錨を下ろせ!」
「了解です!」
「錨を下ろし終わったらすぐに総員で退艦だ! 遅れるなよ!」
「はっ!」
こうして、二隻のロシア軍艦艇は無人で放置されることになる。
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