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賭博勇者とサキュバスカジノ  作者: 結城 からく


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第3話 前編

 女主人の発言により、場の客達は大いに盛り上がる。


「マイナルが仕掛けたぞぉ!」


「久々に勝負を見れるのかっ!」


「どっちが勝つのか賭けをしようぜェッ!」


 熱狂する客を横目に、ライアンはナキの肩を叩いて小声で忠告する。


「気を付けろよぉ、マイナルはこの酒場で最強のギャンブラーだ……俺を除けばな」


「そうか。だが問題ない。必ず俺が勝つ」


「へぇ、随分と強気だねぇ。何日か前に破産した人間の発言とは思えないよ」


 マイナルがこれみよがしに挑発する。

 ナキは真顔でじっと視線を返すのみだった。

 その反応の薄さに苦笑した後、マイナルはライアンに提案する。


「一発勝負じゃ短くてつまらないよ。負けるたびに服を脱いで、裸になった方が負けってのはどうだい?」


「うおおおぉっ! マジか!」


「最高のギャンブルじゃねぇか!」


「女神マイナルの降臨だぁ!」


 ライアンが答える間に客が最高潮の盛り上がりを見せる。

 思案するライアンはナキに確認した。


「妙な提案だがどうする。服の数じゃお前がやや不利だ。断れない雰囲気だが、別の条件を出しても――」


「大丈夫だ。提案された形でいい。この程度の不利を覆せなければ魅惑の迷宮では通用しないだろう」


 ナキは静かに述べる。

 笑みをこぼすマイナルは嬉しそうにサイコロを握った。


「ハッ、いい顔をするじゃないかい。じゃあさっそく始めようか。先攻と後攻、選ばせてあげるよ」


「後攻だ」


「様子見かい? まあいいがね」


 マイナルがサイコロを転がる。

 結果、出目は5と4だった。


「ゾロ目じゃねえ!」


「ナキは6のゾロ目を確定で出す! つまりマイナルの負けだ!」


「よっしゃ、早く胸見せろ!」


 野次を飛ばす客も意に介さず、マイナルは二つのサイコロをナキに差し出した。


「次はあんただよ。さっさと振りな」


「…………」


 無言で受け取ったナキがサイコロを放る。

 サイコロはこれまでとまったく同じ挙動で転がるも、突如として勢いが増すと、そのままテーブルから落下した。

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