表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賭博勇者とサキュバスカジノ  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/9

第2話 前編

 荒野を進むこと暫し。

 見えてきたのは灰色の小さな館だった。

 台車を引きずるライアンは、汗だくになりながら説明する。


「あそこは俺の別荘の一つだ。秘密の隠れ家でな。誰にも知られたくないから、こんな場所に建ててあるんだ。隠蔽結界で場所も誤魔化してるんだぜ、すごいだろ」


「秘密の隠れ家を俺に見せてもいいのか」


「お前は素直なバカだ。裏表がない戦闘狂で、幼馴染として誰よりも信頼している。だから例外なのさ」


「なるほど……」


「仮に拉致されて俺の情報を吐くように脅されても絶対に屈しないだろ」


「当然だ」


「そういうところだよ」


 ライアンは館の入り口を施錠して中に入る。

 彼は台車を繋ぐ縄を放すと、ぐっと伸びをして絨毯の上に寝転がった。


「ふう、久々に重労働は堪えるぜ」


「迷惑をかけてすまない」


「気にすんなって」


 軽く笑うライアンは手を打ち鳴らした。

 彼は室内に響き渡るように声を張り上げる。


「おーい、誰か来てくれー!」


「お呼びでしょうか、ご主人様ーっ!」


 大急ぎで飛んできたのは、手のひらサイズの妖精だった。

 妖精は台車に載せられたナキを見て仰天する。


「ご主人様、この人間は……!?」


「幼馴染みのナキだ。前に話しただろ。こいつに合う義手と義足を用意してくれ」


「はい、ただいまーっ」


 妖精は凄まじい速度で奥の部屋へと消えていく。

 それを見送ってからライアンが説明する。


「召使いのマルムだ。他にもたくさんの妖精と契約してて、屋敷やら財産の管理を任せているのさ」


「……ずいぶんと裕福なんだな」


「お、お前……これでも一応、大金持ちなんだぜ? 魅惑の迷宮でも、周りの客が俺を見て驚いていただろ」


「聞いていなかった」


「ああ、そうだったな。お前は筋金入りの戦闘バカだった」


 ライアンが呆れている間に、数匹の妖精が義手と義足を運んできた。

 代表してマルムが解説をする。


「魔術金属を使用した義肢です。どちらも自動修復機能があり、空気中の魔力を吸収することで破損を直します。身体能力の補助機能もあるため、今のナキ様に最適かと」


「うんうん、最高の判断だ。さすがはマルムだぜ。ありがとな」


「お褒めに預かり光栄ですっ!」


 妖精達が協力してナキに義手と義足を装着する。

 固定が確認できたところで、ナキは慎重に立ち上がった。

 試しに歩いてみると、壁に手をつきながら進むことができた。


「多少ぎこちないが、慣れれば動けるようになるだろ。気分はどうだ」


「悪くない。感謝する」


「おー、おー、いいってことよ。それより今後の予定を決めようぜ」


「既に決まっている。俺はサキュバスの魔王を倒す」


 ナキが真顔で宣言すると、ライアンがすかさず頭を小突いた。


「おいおい、史上最悪の大敗北をもう忘れたのか? リベンジと言ったって、今のままじゃ絶対に無理だ。賭博師として強くなれ」


「賭博に興味はない」


「今のお前は武力を失ってるんだ。それに、リリーを戦うにはギャンブルが必須だ。勇者としての常識を一旦忘れろ」


「…………」


 ライアンの指摘にナキは黙り込む。

 彼は返す言葉を持たなかった。

 そんなナキの肩をライアンが叩く。


「落ち込んでる暇はねえぞ。準備ができたら出発だ」


「どこに行くんだ」


「ギャンブルの練習だよ」


 ライアンは不敵に笑ってみせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ