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黄金世界  作者: 藤田 寛
どちらかの正義
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第6話 宝の行方

 アルンを見つめる、ひとりの少女。

 少女はなにか言いたげである。アルンには、そのように映った。

 アルンは少女に問いかけた。


「どうしたの?」


「お兄ちゃん、いなくなった子たちのこと、探してるの?」


 少女はアルンと目を合わせることなく、聞いてきた。

 アルンはしゃがみ込み、少女と目線を合わせる。


「うん、そうだよ。なにか知っていることがあったら、話してくれないかな?」


「わたしが言ったってこと、内緒にしてくれる?」


「もちろん」


 少女は、意を決したように話し始めた。


「じつはね、男の子たちが、綺麗な宝石がある洞窟を見つけたって。カーナ湖の近くにある洞窟にね、あるって」


「だけどね、宝石が横取りされるから、大人にはなにも言うなって……」


「でもね、宝石を取りに行った子がみんな戻らないの」


 アルンが、少女の頭をなでる。


「あとはお兄ちゃんに任せて」



 アルンは、早速このことを伝えるため、ベルシュのいる酒場へ向かう。ちょうど、ベルシュが酒場から出てくるところであった。


「すんっ、すんっ……」


 アルンが鼻を鳴らす。そして、ベルシュからかすかに漂う、酒の臭いを嗅ぎとった。


「やっぱり、飲んでるじゃないか!」


「これは違う! おれのようなよそ者が、あれこれと聞いてまわるには、酒の一杯くらいは飲んで馴染む必要があったんだ!」


 アルンはベルシュを恨めしそうに見つめる。


「と、ところで、お前はちゃんと子供たちに話を聞いてきたんだろうな?」


「ああ! そうだった……」



 アルンは、少女から聞いたことをベルシュに話した。


「それが本当なら、まずいな。子供たちがいなくなってから数日経っている。カーナ湖近くの洞窟というから、人里からも少し離れている。亜人か盗賊かなにかに連れ去られたのかも知れん」


 ベルシュが腕を組み、しばらく考える。


「警戒所に人を送るよう連絡するのは、時間がかかりすぎる。ここは、自警団の連中にも協力を頼んで、すぐに捜索に出るべきだろう」



 アルンとベルシュは、早速自警団の詰め所に向かう。

 そして、自警団団長のギルソンに事の顛末を説明した。


「カーナ湖の洞窟……っていうと、あそこか……」


 ギルソンには、なにやら心当たりがあるようだった。


「どんな場所なんだ? そこは」


 ベルシュが尋ねる。


「カーナ湖の近くには、かつて地下墓地として使われていた洞窟があってな。もっとも、かなり古い時代のもので、今は使われていないが……」


 ギルソンは顎を指で擦りながら、続ける。


「まさか、そんなところに行っていたなんて……あそこはかつてこの周辺に住んでいた住民の墓だというし、もちろん宝石なんてあるはずもない」


「すぐに探しに行こう。洞窟の中で迷っているのかも知れない」


 ベルシュの提案に、ギルソンも賛同した。アルンとベルシュ、それに自警団による即席の捜索隊が結成された。


「日が暮れる前に、見つけ出すぞ」


 ギルソンの号令とともに、捜索隊がエルゼンの村を出発した。

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