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閑話 花の香るエルゼンの村
サンクオル中部に位置する、人口400人程度の小さな村。しかしその規模とは裏腹に、裕福な村として知られる。
理由のひとつとして上げられるのが、村の北に位置するカーナ湖である。
カーナ湖の豊富な水産資源は、エルゼンに住む漁師たちの収入源となっている。特に、バウルと呼ばれる魚は、大変美味とされ、重宝されていた。
バウルをまるごと油で揚げた「バウルの姿揚げ」はエルゼンの名物料理であり、味にうるさい貴族たちも舌鼓を打つほどだという。
しかし、エルゼンが栄える最も大きな理由は、やはりエルゼン染めであろう。
エルゼン染めとは、このあたり一帯で栽培されているカーキナの花の汁を使った染め物で、できのいいものは淡い紫に斑なく染まる。
エルゼン染めは隣国カナンディラにも知られており、貴族や成功を収めた商人など、上流階級たちに持て囃されている。
街の外には一面カーキナの花畑が広がっており、花の咲く季節になると、村全体がかすかに甘い香りに包まれる。




