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帰還命令とゴシップ記事

とりあえずまだ泣き止まないファリアの手を引きギルドを後にする。

そのまま手を繋ぎいつもの宿屋に入った。

転移魔法やアイテムは気持ちが不安定な時に使うと失敗することがあるのだ。

俺はファリアを落ち着かせる為、膝に乗せ抱き締めた。


途中心配したおばちゃんがホットココアを持ってきてくれたので、念のためポーキー村について聞いてみたが知らないと言われた。


「じゃあ、母の事を知りませんか?アリアって名前で回復魔法使いでした」


「アリアなら知っているよ。私が引退する頃に活躍してた冒険者だからあまり付き合いは無かったけど、3年くらい前に1回ここに来てくれて、故郷の村が無くなった話をしたっけ…」


「その頃は村を棄ててみんな隠れていたから…会いたかったよ…うぅっ」


「確かポーキー村で仕えていた家のお嬢様が冒険者になるとかでついて行かなきゃ行けないって言ってたけど、まさか亡くなってるとはねぇ」


おばちゃんも残念そうだ。


「あんたの魔剣で調べられないのかい?」


「今日は普通の剣ですし、魔剣でも知らない人を探すのははさすがに無理かと…」


箱庭を守護する存在として普段魔剣はうちの地下室に現在刺さっていた。


***


母の事を調べるという目標が出来たので帰りにクエストを受けていく。

この辺りは魔物がもう出ないので、今回は1週間でレア食材を森から探してくるクエストにした。

箱庭から魔剣を持ってこれば難しいクエストでは無いはずだ。


次の日魔剣を背中に背負い、クエストに出発する前広場で軽く打ち合わせをしていると神父とアリッサがやって来た。


「教会から帰還命令が出ました」


俺が勇者の紋章を失った事が教会にも伝わっているらしい。

その為、この土地に教会から神父を派遣する価値が無くなったのだという。


「ただしアリッサはここに残ります。元々仲間の供養で教会に入ったので、気が済むまでいさせてやって下さい。それから教会から公園までの道の雑草を抜いて起きました。ルト様が言われていたタイルの模様も刻んでいますので、早めに舗装して頂ければと思います」


アリッサは足が悪いので家の回りを早く舗装して欲しいということだった。


そう言うと神父は大銀貨を俺に渡そうとする。


「わかりました。お金はカナリアに相談して下さい」


俺は大急ぎでカナリアを公園に呼ぶ。


「お金なんていいよーって言いたいところだけど、これだけ何かあった時用のへそくりとしてルトに預けるわ」


銀貨は結局俺が受け取り、カナリアは詠唱を始めた。地面が光ると公園まで一直線に六角形の紺色のタイルが敷き詰められた道が出来た。


箱庭の舗装された道路1号の完成である。


「アリッサさんも頑張ってたけど神父様は夜遅くまで毎日道を書いているのを見てたもん。お代はそれで十分だよ。」


銀貨は何かあった時の為に預かるだけでいつでも返せるようにして欲しいとカナリアに言われた。


「神父様、いつかまた遊びに来てくださいね」


「ありがとうございます。皆様に最高神の加護がありますように」


そう言うと神父は転移魔法で去っていった。


アリッサさんも出来たばかりの道を歩いて帰って行く。


「勇者の紋章を返した件についてはルトも悪いと思うけどねー」


後ろ姿を見送ったあと、クローゼットの中で一部始終をていたファリアが愚痴った。


「じゃあ、俺がキャシーと結婚すればいいのか?」


「それは違うけど、うー…」


どう言えばベストなのか思い付かずファリアかうなる。


「とりあえず今回の事でしばらくは何もないだろうし、箱庭にいる限りは安全なんだから気軽にいこうぜ」


「まぁ、そうだよね」


「…さっ、行こうか」


なんとなく歯切れの悪いまま俺たちはクエストに旅立った。

念のため弁当の準備もしていたが、魔剣ブレイカーの探索力があれば午前中のうちに片付いてしまう。

難易度のバランスもへったくれもない。


「あと2~3回クエストをクリアしたらD級か…討伐クエストが無いと遅いな」


この辺りでは討伐クエストなんてあっても食材用の野性動物の捕獲くらいで貰えるポイントは素材収集と変わらない。

一時期金を積めCランクが買えていたが、発行していた役人の不正が見つかってからはそうもいかなくなった。

今まで発行されたライセンスも遡って回収、本来のランクで再発行されたくらいだから抜け道はなさそうだ。


「魔物の討伐があれば結構あっという間なんだけどなー」


精算にいったギルドで思わず呟く。


「平和で何よりですよ。そのかわり王都や一部都市の手続きがD級では緩和されてます」


まだ魔物の勢力が衰えていない地域もある。

俺のパーティは魔王を倒したので空気を読んで他のパーティに譲っていたが、冒険者がたくさん欲しい地域はまだある。


「ちなみにキャシーさんは結構荒らしてるみたいです。頭が変われば別カウントって感じでまだ大きな苦情はないですけどね」


小さな苦情はあるような言い方でいつもの受付の人は言った。

歌って踊れるアイドル冒険者で売り出していて次回のギルド会誌の表紙にもなるらしい。


「今回はルトさんの脱退劇がなかなか面白おかしく書かれてますよ。タイムラグがあって現在の扱いは行方不明です」


そう言うと受付の人は思い出したかのようにバインダーと会誌を持ってきた。

会誌は読みたくないが一応貰っておく。


「次回の記事はまだ間に合うのでよかったらどうぞ」


バインダーには速報として勇者の紋章返却の件が記事になるらしい。

今のところ俺が見つかって悪役扱いになっているが、さすがにこれは無いだろうと掲載については意見が分かれているそうだ。


俺は原稿に目を通し、内容を変更するようにお願いした。

内容としては俺が行方不明のまま紋章だけ見つかったという感じだ。


「こんな感じだったら書いてもいいです。あと今後、俺の事は記事にしないようにお願いしたいんですけど…」


「本人から申請は可能ですが行方不明者なのに本人の申請ってどうなんでしょうねぇ?」


「それなら王太子宛に依頼するといいよ」


背後に突然ジョニーが現れた。


「勇者コバルトに関する今後一切の詮索を禁じるよう申請して下さいと書き、王都に手紙を出すといい」


「なるほど。書面はこんな感じでいいですかね?」


サラサラっと受付さんは今後コバルトに関する記事を書かない為の申請書を書いた。


「ここに王太子様のサインを入れて判を押せば完成です。ささ、さっさと王太子様に届けてしまいましょう」


「キミ、仕事が早いんだね」


受付さんはしれっとジョニーにペンを渡した。

ジョニーも何も言わずにサインと判を押す。


「ところで、ジョニーさんは何でここにいるんですか?」

書くだけかいて投稿するのをすっかり忘れていました。

忘れられていそうなのでそろそろタイトルを変えて仕切り直そうかしらとか。

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