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異世界転霊  作者: 日曜花田
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山賊襲来

 ネクア嬢は昨夜あまり寝ていなかった。

 昼間馬車の中で、ずっと眠っていたせいだろう、ネクア嬢は眠れなくてもぞもぞと動いていたが、ついに眠るのを諦めてゼロアの元に行くと、膝枕をした。

 正座して膝枕する日本式のではなく、膝をのばして太腿に頭をのせるものだった。

 楽しげにゼロアの髪を梳いていた。

 寝る前に近くで湯を買って身体を洗っていた。

 十歳、生まれて九年だと思春期に爪先をかけるか、かけないかというぐらいだが、このぐらいになると、女の子は男を訳もなく毛嫌いするものだったと思うのだが、世界が違うと違うのだろうか?

 それとも大公家の一人息子というブラン

ド力だろうか?

 とりあえず眠ることの出来ない私は一晩中彼等の側にいた。

 今も、ゼロアとネクア嬢は馬車の中で寝ている。

 うん、色街がすぐそばにあるからといって、覗きに行った挙げ句、なんか虚しくなって帰ってきたりしてないよ、ほんとだよ。

 身体の無い私では行っても何にも出来ないし、たとえ実体化しても十歳の身体とムスコでは切ないだけだ。

 それに実体化出来るのは帝都に着いてからになるし・・・

 帝都といっても、良家の子女が通う魔法学園である。

 近くにいかがわしい所など無いだろう。

 「・・・・・・!!! 」

 いきなり、ネクア嬢が顔をあげる。

 「何か邪悪な気配が・・・ 」

 あの~ 私のスケベ根性は、そんなに邪悪でしょうか?

 確かに中身はおっさんなので、彼女たちの視点から見ると邪悪? なのかなぁ。

 ネクア嬢が、ゼロアを守るように抱きしめる。

 なんとなく、おっさんはーとが傷つきます。

 ん?

 馬車のスピードが落ちる。

 前を走っている馬車が止まっている。

 街道を塞いで木が倒れている。

 ありがちすぎて嫌になるが、定番となるのは単純でも有効だからだ。

 ソーマで探知すると、街道両側の森に・・・三十人、そのうち二十人は弓を構えている。

 残り十人が、大きい盾・・・ラウンドシールドを構えて短剣や曲剣を握っている。

 馬車の後方を塞がれた、盾を用意しているのは、反撃を警戒しているのだろう。

 無駄なのに。

 おそらく、宿場町で獲物を物色して適当な場所で襲うのが彼等のやり方なのだろう。

 御者席にいたアンは馬車の中に入っている。

 ネクア嬢が繰り糸で蜘蛛を作り、ソーマの糸を・・・うわ、六十四方に伸ばして周囲を探知している。

 「右十、左十、後ろ十・・・

 左に弓を持たず妙な動きの者がいますね。」

 指示をしている者の場所まで、というか三十人全員の行動を把握している。

 この世界には個人で使用できる広域殲滅魔法が三つある。

 『天の龍』 『大海嘯』 

 そして遺失魔法の『地の龍』叉は『大地鳴動』これは両方同じ魔法の事である。

 そして、ネクア嬢は四つ目の広域殲滅魔法を持っている、これはサイドトゥース医師も知らない事だ。

 ネクア嬢の手の中で紡がれつつあるのがそれである。

 この後ネクア嬢は『ジェノサイドウイドウ』(殺戮の未亡人)などと呼ばれることになる。

 未婚でまだ十歳なのに。

 喪服なんか着てるから・・・ 

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