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ルーメン  作者: 神響音音
サキュバスの家族編

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20/28

これから

二人が喧嘩してから四日が経った。

サキュバスの回復力は凄まじく、二人ともすごく元気になっていた。

二人曰(いわ)く骨にヒビが入った程度だったようで、サキュバスなら余裕とのことだった。


「今日の夜ご飯は媚薬サラダと精力うどんよ」

「安心しろウィザーク、ただのサラダとうどんだ」

「ありがとうございます。では、いただきます」


こうして三人で食卓を囲むのにも慣れてきた。


「あ、そうだ。さっきココと話したんだけど、明日スメールに帰るから。準備しておいてね」

「明日ですか?随分と急ですね」

「まぁもう行くって決めたらには、とっとと済ませたいのよ。体も八割は回復したし」

「つーか姉貴っ、こいつも連れてく必要あんのか?」

「あら、どうして」


ココがフォークを向けて言ってくる。


「だってよ。こいつにはこいつの旅があんだぜ。これ以上付き合わせるのもよ。次の町行くならまだしも戻るんだぜ」

「それが?旅は道連れ弱者は強者について来いって言うじゃない」

「まぁそりゃそうだけど」


そうではなくないか?


「邪魔なら明日お別れでも僕は―」

「ダメよっ。少しでも長く私を楽しませてくれないと」


ココがやれやれと言った顔でリリを見ている。

僕も何も言わずサラダを食べる。


「と言うことだからお願いね」

「……はい」


不服そうに返事をしたものの、それも嬉しそうにリリは聞いていた。

そして僕もなんだかんだ言って、この三人でいるのももう終わるのかと思うと寂しくなった。





珍しく深夜に僕は目を覚ました。

ベッドを見るとリリの姿しかなく、ココが外にいるのかと思い家を出る。


「ココー」


家の前。月明かりに照らされた薄暗い道に、小声で声をかけるが反応はない。かと思った次の瞬間に背後から声をかけられた。


「なんだよおめぇ、起きたのか?」


ココは家の屋根、三角の部分に跨っていた。


「何してるんですか?」

「朝寝すぎたから寝れねんだよ……ちょうどいいや、ほら、手ぇかせ」


そう言って少し降りて来たココは手を差し出す。

僕は少し戸惑いながらも手を伸ばす。

そして引き上げてもらい、跨るように屋根に座った。

そんな僕の横にココは浮きながら胡座をかいた。


「さてと。あのさ……」


ココがなんかソワソワしているのがわかった。


「どうしたんですか?」

「いや……こないだはありがとな」


顔を背けながらココはそう言った。


「え、いや。僕はただ眺めていただけで―」

「いや、それは違うぜ。お前がいなきゃちゃんと話し合えなかったと思う。きっと私一人で来てたら、あのまま家に帰ってた。だからお前がいてくれたおかげで、明日二人を合わせられんだ。ありがとう」


今度は顔をまじまじ見られながら言われた。


「面と向かって言われると、照れますね。イタッ」

「照れんなっ」


そして少しの間、二人揃って月を見上げているとココが聞いてきた。


「お前この先どうすんだ?」

「決めてないです。でもエルフと言う種族を知ったので、できれば住んでいる場所に行ってみたいかなと」

「危ないって言ってたろ?」

「でも、行き方もある程度教えてもらったので」


昨日キリさんと話す機会があり、その時昔話を聞く過程で元々住んでいた場所までの道のりを、こと細かく教えてもらい地図も書いてもらった。


「どうせ行く当てもない旅ですし」

「でもよぉ……」

「心配してくれるんですか?」

「ば、バッカじゃねーの!」

「ココ静かに静かにっ」


焦る僕をよそにココは一人地上に降りていく。


「あれ、ココ?ちょっと―」

「おやすみバーカ」


僕を見上げてあっかんべをしたココは、家に入っていってしまった。


「……ええ」


僕はそれから30分ほどかけて、屋根を降りる羽目になった。

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