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ルーメン  作者: 神響音音
サキュバスの家族編

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16/28

似たもの姉妹

激しい衝撃音と共に二人は地面に勢いよく落下した。

その衝撃で僕は吹き飛ばされ、後方に転がり土煙が視界を覆った。

口には砂が入りまま片方痛くて開けられない。

それでも僕はすぐに立ち上がり叫ぶ。


「ココさあああん!りりさあああん!」


何となくで二人の落ちた方向に向かうと、リリさんの上にココさんが覆い被さるように横たわっていた。

僕は二人に駆け寄る。


「大丈夫ですか!」

「ああ。何とかな」


ココさんが体を起こし、リリさんの隣に横になる。


「そりゃ、ココは大丈夫でしょ。やられたのは私なんだから」


リリさんも無事なようだった。


「よかったぁ」


僕は安堵のため息をつく。


「よくないわよ。骨、絶対折れてる」

「手加減したっつーの」

「あの時ウィザーク君が教えてくれなかったら、気づかずに死んでたかも」

「大袈裟だろ」

「……ねぇ」


リリさんが顔だけココさんの方に向ける。


「全部気づいてたのね。私が無理してたこと」

「そりゃ。姉妹だしな」


リリさんの目からとめどなく涙が溢れ出る。


「そう……ごめんね。ココが好きな私でい続けられなくてっ」

「バーカ。今でも好きだよ。ただちょっと、ムカついてただけだ」


ココさんは笑顔でそう言った。

その表情を見て何かが決壊したのか、リリさんは子供のようにわんわん泣き出してしまった。

僕は二人に背を向け座り、涙を堪えた。


「ごめんなざああああいっ!」





夕焼けに照らされながら、僕はリリさんをおんぶして町中を歩いている。


「だから私は母さんに会いたくないのよ」


僕の隣で浮いているココさんに向かって、僕に話してくれたお母さんに対する思いをリリさんは語った。


「じゃあやっぱ尚更会うべきだろ」

「聞いてた?惨めさで私を殺す気?」

「姉貴が母さんを嫌なのは分かった。それでも悪口言ったことは後悔してんだろ?じゃあそのことだけでも謝りに行こうぜ。無理に感謝しろなんていわねぇからさ」

「……もっと私のこと嫌いになるわよ」

「だから好きだって」

「痛いっ」


何でか僕が殴られた。


「……ココのおかげで会う気には少しなったわ」

「お、じゃあ―」

「でも今すぐにはやっぱり無理よ。もう少し時間が―」

「それは無理だ。ていうか、早くしたほうがいい」

「なんで?」

「母さん、長くないんだってよ」

「嘘っ」


リリさんは体を跳ねさせ、僕は足を止める。


「だからあんま時間ないと思う」


僕は振り返りリリさんの様子を窺う。

すると口元が震えているのが分かった。


「あんまさ。あんま上手く言えないけど、姉貴が自分を惨めに思うことが嫌なら、私が姉貴の目塞いでてやるから。なんなら耳も。だから会ってほしい。姉貴の罪悪感と母さんの願い、両方私がなんとかしたいんだよ。姉貴に後悔してほしくないし、母さんにはもう悲しんでほしくないんだ」

「……あんた、随分成長したね。はあ……分かったわ。会いに行く」

「ほんとか!?」

「ええ」

「やっほおおおう!」

「でも」


跳ねるように喜んだココさんの口を、リリさんが尻尾で塞ぐ。


「この体が少し癒えたらね。今のままだと歩けもしないし満足に飛べないから。渓谷を越えるのは厳しいわ」

「じゃあ私が背負ってイテええええっ!」


彼女の尻尾がココさんの肩を触ると、飛び跳ねてココさんは痛がった。


「あなたも無事じゃないんだから休むのよ。じゃないと会いに行かないわよ」

「うぅ、分かったよ」

「よろしい」


僕は最初2人が似てないと思ったけど、今はそうは思わない。

だって、二人の笑った顔がそっくりだから。

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