↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーメン  作者: 神響音音
サキュバスの家族編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/28

衝突

僕らはまたリリさんの家に来ていた。


「また来たの?」


やれやれと言う表情で、リリさんは料理を作る手を止める。


「母さんに会ってもらうぞ、姉貴」

「はぁ。ウィザーク君さぁ、ちゃんと理由話したんだからココ連れて帰ってよ」

「ごめんなさい。ちゃんと理由を話されたのでほっとけなくなりました」


やれやれと言った感じのジェスチャーを彼女はする。


「……いい人だけど、お節介なんだね」

「そうだぞ姉貴、こいつはどっか頭のネジが飛んでる生意気な奴だ。オドオドしてるかと思ったら調子に乗ってズカズカくるしな」


ココさんに肩をバンバン叩かれる。


「デリカシーがないのね。女性の心を覗いておいて、いい人気取りで助けようなんて……気持ち悪い」

「二人とも、僕をいじめる時だけ意気投合しないでよ……」

「してないわ。思ったことを言っているだけ。気持ち悪いって」

「ああ気持ちわりぃ。でもいつまでも片意地はってる姉貴の方がキモイぞ」


リリさんの眉がピクッと動き、空気がピリつく。


「母さんのこと嫌うのは別に自由だ。でも命を助けてもらったのに悪口ばっか言うのは許せねぇ。さっきもバカにして……母さんがあの後どんだけ悲しんだか」

「悲しんだ?……そう。でもそれって私のせいかしら。お母さんが私にしてきたことの結果が今のこの状況なんじゃない?」

「だとしても助けてもらったろ」

「余計なお世話だと思ってるわ」


ココさんの目がギロっと彼女を睨む。


「姉貴……さすがに限界だぜ」

「私は死にたかったの。あんたの面倒も嫌だったし」


僕は二人の間に入る。


「ちょっと落ち着いてくださいっ。二人ともちょっとした行き違いがあるだけで」


どうしてこの二人はこんなに売り言葉に買い言葉なんだ!


「け、喧嘩じゃなくて冷静に話し合いましょうっ」

「ウィザーク、どけ」

「いやダメですって」

「ココ。場所を変えましょう」

「いやリリさんもっ、さっきは冷静に―」


そう言った次の瞬間には、僕は飛ばされて壁に激突していた。


「ぐはっ」

「テメェ!」

「どかしただけよ」


僕は床に倒れながら何が起こったのか理解できず二人を見上げる。


「町の外に行くわよ。来なさい」


リリさんが家を出ていく。


「待っ―」

「わりぃ。話し合いじゃ無理みたいだ」


僕の制止も虚しくココさんも家を出ていってしまう。


「……くそっ」


僕は何をしてるんだっ。仲直りさせに来たんじゃないのか?なのに助け舟一つ出せなかった。


「ああもう!」


うだうだ考えるな!

僕は荷物を煩わしく放ると、急いで家から飛び出す。

しかし二人はもういない。

速すぎだろっ!町の外って言ってたな?

多分入ってきた入口の方だと僕は考え、全力で走り始めた。

僕が二人をまた合わせたんだっ。ちゃんとしなきゃ!





なんだこれ?

町から出た先で黒い玉を飛ばし合いながら、彼女たちは空中戦をしていた。

僕が思っていた喧嘩と全然違う。

少しの間呆気に取られていたが、僕は慎重に二人に近づくことにした。

とにかく喧嘩をやめさせないと!


「姉貴いいい!」


ココさんの玉が外れ地面に穴をあける。

一発二発三発と全くリリさんに当たらない。


「ココ、そんなものなの?あんたがそんなんだから私が苦労したのよ!」


今度はリリさんの玉をココさんが避ける。

しかしそれは気を逸らすためのものだったようで、直後に急接近したリリさんにココさんはお腹を蹴られ、体をくの字に曲げた。


「ココさん!!」


僕の心配をよそにココさんは彼女の足を捕まえていた。


「私は尊敬してたんだぜ姉貴のこと」

「知ってる。でもその尊敬されてた私は優秀な自分を演じてた私。そんなの好かれても嬉しくない」


ココさんは足を引き寄せて、彼女の顔面へ拳を入れようとする。

しかしそれを彼女は片手で受け止めた。


「私はココが思っているほど優れてはいない。尊敬に値しないわ。それが本当の私」


そう言うリリさんの顔はどこか愁(うれ)いを帯びている。


「バカにすんなよ。そんな上っ面な面しか私が見れないと思ってんのか?」


ココさんの蹴りが空を切り、二人にまた距離ができる。


「別に優れてるから尊敬してたわけじゃねぇよ。頑張っててすげぇなって思ったから尊敬してたんだよ」


その言葉にリリさんが目を見張る。


「私の手本になるために頑張ってくれてんだなって。ほんとは勉強が嫌いなのも、色仕掛けが苦手なのも薄々は気づいてたよっ」

「……ココさん」


ココさんは泣いていた。


「無理してたのも知ってたよ。それでも私の前では弱さは見せなかった。なのになんでっ……なんで母さんが弱ってから悪口ばっか吐くようになったんだよ!」


ココさんは黒い玉を三発発射する。

しかし全て避けられてしまう。が、その玉はリリさんの後を追う。

一瞬気づくのが遅れた彼女は、体を手で覆うようにガードして玉を食らった。

彼女の視界が黒い煙で奪われる。


「こんなもので―」


彼女は煙を風圧で吹き飛ばす。

そして辺りをキョロキョロ窺う。

彼女はココさんを見失った。

けど僕は気づいていた。彼女の真上から勢いよく迫るココさんの姿に。


「リリさあああん!」


僕は咄嗟に指を差し叫んだ。

するとココさんに気づいた彼女は迎え撃とうとする。


「そんなに母さんに言いたいことがあったんなら―」


しかしココさんは構わずに更に加速した。


「もっと早くに言えよバカやろおおおおおお!!」


リリさんは玉を打つがその全ては貫ぬかれ、ココさんは隕石のようにリリさんに衝突した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。