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愛されるより殺したい ~恋愛リアリティー・デスゲーム~  作者: 結城 からく


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3/5

第1話 後編

 盛大にいびきをかく田中は、潮風に吹かれて目を覚ました。

 砂浜で大の字になっていた彼は、上体を起こして周囲を見回す。


「えっ、何これ……ここどこ?」


 前方には青々とした海が地平線の先まで広がっていた。

 振り返ると鬱蒼とした森がある。

 状況を理解できない田中は、頭を抱えて直前の記憶を思い出そうとする。


(サインをした後、どうなったんだっけ……)


 暫し田中は粘るも、曖昧な記憶が輪郭を取り戻すことはなかった。

 立ち上がった田中は持ち物を確認する。

 ポケットに入れてあるはずの財布とスマホが無くなっていた。

 恰好はジャージのままだ。


「マジかぁ……やっぱり詐欺だったのか。根こそぎ盗まれるのはキツいって……」


 田中は砂浜の上にぐったりと倒れて落ち込む。

 その時、遠くから声が聞こえてきた。


「おーい」


 何気なく視線を向けた田中は、次の瞬間には跳ね起きて覚醒する。

 走り寄ってくるのはビキニ姿の美少女だった。

 すべての悩みを忘れた田中は無邪気にはしゃぐ。


「うっわ、可愛い子が来た!」


 喜ぶ田中だったが、異変を感じて顔が曇る。

 接近してくる美少女の手には、一振りの日本刀が握られていた。

 やがて鞘を投げ捨てた美少女は、刀を振り上げながら凄まじい形相で叫ぶ。


「そこで動かないでねー! 今すぐ殺すからー!」


「……は?」


 既に両社の距離は二十メートルを切っていた。

 我に返った田中は大慌てで逃げ出す。


「ちょ、嘘だろ!? こっち来んなって!」


「そんなこと言わないでよー! 傷ついて殺したくなっちゃうじゃーん!」


「最初から殺す気満々だったろうが!」


 言い返した田中の脚がもつれて転ぶ。

 美少女は凶悪な笑みを湛えて彼の前に立つ。


「はーい、追い詰めちゃった」


「ちくしょう! これでも食らえっ!」


 やけになった田中は、握っていた砂を投げつける。

 砂は風で舞い散って美少女の目に入った。


「うっ!?」


 目を閉じた美少女はよろめき、そのまま尻餅をついて転倒する。

 その弾みで日本刀が彼女の顔面に深々とめり込んだ。

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