↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名も知られぬ大賢者は畑を作って余生を過ごす  作者: まーサンタ
第二部 畑の隣に人が増える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/32

第十二話 薬師と土



 午後。


 アルヴェインの畑に、エマがやってきた。


「アルヴェインさん」


「ああ」


「少し見せてもらっていいですか?」


「何を?」


「畑です」


 エマは薬師らしく、畑の中をゆっくり歩く。


 薬草。


 野菜。


 土。


 水路。


 そして、小さな木の枝まで観察している。


「……やっぱり」


「何が?」


「この土、普通じゃないですね」


 アルヴェインが顔を上げる。


「分かるか?」


「薬草を扱っていると、土には敏感になります」


 エマは土を少し手に取った。


「栄養が多い」


「元々荒れ地だった」


「それなのに?」


「ああ」


 アルヴェインは少し考える。


「長く放置されていたから、地中に残っていたものが多かったんだろう」


「なるほど」


 エマは納得した。


「じゃあ、この土なら薬草も育ちそうですね」


「種類を選べばな」


「教えてもらえますか?」


「ああ」


 アルヴェインは畑の一角を指差した。


「日当たりはここ」


「はい」


「水は多すぎない方がいい」


「はい」


「薬草によって土の好みも違う」


 エマは熱心に聞いている。


「農業って奥が深いですね」


「薬草も同じだろう」


「そうですね」


 エマが笑う。


「じゃあ、お互い教え合いましょう」


「それがいい」


     ◇


 数日後。


 畑の隅に、小さな薬草園ができた。


 エマが植えた薬草。


 アルヴェインが整えた土。


 二人の知識が、静かに混ざり始めていた。


 村人たちは、それを不思議そうに眺めていた。


「薬師と農夫が一緒に畑を作ってる」


「何か変な感じだな」


「でも、よく育ってるぞ」


 アルヴェインはそんな声を聞きながら、何も言わなかった。


 ただ、薬草の芽を確認する。


「……順調だ」


 それだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。