新手の美人局
「では報酬の千ダルになります。」
「まぁ、こんなもんか。ロックフロッグだもんな。」
帰り道にリスタが不服そうに呟いた。1ダルで何が買えるのか分からないが、大金ではないのは確かだろう。駆け出しの俺らでも倒せるぐらいの敵で宝くじ一等並の金が入ってしまっては幻のサムライとかどうなってしまうのか見当もつかない。
「千ダルって何が買えるんだ?」
「え? オーク丼が二杯食べれるくらいだよ。ヒカル、そんなこと知らないで今までどうやって生きてきたんだ?」
「あーー。山で暮らしてたんだよ、きっとな。」
「きっとってなんだよ。まぁ、いいか。ロフォス様はきっとそんな細かいこと気にしないしな!」
「あぁ、そうだな。ところで、今はどこに向かってるんだ?」
「どこって……アタシの家だよ。それ以外なんかあんのか?」
出会ってまだ一日も経ってないのに家に連行されることになるとは。これって新手の美人局じゃないよな?
「たっだいま! なぁ母さん! 今日は嬉しいことがあったんだ!」
「あら、おかえりなさい。何があったの?」
「それはこちら! ヒカルって言うんだけどヒカルがアタシとパーティを組んでくれたんだ!」
「あっ……どうもー。岡光と申します。娘さんとは仲良くさせていただいて………」
「なにかしこまってんだよ! アタシといる時はもっと砕けた話し方だろ? それともあれか? アタシの母さんがあまりに美人すぎて一目惚れしちゃったか?」
「うっせ。緊張するだろこんなん。」
「まぁ、どうぞあがってください。私が言うのもなんですが変な娘ですが、そんな娘と仲良くしていただけるだけで私は嬉しいのです。あとリスタ? 来客があるというなら早めに伝えなさい。」
「いい母親だな。大事にするんだぞ。」
「ヒカルに言われなくたって分かってらい! そんなこと!」
「もうリスタったら、いつそんなてやんでいみたいな子になっちゃったの?」
3人で思いっきり笑った。いい空間だなここ。一旦セーブしとくか。嵐の前の静けさかもしれないからな。
「じゃあアタシ達と一緒に飯食おうぜ!」
「すいませんね。何も歓迎の用意ができていなくて。」
「いやいや、気取らない家庭の料理こそ極上のもてなしですよ。」
「おっもう飯始めてんのか。って誰だこの男! まさか……私の可愛い可愛いリスタに彼氏ができてしまったのか!?」
ドアが開いてガタイのいい男が入ってきた。話してる内容的にリスタの父親だろう。
「どういうことだ! リスタ! 説明しろ!!」
「こいつはアタシのパーティの仲間のヒカルだよ! 父さんが口出すことじゃねぇって!」
「あぁ! なるほど分かった! だが、私の可愛い可愛いリスタに怪我でも負わせたりしたら許さないからな!」
「もちろんですよ! リスタのことは俺に任せてください。」
「ほぉ……中々いい少年じゃないか! 気に入った! 君をリスタの夫を名乗ることを認めよう!」
「なっっっと、父さん! 何言ってんだよ! アタシとヒカルはそんな仲じゃねぇって!」
「そうですよお義父さん! 俺らまだ出会って初日っすよ!」
「じゃあなんでお義父さんなんて呼び方してんだヒカル!」
まぁそんなこんなで超楽しい時間だった。このゲームの世界に来てセーブロードとか色々あったから一日とは言い切れないが一日。やっぱり家族との時間っていうのは良いもんだな。




