一つの戦闘ーーダスト②
死んだ者が生き返るというような経験をしたことがある者はいるだろうか。まぁ、この世界では分からんがきっといないことだろう。てことは俺とダストはその数少ない現象の目撃者になったということだ。
「私の間違いではなければ、君は既に死んだはずだが?」
「あぁそうだな。だが、俺は今! 生きてる! 簡単にいえばそれが間違いだったってことだよ!」
ダストは自分の服のポケットから鉱石を取り出して辺りにばら撒く。彼なりの戦闘準備だ。普通なら取り出さないような硬度の高い鉱石を出したのは彼の余裕の無さを表していた。
「俺の名はカリノ。生の七欠片の一片にして『再』の能力を陛下に授かった者。さぁ、殺し合おうじゃねぇか!」
「私の名はダスト・アスカルト。アスカルト家の元首にして最高戦力。さぁ、劇の始まりだ。」
両者はジリジリと間合いを詰めていく。ダストは鉱石を散りばめたから動く理由がない。対してカリノは動かなければ殺せないが、動くと確実に先ほどの攻撃を繰り出される。カリノだって自殺志願者というわけではない。
先に痺れを切らしたのはダストだった。散りばめた鉱石の一つを槍状に変化させて、一突き二突き三突き四突きと攻撃を仕掛けていく。カリノはそれを難なく躱していく。蝶のように舞い、蜂のように刺すということわざはカリノのためにあるものだと錯覚するくらい優雅に、華麗に避けていく。
目にも止まらぬ交戦の最中、ダストは実感していた。
ーーまずいな、私の剣術では彼に敵わない。
いわゆる初見殺しと呼ばれる形成し、貫けはもう通じない。だが、これ以上全力で戦えばメイドに犠牲が出てしまう。
それならどうするべきか。ダストの中で答えはすでに出ていた。
「ヒカル!」
ダストがいきなり俺を呼ぶ。そして目をチラチラとある方向に向けている。方向は、アスカルト家があった場所。
ヒカルは直感でダストがして欲しいことを理解した。そして、なんの迷いもなく走り出した。
「陛下のご命令は生け捕りだ。あんまり抵抗されるとこっちが困んだよ!」
カリノが俺の方にに飛んでくる……気がする。だが、走れ! 今はただ走れ! 振り返るな! ダストを信じろ!
事実、カリノはヒカルを追っていた。あと3秒ほどで追いつかれてしまうところだ。
ーー3、ヒカルが拳を使ってカリノを押し出しつつ加速する。
ーー2、カリノが体勢を整えて走り出す。
ーー1、カリノが剣を構える。
ーー0、カリノの切先がヒカルの足を切り裂……
「形成し、切り裂け。」
「なっっっ」
ダストが仕掛けた罠が作動する。散りばめた鉱石が剣、槍、大剣と形を成して、自分の意思を持ちカリノを襲う。
「ぐあぁぁぁぁぁ! 邪魔だぁぁぁぁ!」
カリノはブンブンと腕を振り回して払おうとする。だが、それも無駄だ。カリノは圧倒的な圧力によって押し潰された。
「これでもう大丈夫だよな!?」
「いや、まだ安心するな! きっと彼はまた再生する。とりあえず救助と逃走を最優先にしてくれ!」
「あぁ、分かった!」
ヒカルは無事彼女らを逃がしてくれた。
……彼はしっかりとやり仰せたんだ。私もやるべきことを終わらせなければ、彼に示しがつかないな。
潰された血痕からカリノがジュクグチュと音を立てて再生してくる。
「貴様……逃がしたな! 俺らの標的を!」
「私からしたら友を危険から遠ざけただけの話だ。」
「あぁ! 御託御託御託御託御託御託御託御託御託! 黙れ!」
ダストからしたら理解不能であった。つい先程まで対等に話し合っていたヒカルが遠く見えてしまうほどだ。だが、そんな些事を気にするダストではない。
「さぁ、仕切り直しだ。」
「うるっせぇ! 俺ぁ今気ぃ立ってんだよ。ぶち殺してやる。」
ダストはいつも懐に入れていた手持ちの鉱石で最高硬度である"アストライト"を取り出し、使い慣れた剣の形を形成した。アストライトでないと、彼の全力には耐えきれない。
ここで私が勝てなければリスタ様にも危害が及ぶかもしれない。それだけは私が阻止しなければいけない。ここで彼は殺す。これは決定事項だ。
ダストは一息整える。そして静かに、かつ偉大に唱える。
「ーーラピス•リトラータ」
その瞬間、風がダストを中心にブワッと巻き起こった。ダストがマントを翻すと風は止み、ダストの黒いマントは天の川のように細かい光が輝いていた。
「さぁ、終幕の時間だ。」
キャラ設定紹介もします。本当はヒカルからやりたいんですが、最近の活躍がすごいダストから
ダスト•アスカルト
年齢24歳
身長186cm
好きなもの リスタ様
嫌いなもの 研がれてない剣
能力名 石の大公
所持品 様々な鉱石、魔反のマント




