一人の仲間のヒミツ
「私、実は神様なんですよね。」
何言ってんだこいつ。そんな神が序盤で仲間になって良いわけないだろ。俺のことを揶揄いやがって。
「なぁリスタ、盛り上がってるところ悪いんだが、ちょっとアートが体調悪いらしい。俺が付き添うからお前は楽しんでてくれ。」
「あぁ分かった! アート、お前はもうアタシのパーティの仲間なんだから遠慮なんてしないで良いんだぞ!」
「リ、リスタさん……あ、ああありがとうございます。」
「それで? アート。さっきのは冗談か?」
「私が神様というのは少し語弊がありました。私は神の創造物が一つ。神が授けし天弓と言います。」
「まぁとりあえずお前が神の創造物ってことは分かった。だが、リスタに伝えない理由は何だ? 何か伝えちゃまずいことでもあるのか?」
「はい、私はこの世界の人に正体を知られてはいけないのです。あなたはこの世界の人ではない。そうでしょう?」
流石神の創造物。何もかもお見通しというわけか。
「っ……そうだよ。なんか文句でも? それでアートは何のために俺らのパーティに入ったんだ?」
「何のため…と言われると、分かりませんとしか言えません。ただ、あなた達が気になっただけです。」
なぜ気になったのか俺にも分からん。ありふれた底辺パーティという感じの俺らが神の創造物サマのお眼鏡にかなったのか分からんが味方としては最高と言って良いだろう。いずれ来るリスタを守る戦いの時に心強い。
「そうか、分かった。とりあえずあんたは俺らの味方ってことで良いんだな?」
「母に背かない限りそうなります。」
「分かった。それが聞ければ大丈夫だ。」
「おーいリスタ。アート体調悪かったの治ったらしい。宴の再開と行こうぜ。」
「あぁそうだな。それじゃ改めてかんぱーい!」
次の日、俺たちは討伐に向かった。前回から少しレベルを上げて森の一部を守る者と戦うことになった。
見た目的には太めの木だ。あんまり強いとは思えない。
「こんな木が相手ならアタシの炎が最適だな。行くぞ!」
リスタは炎を紐のような形状にして木にくくりつけた。
「どぉぉぉぉぉりゃ!」
と声を張り上げて、木を根っこから引っ張り上げた。
正直炎である必要があんまりないなと思ったことは内緒だ。
「わ、私何もやること無かったですね。リスタさんは強いですね。」
「えっへん! 早速新入りにアタシの実力見せつけちまったな。」
多分というか絶対そいつお前より強いぞと言いたくなったが我慢だ。
「よーし、じゃあ報酬受け取り行くぞー!」
テンションが上がったリスタとリスタが目を離した瞬間にニコニコ笑顔からスンッと真顔になったアートに恐怖を覚えながら帰ろうとした。突如アートの顔色が悪くなる。
「すいません、リスタさん。逃げててください。」
「はぁ? 何でだ?」
「いいから早く。」
「あ、あぁ分かった。」
急に怖い顔をして逃げてと言うということはのっぴきならない事情があるのだろう。リスタは後ろを振り返らずに走り去った。
「光さん。なぜリスタさんだけを逃したのか分かりますか?」
「確かに……となるとでも思ったか? 俺はお前が思ってるより可愛げはないんでな。リスタに正体を掴ませないためだろ?」
「理解してくれてるようで安心しました。では、備えてください。」
備えると言っても前に敵はいない。そういえば何だか陰ってきたような気がする。明らかにさっきより暗くなってきた。
見上げるとそこには得体の知れないスライム? それとも泥沼を纏ったような全長20mくらいの化け物がいた。




