一人の仲間
「それじゃ! 行ってきまーす!」
「お邪魔しました〜。」
リスタの親は「またいつでも来てくださいね〜」といって送り出してくれた。この家族には不幸になって欲しくない。これは俺の自分勝手だが、こういう人には不幸になってほしくない。
「なぁヒカル、お前今日はどこに泊まるんだ? てかいつもどこに住んでるんだ?」
「俺は………」
そういえば俺どこで暮らせば良いんだ? 流石にオーク丼二杯くらいの金じゃ宿泊所も泊まれないだろう。野宿か……。
「特に無いなら旅に出ないか?」
「旅? あの親が心配しないとは思えないんだが。」
「それはもう説明したよ。ヒカルが外出た時な。」
「じゃあそうするか。ギルドに申請とかしなくてもいいのか?」
「そんなもんアタシが話通すから大丈夫だって! 受付の人とはもう顔馴染み通り越してんだから!」
リスタはそう言ったが、果たして信じて良いものか……。
「いえ、あなた達はまだ旅に出るにはランクも人数も何もかも足りません。」
「えー! ちょっとくらいオマケしてくれたって良いじゃんか〜。なぁ頼むよ〜アタシとアンタの仲じゃないか〜。」
「ダメなものはダメです。今は諦めてください。」
本当にリスタの自信はどこから来てるのやら。案の定断られて終わった。
「ちなみに聞きたいんだが、具体的にはどれくらいのランクと人数がいれば良いんだ?」
「ランクは10以上、人数は3人以上となっています。今のあなた方のランクは2です。」
まぁロックフロッグ倒しただけじゃそれくらいか。コツコツ上げていくしかないな。その方がリスタが死ぬ確率も下がるだろきっと。
「はぁーあ、なんか強めの魔術使う人とか来ればいいのにな!」
「あ、あ、あ、あの! すいません。私をパーティに入れてくれませんか?」
………この世界はリスタの都合のいいようにできてるのか? まぁでも確かにゲームだしストーリー進めなきゃユーザーが飽きるからな。
「ん? あぁ! もちろん! ちなみにアンタは何ができるんだ?」
「ヒェッ ごめんなさい! ごめんなさい! 怒鳴らないでください。怒鳴らないでください。」
「おいおいどうしたんだよ? 大丈夫か? 頼むから頭を上げてくれ、アタシが悪いみたいじゃないか。」
リスタの言う通りギルド内の空気はなんか俺らが悪いみたいだ。このままだと出禁になってしまいそうなほど謝ってくる。
「あっすみません。私ったらまた特に何もされてないのに謝ってしまいました。分かっているんです。これが悪い癖なのは。」
女性はしょんぼりとしてしまった。小学生だったら「あーヒカル君が○○ちゃん泣かせたー!」みたいな感じでクラス中の注目の的になること間違いなしだ。
「いや、いいんだ。アタシも態度悪かったしな。それに、ロフォス様はこんな些細なことでイライラしないしな。」
「あぁそうだ。アンタは何も気にしないでいい。それに、こんな珍奇なパーティに入りたいだなんて申し込んでくれただけで俺らにとっちゃアンタは神様みたいなもんだ。」
「は、はい……。ありがとうございます。では、改めて聞きたいんですが、私をあなた方のパーティに入れてくれませんか?」
「おうよ! アンタさえ良ければアタシは大歓迎だぜ。むしろ、このギルドの中にいる人全員だって構わないしな!」
「流石に言いすぎだリスタ。だが、まぁ俺の気持ちはさっきから変わってないぞ。」
「あ……ああああありがとうございます!!」
場が落ち着いたようで安心した。とりあえず加入手続きを済ませて、質問コーナーを開いた。
「それじゃあ早速質問コーーナーー! まずアンタの名前教えてくれ。」
「私の名前はアートです。呼びやすい名前で大丈夫です。」
アート以上に呼びやすい名があると思えないのだが。
「なるほどアートね。分かった。じゃあ俺から質問。アンタの属性はなんだ?」
「私の属性は……無いです。」
「はぁ? 無いって……アートもそんな冗談つけるんだな。」
「いえ、冗談なんかじゃありません! 私、なぜか診断されなかったんです。」
「分かった分かった。アタシにとっちゃ属性なんかあんま関係ない。とりあえず質問コーナーはこんなもんにしておくか。じゃあ改めて! アート加入ありがとう!」
いぇぇぇい! とセルフで歓声を上げて、リスタは楽しんでいた。当然だ、つい最近までパーティを作れずに悩んでいた派手で孤独な少女が今では仲間が2人も増えたんだ。喜ばない方がおかしい。俺も喜んでいるとアートが肩をポンポンと叩いてきた。
「ん? どうしたんだアート。」
「いや、あの、私、どうしてもあなただけに伝えておきたいことがありまして。」
「おお、どうした言ってみろ。」
「私、実は神様なんですよね。」




